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2009年5月 8日 (金)

「日曜美術館 アングル 革命の裸婦」 地デジの喜び

 5月3日(2009年)に再放送されていたNHK教育 「日曜美術館」 のテーマは、アングル。
 司会は姜尚中サン、中條誠子サン、ゲストは篠山紀信サン。

 アングルの裸婦はデフォルメされていることで有名だが、番組ではその仕組みを分かりやすく説明。 …それはどうでもいいとして、私がブッ飛んだのは、「泉」 の超接写映像だった。 地デジでなければ、この感覚は味わえなかったであろう。 あらためて、地デジに感謝、である。

 この 「泉」 というのは、おそらく私が生涯初めて目にしたオールヌードである。 いや、厳密に言うとそうではないのだが。 まじまじと見た、っていう意味で。
 この作品は、芸術であるという観点からだろう、アソコがご法度のテレビでも幾度か目にしたことがある。
 ただ、ここまで精緻な大写しというのは、ちょっと記憶にない。

 今回の 「日曜美術館」 では、ヤラシイ言い方で恐縮だが、下から舐めるように全体を見せ、乳房の部分もその絵の具の乗り具合から何から、はっきり確認できた。
 少女の顔が紅潮しているのが極めてよく分かり、その顔の 「ド」アップは、これほど官能的だったのかと思えるほどのみずみずしさだった。
 口は半開き。 目はうつろ。
 半開きの口がエロい、というのを知っているのは、ほしのあきチャンくらいか? それは冗談として、半開きセクシーの元祖的な存在じゃなかろうか、この 「泉」 って。

 アナログ放送では、はっきり言ってこの質感は、再現できないであろう。
 篠山紀信サンも、その迫力に、圧倒されていた。

 大きい絵を描いた人ならご理解いただけると思うが、絵というのは、近くで見るのと遠くで見るのとでは、その印象が全く違う。
 だから自分が絵筆を動かしている、だいたいキャンバスから30センチないし50センチくらいのところでその絵の出来具合にいくら満足しても、遠くから見直すと、まったくダメダメだったりする。 だからうまい絵描きというのは、その見た目の誤差を見事に解消できる人のことを言ったりするのだ。
 「泉」 の少女の顔を、デジタル映像の接写で見た印象は、やはりその、うまい絵描きの範疇なのだが、それにもましてヤタラメッタラ魅力的だった。 要するに、「アングルが独り占めしていた距離」 の映像、なのである。

 これは、じっさいにオルセー美術館に行って現物を見ても味わえない感覚だ、と思われる。
 美術館で絵を見る場合、特に有名な絵に関しては、先ほど述べた、30センチないし50センチくらいの 「画家の視点」 から、その絵を鑑賞することがなかなかできない。 「泉」 の絵も、前方に柵が設けられていた。

 この 「泉」 という作品は、私の記憶が確かならば、ほぼ等身大に描かれている。
 しかも、少女の足が接地しているのは、絵のいちばん下から、数10センチ上の部分だ。
 ということは、絵のいちばん下がたとえ地面についていたとしても、その顔の部分を間近に見ることは、美術館では、まず不可能と言っていい。

 その点で、今回の 「泉」 の超接写が、いかに凄いことか分かっていただけると思う。

 今回の 「日曜美術館」 は、裸婦の官能的な部分を紹介するという点で、こないだの 「タモリ倶楽部」 の 「絶頂派美術」 と共通しているが、その切り口はまさしく教育テレビ的で、それ故に 「タモリ倶楽部」 でおおっぴらに言及していた 「エロスの持つ情欲」 みたいなものには触れられなかった。
 中條誠子アナが 「裸婦に品を保つ方法というのは…」 と、実に言いにくそうに紀信サンに質問して、「それちょっと問題発言 (笑) 裸婦っていうのは品がないっていうように聞こえる (笑)」 などというやりとりが交わされるくらい、「情欲」 の部分に踏み込めない。

 番組で最後に紹介された、アングル最晩年の未完成作品、「パフォスのヴィーナス」 に関する説明もそうだ。
 フランスの美術学校で生徒たちに、この絵と同じポーズをとった女性をデッサンさせ、この絵の通りには絶対ならない、複数の視点から見ないとこの絵の通りにならない、という結論を導いて、ピカソとの関連性を指摘していたが、どうもとってつけたようで面白くない。
 私に言わせれば、「ヤラシイからあっちからもこっちからも描きたかったんでしょーが」「後ろから前から、という…」、そんな感じ。 「タモリ倶楽部」 風にコメントすれば。

 でも、「タモリ倶楽部」 も 「日曜美術館」 も、一長一短はある。 どっちも番組としては優れていた。
 アングルは写真というものが誕生した時、「そんなものは要らない!」 と激昂したらしいが、写真にもできないフォルム変形の追及をしたことが、今日なおアングルが評価される原因となっている。
 そのアングルを、写真家の紀信サンが評価する、っていう構図も、今回見ている側にとっては、楽しかった。

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