« 「白い春」 第1回 なんだ、コメディじゃないのか? | トップページ | 教育テレビ「フォークギター再入門」 また勉強してます »

2009年4月15日 (水)

大河ドラマ 「天地人」 と歴史教育の重要性についての考察

 先日の、「天地人」 第15回感想では、「戦さの悲惨さをきちんと次の世代に伝えるべきだ」 と、かなりキツい物言いをしてしまった。
 その後ネットでほかのブログを見ていると、結構このドラマに感動されている方々が多く、そんな方々の感動に水を差すようで、なんか悪いことをしたかな、と反省した。 いくら戦さのシーンが少ないとはいえ、そういう方々には、戦さの悲惨さは伝わったと思うからだ。

 だがやはり、いくら、うっとおしいなこのオッサンの言うこと、と思われても、やはり書かねばならない。
 我々は、戦争の悲惨さを、子々孫々に至るまで、語り伝えていかなければならないのだ、と。

 戦争というものの悲惨さをきちんと習ったことのある人たちが、近年とみに少なくなっていると、個人的に強く感じる。
 日本がアメリカに負けたということを知らない人がいる、というのは、テレビでよくやるおバカネタのひとつになっているが、そこまでとは言わないまでも、昭和の歴史をきちんと習っていない人は、結構多いのではなかろうか。
 3月10日になれば海老名香葉子サンが東京大空襲の悲惨さを訴えたりする。 だが、あの泰葉のカーチャンが何か昔話をしている、としか認識しない人も多いような気もする。

 私の場合、戦争の悲惨さを知ったのは、小学校の社会科の時間に習った、日本の歴史によってである。

 確か私も多くの人たちと同じく、授業が昭和あたりになると時間が足りなくなって、ざっと駆け足でしか習わなかった気がする。
 だが、歴史の教科書だったか副読本だったか、太平洋戦争あたりのことが、結構詳しく書かれており、休み時間だったかにそれを読んだ時は、結構衝撃を受けたことだけは覚えている。

 中でも大きかった衝撃は、「天地人」 の項でも書いたように、事態がどんどんどんどん切迫して悪くなっていく様子だった。
 特にアメリカの広島・長崎への原爆投下に加え、ソ連は不可侵条約を破って侵攻してくるし。 敗戦前10日間くらいの記述は、小学校高学年くらいのガキには、今にして思えばちょっと刺激が強い読み物にも思える。

 歴史の教科書のほかにも、たまたまかもしれないが、私は戦争に関する本をいろいろ読んだ。
 ちばてつや氏の 「紫電改のタカ」 というマンガにも、少なからずショックを受けた。 天才的なゼロ戦乗りで、アメリカの戦闘機を次々落としていく主人公が、あるきっかけで、その戦闘機に乗っていたパイロットたちも、自分たちと同じひとりの人間だったと気付く。 彼はこの戦争に対して疑問を募らせていくのだが、結局は自分たちの祖国を守るために、特攻隊として命を散らせに出撃する。

 確かドラマ化されたような記憶もあるが、「お菓子放浪記」 という本にも、実に衝撃を受けた。 お菓子が大好きだった主人公の少年が、戦争中は思うようにお菓子を食べられず、ケーキの看板を見つけて喜び勇んでその店に入ったものの、実はそのケーキはニンジンでできたまがい物だった、というくだり。 実に悲しかった。 お菓子が食べられない衝撃、というのは、小さい子供には結構大きいものである。

 現在最も身近に戦争の悲惨さを体験できるのは、高畑勲監督の 「火垂るの墓」 であろう。
 日テレがあれを毎年8月に放送することだけが、多くの若い世代が戦争の悲惨さを追体験できる、現在ではほとんど唯一の方法になってしまった気がする。

 戦争の悲惨さを子供たちが学ぶことは、少し刺激が強すぎるきらいは、確かにある。
 だが、「紫電改のタカ」 や、「お菓子放浪記」 を読んできた私は、人生の比較的早い段階で、戦争の悲惨さを知るということは、けっして悪いことではない、と断言できる。

 人の流した血や涙の意味を感じることができる感性がなくて、どうして人に優しくできようか。

 それを、戦後の歴史教育は自虐的だの、日教組の教師が教えたものだからだの、自分らは悪くないんだ、という議論が絶えず湧き上がるが、いかなる議論であっても、その原点には、戦争というものは、誰が何と言おうが、悲惨なものなのだ、という認識がなければならない、と私などは思うのだ。

 暴論覚悟で言うのだが、「天地人」 のスタッフは、戦争の悲惨さをきちんと学習してこなかった人たちばかりのような気がしてならない。
 このドラマには、戦国武将ブームに便乗した、カッコ良ければそれでいい的なものを、私は強く感じる。
 実際に戦っているのは、現場の名もない兵士たちなのだ。
 それをちょっとだけしか映さずに、敗軍の将だけが悲劇的に語られる。
 そこに私は、とてつもない欺瞞を感じる。

 きちんと戦争の悲惨さを学ばなければ、この先ますます、戦争は絵空事みたいに語られるようになっていくだろう。

|

« 「白い春」 第1回 なんだ、コメディじゃないのか? | トップページ | 教育テレビ「フォークギター再入門」 また勉強してます »

テレビ」カテゴリの記事

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/521783/44679872

この記事へのトラックバック一覧です: 大河ドラマ 「天地人」 と歴史教育の重要性についての考察:

« 「白い春」 第1回 なんだ、コメディじゃないのか? | トップページ | 教育テレビ「フォークギター再入門」 また勉強してます »