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2009年3月 5日 (木)

「アリス」 活動再開に思うこと

 アリスがまた活動を再開するらしい。

 アリスというのは、1970年代から80年代まで活躍した3人組のフォークグループである。
 私がアリスの名前を知ったのは、確か 「今はもうだれも」 という歌が最初だった。 当時はまだガキンチョだったので、「アリス」 という名前が女の子っぽいとかちっとも考えなかったが、今考えてみると、ずいぶん男っぽい、骨のある歌ばかり歌っているバンドが 「アリス」 というのも、だいぶミスマッチな気がする。

 「帰らざる日々」 という曲を初めて聴いた時には、ガキンチョは衝撃を受けた。 なにしろ、今から死んでいきます、という女性の歌だったからだ。 一時期、この曲が頭から離れなかったことがある。 それだけショッキングな内容だった。
 どうしてこの手のドン暗な歌が流行ったのかは分からないが、谷村新司サンの詞は非の打ちどころがなく、情景がありありと浮かんでくる見事なものだったと言っていい。 いま振り返ると、この曲のイメージは、「愛と死を見つめて」 とかなりダブる部分があるのだが。
 それでも当時は私も、百恵チャンの 「ヒロイン死んでゆく」 パターンの映画やドラマを見慣れていたので、すんなりこの曲の暗い世界に入ることができたのだろう。 のちに夢中になった、中島みゆきの世界にも通じるものがある。 この曲だけに限って言えば、ロンド形式というのも、両者に共通するパターンだと思う。
 この 「帰らざる日々」 には余談があって、アルフィーの坂崎サンがモノマネで、この曲をネタの一つにしている。 「バイバイバイ」 の部分を「ずいずいずっころばし」 って歌うのだ。 最初聴いた時は、大爆笑したよなあ。

 ともかく、それ以来、アリスはずっとお気に入りのグループだった。
 それが、ちょっと違うな、と思いだしたのは、「チャンピオン」 を聴いた時だった。 今考えると、それは、谷村サンの歌詞に、演出過剰なところが見えるせいだったのではないだろうか。
 この曲は、弾き語りで歌うと、結構気持ちいい。 それはロック的な疾走感にあふれているからなのだが、それまで私が谷村サンの歌詞に見てきたような、いくらその世界が虚構であろうとも、こちらを強引に共感させるという部分が、「チャンピオン」 にはなかったのだ。
 この曲が流行った頃、FM東京の土曜午後1時からやっていた 「コーセー歌謡ベストテン」 で、「『チャンピオン』 はサイモンとガーファンクルの 『ボクサー』 のパクリだ」 という投書が来たことがあった。
 パーソナリティを務めていた、今は亡き宮川泰サンは、「ライラライ」 の部分が同じだからって盗作とは限らない、と言下に否定していたが、アリスに対して批判的な投書が来ていたというのは、私の抱いていた違和感を、その投稿者もどこかで抱えていたのではなかろうかと、思ったりする。 ファンというのは勝手なもので、その人が自分のイメージから逸脱し始めると、どうしてもけなしたくなってくるものだからだ。

 その後、アリスはそんなにイメージを逸脱することなく、活動停止まで突っ走ったのだが、活動停止後の堀内孝雄サンが演歌に転向した時は、さすがにガックリしたものだ。
 演歌といっても、最初のうちは演歌風、だったのだが。 そのうち完全に、演歌になっちゃったのかな。 個人的には、あんなにどっぷり演歌につからなくたって、演歌風なフォークもあっていいとは思うのだが。
 それだけ、フォークソングには、大人の立場に立った名曲が見当たらない。 それは、全盛期を過ぎたフォークシンガーたちが、かつてのような鋭い目線で、自分たちの世代を代弁するような曲を作れないことにある。
 私がこれは名曲だと思う壮年世代のフォークソングは、吉田拓郎の 「旧友再会フォーエバーヤング」 くらいしか思い当たらない。 そんなにマジメにフォローしているわけではないんですが。
 最近では、すぎもとまさとの 「吾亦紅」 とか。 人生に疲れた曲ばかりだな。
 だけど、それは仕方のないことだ。
 人間、そんなに湯水のように、才能あふれる作品を作りつづけられるものではないのだ。
 堀内サンには、その点ちょっと期待していたのだが。

 アリスの活動再開は、壮年世代を奮い立たせるという点で、とても期待している。 壮年世代を代表する名曲も、作ってもらいたいものだ。

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