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2009年1月13日 (火)

「ペット・サウンズ」 の歌って歌いにくい

 ビーチ・ボーイズに関してそんなに興味のないビートルズファンの私でも、1966年発表のアルバム 「ペット・サウンズ」 が傑作だということくらいは知っています。

 1990年代に入って、このアルバムとビートルズ、特に 「ラバー・ソウル」 との関係を指摘する文献が増え、どんなものかと思って買ってみたのも、ずいぶん前になりますね。

 それで、いざ聴いてみると、ビートルズ好きの私でも、いや、だからこそだと思うんですが、琴線に響く曲が、とても多いんですよ。 昔ガキだったころに、ビートルズのアルバムを買ってきて初めて聴いた時のドキドキワクワク感が、久しぶりによみがえった、という感じでした。

 意外だったのは、このアルバムのなかに入っている曲、全部知らなかったということ。
 しかもハズレがない。 ビートルズのアルバムでも、これはハズレかな、というのは1曲か2曲ぐらいはあるものです。 それがまったくない。 負けた…と思いました(なんで私が負けるのだ?…笑)。
 そのうえ驚きだったのが、このアルバム、ほとんどビーチ・ボーイズの中心メンバーだった、ブライアン・ウィルソンの手によって作られた、ということ。
 こんな傑作をそれまで知らなかったことを、とても悔みました。 いやマジです。

 このアルバムについては、門外漢の私が知ったかぶりで論評するよりも、よほどビーチ・ボーイズをトータルで聴いている人が評論をお書きになっていますので、ここでは書きません。

 とにかく買った当時あまりに感激したので、さっそく覚えようと、ワープロに全部歌詞を書き写して(…ヒマ…笑)コピーででっかい文字にして、一緒に歌ったんですよ。

 それで気付いたんですが、なんだか歌いにくいんです、このアルバムの曲って。

 このアルバムの歌詞を書いたのは、トニー・アッシャーという人。 どうもこのアルバムに限った話のようです。 で、この人の書いた歌詞が、どうも歌ってると引っかかるような感じなんですよ。 早口言葉の文句みたいで。 スムーズにすらすら歌えない。

 1曲目 「素敵じゃないか」 の歌い出しからして舌を噛みそうな感じ。
 ウードゥンイッビナイスイフウィーワオールダ (Wouldn't it be nice if we were older)、と始まるのですが、どうもすんなり歌えない。 まず、ウドゥント・イット、というのが、言いにくいんです。 ナイス・イフ・ウィー、というのも言いにくい。

 2曲目 「僕を信じて」 の1行目、アイノウプーフェクトゥリーウェールアイムナッウェーアイシュッビー。 パーフェクトリー (perfectly)、って単語がそもそも言いにくい。 曲の終りのほうにはフェイスフリー (faithfully) という単語もあって、これもです。
 あー、ほかにもたくさんあって、いちいち指摘するのがメンド臭いくらい(笑)。
 
 それにしても、それまで歌いにくい英語というものにお目にかかったことがなかったので、私にとってちょっと不思議な体験だったことは確かです。

 もうひとつこのアルバムの曲を歌って気付いたこと。

 ファルセット(裏声)が総じて、ヤタラメッタラ長いんです。
 ファルセットって、結構肺活量を使うものなんだと、私 「ペット・サウンズ」 で知りました。 私は肺活量そんなに多くないもんでキツイキツイ。 「僕を信じて」 の出だしと最後。 4曲目の 「ドント・トーク」。
 ビーチ・ボーイズというのはファルセットが特徴のコーラスグループだから、裏声得意ってのはだいたい想像出来ましたが、ここまで肺活量を使うプロの技を駆使してるとは、正直思いませんでした。
 特に 「ぼくを信じて」 のロングトーンには、ついていけない(笑)。 たぶん途中で息継ぎ、してないと思います。 思いっきり息を吸うのを忘れてしまうと、確実に途中で息切れします。

 いずれにしろ、この 「ペット・サウンズ」 というアルバム、ジャケットもなんかビートルズに比べれば古くてダサいし、とても大傑作アルバムとは思えない外見なんですが。 メンバーが動物園の動物にえさをあげている、みたいな。 いかにもアメリカのノーテンキなアルバムジャケット、という感じで、思想が全く感じられないんですよ。 確かSMAPのアルバムでこれのパロディをしたのがあったと思います。

 もったいないのは、このアルバムがビートルズの露出の多さに比べて実に、一部の人々にしか知られていないという事実。
 何が傑作なのかは聴けば分かります。 聴けば、とにかく傑作だー傑作だーと言われ続けてきただけのことはある、と納得するでしょう。 無責任な言い方ですが(笑)、ビートルズの、特に中期の音が嫌いな人でなければ、絶対気に入る作品だと思います。

 ビートルズの 「サージェント・ペパー」 は、最高のロックアルバムと言われながら、どこが?と思う人もいるでしょうが、「ペット・サウンズ」 にはそんな心配は無用であります。 詞から曲からアレンジから、すべてがいい! 洋楽が好きな人なら、無条件でおススメします、…って、なんかどっかのレビューみたいですね(笑)。

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コメント

はじめまして
今では「ペット・サウンズ」の認知、人気もかなりあがっているようですよ。
相対的に他の作品が軽んじられているのがファンとしては気になるところです。
この時期のブライアンはいわゆる「裏声」ではなく地声の延長であのハイトーンが出ていたそうです(原典おもいだせませんが)
因に私は一聴簡単に聞こえる「All You Need Is Love」の出だしにまったくついていけません...

投稿: ひぃ〜 | 2010年6月 8日 (火) 21時15分

ひぃ~様
こちらこそはじめまして。 コメント、ありがとうございます。

数年前、ブライアンが 「ペット・サウンズ」 の全曲ライヴをやったり、「スマイル」 を完成させたりして、今ではホントに、かなり知られるようにはなりましたよね。 インサイド・ストーリーも充実していることが、この時期のアルバムを傑作にのしあげている要素も、門外漢の私から見てもあると思うんですよ。 ブライアンの挫折と復活、それに伴うビーチ・ボーイズの変容には、とても人を惹きつけるものがあります。 ただ、やはりビーチ・ボーイズは 「ワイルド・ハニー」 あたりまでしか、正当な評価がなされていない気はします。 私は個人的には、ブライアンが完成させた 「スマイル」 より、「スマイリー・スマイル」 のほうが好みではあるんですけどね。 「スマイル」 は、ひとりの人間が挫折や遺恨を乗り越えて、37年という歳月の末に完成させたということに、最大の意義があるような気がいたします。

それにしても、これって裏声じゃないんですか!
驚きです。 これだけのロングトーン、ファルセットであればかなりの肺活量ですからね。

あ、それから、「愛こそはすべて」 、私もうまく歌うことができません(笑)。 ひぃ~サンのおっしゃる通り、簡単そうなんですけどね、あの歌。 ジョンのようには、誰もが絶対歌えないと思っています。

投稿: リウ | 2010年6月 9日 (水) 05時58分

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