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2009年1月 2日 (金)

「ふぞろいの林檎たち」 もう続編ないのかなぁ

 1月8日から始まるフジテレビ系ドラマ 「ありふれた奇跡」 が、脚本家山田太一サンの連ドラ最後の作品になるらしい(2009年)。
 ということは、「ふぞろいの林檎たち」 の続編は、もうない、ということになる。
 連ドラ最後だ、ということだから、単発で復活する可能性はまだ残ってはいるが。

 正直なところ、がっかり、というのと、まあいいんじゃない?という気持ちが半々である。
 確かにあのドラマは、続編が作られるたびに失望が重なっていった作品だった。 それは、最初のシリーズがあまりにも傑作だったためだ。

 最初のシリーズは、大学のランクですべてが決まる世の中へのアンチテーゼ、という明確なテーマがあった。 「Ⅱ」 では、学校を会社に置き換えても同じだというところに、続編そのものの存在意義がまだ、あった。

 だが、「Ⅲ」「Ⅳ」に関しては、続編を作る必然性が、あまり感じられなくなった。 だいたい同業者でもないのに、大学時代の友人どうしが、飲み会をしょっちゅうやるならともかく、行動を密にするなんてことが、そもそもありえない話なのである。 ありえないから、設定が無理矢理になる。 「Ⅲ」 はその点でホントに悲惨だった。 「Ⅳ」 あたりになると、その無理な設定を逆手にとったつもりか、さらにムリムリな設定にしてしまった。 その結果、主人公たちは、新たな登場人物(長瀬智也クンと中谷美紀チャン)の単なる狂言回しになり下がり、「ふぞろい」 という物語の必然性も消滅した。

 また、「ふぞろい」 にとって不幸だったのは、出演した役者のひとり(あえて書きません)が 「ふぞろい」 をぶち壊したことにある。 続編を作るのには、かように様々な障害がついて回るものなのだ。

 だが、「Ⅰ」 が傑作だ、ということに、変わりはない。
 ポップなオープニングから、サザンの歌を印象的に繰り返すエンディング、というパッケージングの妙もある。 当時としては、相当おしゃれに見えたものだ。

 「Ⅰ」 は第1回目から飛ばす飛ばす。
 仲手川良雄(中井貴一サン)が偶然入ったコンパから追い出されて、ソープで働く伊吹夏恵(高橋ひとみサン)の鮮烈なヌードを見て泣きだすまで、どうなっちゃうの、というシーンの連続だ。 しかも主人公が私とさほど歳が離れていない。 自分たちの世代を代弁してくれるようなドラマが出てきた、という高揚感があった。
 蛇足だが、昔のドラマには、この高橋ひとみサンのヌードシーンのような、男のコたちにとって忘れられないようなシーンが、結構あった気がする。 私が思い出すのは、1975年の 「俺たちの旅」 での、金沢碧サンのヌードシーンである。 高橋ひとみサンと、双璧なんじゃないかなー(笑)。 いまじゃ放送コードに引っかかって、とても無理だろう。 そう言えばここ数年、ドラマでヌードシーンなんて、見たことがないなあ。

 話は戻って。
 「Ⅰ」 で最も強烈な印象を残したシーンがある。
 岩田健一(時任三郎サン)がガードマンのバイトをしていたビルで、そのビルに入っていた一流企業の会社の部長と、深夜に初めて出会うシーンだ。 ものすごい緊張感があって、なんだか現実離れしていて、これこそドラマの醍醐味だ、といえるシーンである。 別に私が作ったわけではないが、おれたちの時代にはこんなすごいドラマがあったんだ、と誇れるようなシーンなのである。

 「Ⅰ」 のラストは、特に印象深い。
 就職の面接に行った岩田健一と西寺実(柳沢慎吾サン)が、一流大学の学生から順番に呼ばれていくのを横目で見ながら交わす会話である。
 そのとき健一が実に言った、「胸張ってりゃいいんだ!」 というセリフ。
 なんと堂々としていることか。 なんとすがすがしいラストか。
 あのドラマ、どんなラストだったっけ、みたいなドラマが多い中で、これほど希望に満ちた、印象的なラストシーンを私は知らない。

 そんな名作を、同窓会みたいな続編で汚されるのを見るのは、私にしてみても本意ではない。 だが、「ふぞろい」 のドラマが成立する主人公たちの年齢、というものが、まだこの先にもきっとあるはずなのだ。

 いま(2009年1月現在)74歳という山田太一サンが将来、「ふぞろい」 の続編を書く可能性は低いだろう。  「ふぞろい」 の続編は、「ふぞろい」 を見てきた私たちの世代が、それぞれの生活のなかで実現していかねばならない物語なのかもしれない。
 「ふぞろい」 という良き思い出を、ぶち壊すのも、宝物に昇華させるのも、私たち次第なのかもしれない。
 うつむくな! 胸張ってりゃいいんだ!

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