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2009年2月19日 (木)

「セブン・フォーエバーフォーク」 私の好きな山口百恵

 関東圏ラジオのニッポン放送で、1976年10月から77年3月までの、プロ野球のオフ・シーズンに放送されていた、「セブン・フォーエバーフォーク」。 毎週水曜日の午後7時30分から8時30分までの1時間番組。
 山口百恵チャンとコッキーポップの大石吾郎サンがパーソナリティだった。

 私は当時がいちばん百恵チャンにのめりこんでいた時期だったので、毎週欠かさず聴いていた。 百恵チャンのラジオ番組はほかにもいろいろあったが、こんなにちゃんと聴いていたのはこの番組だけだ。

 というのも、この番組の百恵チャンが、私がもっとも好きな百恵チャンだったからである。
 山口百恵という人は、おそらく神秘的であるとか、「静」 のイメージが強いのが普通だろう。 「山口百恵は菩薩である」、などという本まで出されたくらいだ。
 だがこの番組の百恵チャンはまったく違う。
 どう違うのか、最終回だけカセットテープに録音してあったので、その冒頭の部分のみここに紹介する。 できるだけ詳しく。

(テーマ音楽、メドレー形式で10秒程度ずつ)「ジス・ランド・イズ・ユア・ランド」「風 (ライブ音源でガイドボーカル入り)」「花はどこにいったの」

大石 「楽しいとき、さびしいとき」

百恵 「うれしいとき、かなしいとき」

大石 「人それぞれに、ふと、口ずさむ歌があります」

百恵 「そんな思い出の歌の数々を、あなたと共に振り返る、百恵と」

大石 「吾郎の」

二人 「セブン・フォーエバーフォーク」

(テーマ音楽、「若者たち」 ふたりのデュエット、一番を歌ったあとはハミング)

大石 「(気障っぽく)長い人生のなかには、いくたびかの出会いと、そして、いくたびかの、別れがあるものですね。 でも、そのひとつひとつが、すべて思い出となり、ぼくの、隙間だらけの人生を埋めていってくれる。 こんばんは、お元気ですか、大石吾郎です」

百恵 「(気取りながら)長い人生のなかには、いくたびかの空腹(ここでちょっと笑いそうになって、ここからくだけた調子に)、と、それにともなう欲求があるものですねー。 でもあのー、朝ごはんと昼ごはんでしょ、おやつと晩ごはんね、それに夜食が、私の隙間だらけの人生を埋めていってくれるんです。 こんばんは、(ここで咳払い)(大声で)部分的肥満症の山口百恵ですっ!」

大石 「(大笑いしながら)そんなヤケになって言うなよー」

百恵 「だあってぇ~」

大石 「みんなが認めてんだから」

百恵 「フンッ!」

 放送作家が書いたであろう前半部分は別として、フリートークの百恵チャンは、元気いっぱいで、はじけまくっている。 自分の体形のことを吾郎サンに突っ込まれても、けっしてめげたりしないし。 自虐的なことを、楽しんでやっているかのようだ。
 しかもこの番組の百恵チャンは下ネタも臆することなく全開。 当時NHKの 「みんなのうた」 で、兄妹がお風呂に入るという 「チンチンポンポン」 という歌が流行っていたのだが、百恵チャンは番組中で喜々としてこの歌を歌っていた。 あの山口百恵が、「チンチン」 などと歌ってたんですよ。
 ここには、父親がいなくて影を引きずっている、ましてや菩薩のイメージなど微塵もない。

 「セブン・フォーエバーフォーク」 の 「セブン」 とは、番組のメインスポンサーだった 「女性セブン」 のこと。 番組内でスタジオから編集部に呼びかけると、記者が今週発売される女性セブンの内容を宣伝する、という形式だった。
 さらに覚え書き的に記せば、ほかの提供は、ロータスクーポン、大丸東京店、西村セイコウ堂(?)、ニチベイ製薬(?)、銀座コア(!)の各社。 ロータスクーポン! あったよなあ!
 ハクサンシコーのCMなんて、やってたんだよなあ、昔は。 あったわあった。 なぁーつかしいなぁー。 でっかーい夕日をー背中にしょおってー、ア、違うか。

 番組のタイトルでも分かる通り、フォークソングだけをこの番組では流していたが、ことそのフォークソングに対するふたりのコメントは一切なし。 リスナーからの手紙を読んで二人が話題を展開する、というのが主な構成だった。 そこに2回ほど、「中川ジョウスケ(漢字ワカラン)のウィークエンド占い」 というコーナーが入り、百恵チャンが週末のアナタの運勢を優しく語りかけます、という感じで、いかにもアイドルのための番組、といった佇まいだった。

 ここで最終回に流れた曲を列記してみる。

 「心の旅」 チューリップ
 「或る日突然」 トワ・エ・モワ
 「雨やどり」 さだまさし
 「神田川」 南こうせつとかぐや姫
 「青年は荒野をめざす」 ザ・フォーク・クルセダーズ
 「いちご白書をもう一度」 バンバン
 「サルビアの花」 もとまろ

 1時間で7曲、しかも全曲フルコーラスというのは結構真面目にかけているほうだ。 おそらくトークの部分を削るための時間稼ぎだったのだろう。 じっさい当時の百恵チャンのスケジュールは過密状態だったはずである。 曲が流れているのをふたりが真面目に聴いていたかどうかは疑わしい。
 その最終回に流れた曲の内容を見てみると、フォークソングというよりもニュー・ミュージックのカテゴリーに入る曲も何曲かある。
 しかも、「雨やどり」 や 「いちご白書をもう一度」 などは、当時としてはほとんど新曲の部類だ。 さだサンの歌などは、百恵チャンの意向だろう。 選曲に絡んでいたかどうかは知らないが。
 ほかの曲も、当時にしてみればほんの6、7年前の曲ばかりだ。
 フォークソングを既に懐かしのメロディみたいに考えていた当時の私だったが、こうして振り返ってみると、これはちょっと意外だった。

 この最終回でいちばん最後に流れたのが 「サルビアの花」 だった。
 最後ということで百恵チャンと吾郎サン共通の好きな曲を選んだとコメントが入ったが、私はこの番組で初めてこの曲を知ったクチだった。 確か何回かこの番組内で流れた気がする。
 この 「サルビアの花」。
 好きだった人がほかの人と教会で結婚式を挙げるのを泣きながら追いかけた、という、早川義夫サンの傑作である。
 映画 「卒業」 では、ダスティン・ホフマンが結婚式に乗り込んで花嫁を略奪する、という過激なラストだったが、この歌では 「転げながら走り続け」 てオワリである。 いかにも湿った日本的情緒ではないか。
 この曲を百恵チャンが愛してやまなかったというのを聞いてから、私もこの曲に対して特別な思い入れを持つようになった。

 なのに なのに どうして
 ほかの人のところへ
 ぼくの 愛の ほうが
 素敵なのに

 泣きながらきみの後を追いかけて
 花吹雪舞う道を
 教会の鐘の音は
 なんて うそっぱちなのさ

 百恵チャンが結婚するとき、私の心境は、まさにこの歌の通りだったと言っていいだろう。 今でもこの歌を弾き語りすると、結構ウルウルする。 酔っ払いながら歌うと、もうボロボロである。 昔は、アイドルに対するあこがれに、これほどの熱い思い入れがあったのだ。

 「セブン・フォーエバーフォーク」 が終わって半年後、今度は百恵チャンが単独の番組が、同じニッポン放送で始まった。 確か、ライブ・カンパニーとかいう題名だった。
 誰かのライブを流す、というスゲエつまらない番組で、全く聴かなかった。
 そのころの百恵チャンは阿木燿子・宇崎竜童コンビによって急速に大人に成長していた時期で、私も一年前より彼女から距離を置いていた気がする。
 あまりにもつまらなかったせいなのか、途中から大石サンが復帰するというテコ入れを食ったようだが、私がリスナーに復帰することはなかった。 大石サンが復帰して1回ほど聴いたのだが、「フォーエバーフォーク」 のときのようなはじけっぷりは影を潜め、ふたりがどことなくよそよそしい雰囲気になっていたためだ。 そこには、もうあの頃の百恵チャンはいなかった。

 スゲエ個人的な話で、終生変わらぬ熱狂的な山口百恵ファンの方には申し訳ない話だが、私の好きだった山口百恵は、阿木・宇崎コンビの作りあげた 「百恵さん」 ではなかった。
 無邪気にはしゃぐ 「セブン・フォーエバーフォーク」 の 「百恵チャン」 だったのだ。
 そりゃ、人というものは成長するのが当たり前だから、百恵チャンだって百恵サンに成長するのは仕方のない話といえる。 だが、「フォーエバーフォーク」 の百恵チャンを知っている身としては、のちにやたらと神格化されていく百恵チャンを見るのは、決して愉快なことではなかったと白状する。

 これは個人的な妄想なのだが、私の好きだった百恵チャン、百恵チャンの少女時代と言い換えてもいいが、それは 「赤い疑惑」 で百恵チャンが演じた白血病の少女、大島幸子が死んだとき、一緒に死んだのだと思っている。

 「フォーエバーフォーク」 の百恵チャンは、その少女時代の最後の無邪気さを、まばゆいばかりに燃焼しつくしたのだ。

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BOOKS

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

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     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ記事より抜粋)。 この上巻ではビートルズの祖先から遡ってリバプールで人気に火が付き始めたところまでが書いてあります。

  • ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白

    ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白
    まず驚かされるのが、表紙のポールの写真です。 よくこんなのが採用されたな、というくらい、刻まれた年輪が顕著に分かる 「年老いたポール」。 飾り気のないその写真に、「素のポール」 をあぶり出そう、という心意気が見える。 そして実際、著者のその目論見は、成功しているように思えます。 何より大きいのは、「NME」「Q」「MOJO」 など音楽メディアで長年記者を務めてきた著者がポールと同じリバプールの出身者である、ということ。 さらにポールと同じファースト・ネームであること。 だからポールはまるで自分の分身に話しかけるかのように、時折同郷人にしか分からない言葉で気さくに著者に話しかける。 この本を読む者は、まずその 「不思議なリラックス感」 に包まれるはずです。  本の構成は大きく二つに分かれます。 前半ではビートルズからウィングス、ソロに至るポールのたどってきた長い長い歴史、後半ではポールの人格に迫る試みがなされていく。 そのインタビューは、一気に行なわれたものではありません。 著者がNMEの記者だった1979年のものから、明示はされていないがおそらく2013年、「NEW」 の発売前後が最新のものではないか、と思われます。 実際読んだ感覚では 「キス・オン・ザ・ボトム」 あたりが最新のような気もする。 その30年以上にわたる膨大なポールへのインタビューを、項目によって構成し直しているようです。 ですから、今年(2016年)亡くなったジョージ・マーティンについてのポールの見解であるとか、最新の情報が提示されているわけではない。 ポールの情報というのはこの歳になってもなお日々更新型ですから、その点については物足りなさが確実にあります。 さらに、30年以上というとポールのものの考え方にも変化変遷があってしかるべきだと思うのですが、30年以上をリミックスにかけているからその変化というものがつかめてこないもどかしさがある。 表紙を飾ったポールの 「老い」 という問題にも、この本はきちんと答えてくれているわけではない。 さらに言えば、ジョン・レノンの死について多くが割かれているのとは対照的に、2001年に亡くなったジョージ・ハリソンの死についての記述はない。 正直なところ、このような本を読み漁ってきた身としては、衝撃に値するような情報が書かれているわけではありません。 しかし前述したような、リラックスしたムードのなかでポールと語らっているような疑似体験を共有できる強みが、この本にはある。 この本全体に貫かれているのが、この心地よさなのだ、と思うのです。 その心地よさが乱れるパートがあります。 自身の失敗作、どうでもいい作品について語るときのポールは多分に感情的になりがちであり、イライラした様子を隠しません。 特に 「シークレット・フレンド」 を語るポールのくだりはポールファンなら一読に値する部分でしょう。 しかしそのイライラも、ポールの人間性が垣間見える瞬間としてこの本にとっては必要なパートなのです。 3000円以上と、この本は決して安くはない部類の本です。 ただその値段に見合うパフォーマンスは兼ね備えています。 この本と付き合った1か月足らずの間、心地よい体験をすることができました(アマゾンの自身のカスタマーレビューより)。

  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

  • 山口 百恵 -

    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

  • デイヴ・グルーシン&リー・リトナー -

    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

  • 桜田淳子 -

    桜田淳子: ゴールデン☆ベスト 桜田淳子~シングル・コレクション
    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

  • The Beatles -

    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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