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2008年12月 7日 (日)

ジョン・レノンのマイナーキイの曲は誰の影響か

 ジョン・レノンは、基本的にマイナーキイの曲を作るタイプの人ではなかった気がする。 と言うよりも、ビートルズの楽曲全体に占めるマイナー曲の割合自体が本来かなりひくいのだが。 とりあえずここではジョンの場合だけを例にとることにする。

 ビートルズ時代から見ても、最初にリリースされたジョンのマイナーキイの曲というと、アルバム 「ラバー・ソウル」 の中の 「ガール」 まで容易に思いつかない。
 ブルージーな曲にしても、思い浮かぶのはメジャー基調ばかりだ。 ためしに挙げてみると、「ナット・ア・セカンド・タイム」「ジス・ボーイ」「ノー・リプライ」「アイム・ア・ルーザー」「イエス・イット・イズ」「悲しみはぶっとばせ」「ノーウェジアン・ウッド」 といったところか。 どれもメジャー基調だ。
 「アイル・ビー・バック」 などはメジャーとマイナーを行ったり来たりしているが、ジョンの頭の中では、デル・シャノンの 「悲しき街角」 が流れていたことだろう。 だが、この曲も基本はメジャーだ。
 ビートルズ時代前期のマイナー曲ではヒットと言える 「ガール」 だが、マイナーの曲も作ってみました、的な匂いがして、あくまでイレギュラーな産物でしかない気がする。

 だが、ビートルズ後期からソロ・キャリアに入ると、途端にマイナーキイの曲が多くなるな、という印象がある。 ざっと思いついたところで言うと、「グラス・オニオン」「ハピネス・イズ・ア・ウォーム・ガン」「カム・トゥゲザー」「アイ・ウォント・ユー」「コールド・ターキー」「労働者階級の英雄」「ウェル・ウェル・ウェル」「イッツ・ソー・ハード」「ハウ・ドゥ・ユー・スリープ?」「ワン・デイ」「スケアド」「スティール・アンド・グラス」「アイム・ルージング・ユー」 などか。 ただ、ソロ・アルバムに占める全体の割合から言えば、低いことに変わりはないのだが。

 私は、ジョンの曲にマイナー調の曲が増えた原因は、ヨーコサンにあると思っている。

 ヨーコサンは、基本的にエーマイナー(Am)の人なのではなかろうか。
 いや、ヨーコサンだけの話ではない。 日本人全体が、基本的にエーマイナーなのではないか、とさえ私は思っている。
 要するに、われわれ日本人は、民族の特性として、「悲しい曲はマイナーに限る」 という価値観を抱いているのではないか、ということだ。 しかもエーマイナー。 「四季の歌」 も 「時には母のない子のように」 も 「帰らざる日々」 もエーマイナーだ(笑)。

 私がヨーコサンの曲で強烈なインパクトを受けたのは、アルバム 「ダブル・ファンタジー」の曲群だった。
 「アイム・ムーヴィン・オン」「ビューティフル・ボーイズ」「男は誰もが」 といった一連の曲は、すべて見事にマイナー調である。 当時私は、ヨーコサンはジョンと一緒で幸せなはずなのに、どうしてこんなに悲しい曲ばかり作るのだろう、といぶかしく思ったものだ。 ジョンが殺された時、「ダブル・ファンタジー」 を聴きながら、ヨーコサンはこの悲劇を予感していたのではないか、とさえ思ったほどだ。

 「ダブル・ファンタジー」 はジョンの最晩年の作品だが、この、ヨーコサンという、日本人が持つ独特のエーマイナーDNAに、ジョンが影響されなかったとは、私にはどうしても思えない。 しかも、相当早い段階で、影響されているようなフシもある。 先に挙げた、ビートルズ後期のマイナー曲、「アイ・ウォント・ユー」 は、明らかにヨーコサンに向けて書かれたものだ。
 ただ 「アイ・ウォント・ユー」 は同時にブルーズの形式であることもまた確かだ。 ブルーズのなかに秘められた黒人たちの悲哀は、日本人がDNA的に受け継いでいる 「もののあはれ」 の感覚と自然と合致したのだろう。

 さらに無意識の領域で、ジョンの気持ちはヨーコサンの日本民族DNAに少なからず共鳴していたのではないだろうか。 ヨーコサンと出会う前にも、日本の民謡に影響されていたくらいのジョンである。 この人って、結構いろんなモノに影響されやすいタイプだと、私は思うのだが。

 われわれ日本人も1960年代当時、ブルーズを自らのDNAに取り込んで、「港町ブルース」 とか 「伊勢佐木町ブルース」 とか、歌謡曲の一部にしてしまったではないか。 ジョンのマイナーコードの曲も、その歌謡曲の逆輸入だと考えることも、まあできなくもないのだろう。

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