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2009年6月29日 (月)

「天地人」 第26回 いっそのこと第1回からやりなおしたら?

 神山繁サン演じる千利休の、「石田三成は愛するものを壊してしまう」 という言葉を気にして、小栗三成に会う、妻夫木クン。

 「人を疑うよりも、まず信じなければ」 という妻夫木クンのアドバイス、小栗クンはいちおう聞いときます、程度のものだったが。

 歴史を知っている者にはちょっとそれが鼻につくのだろうが、ドラマとしてとらえた場合、この回の妻夫木クンと小栗旬クンのやり取りは、後々結構重要になってくる、といったところだろう。
 かくまっていた、長澤まさみチャンと会うかどうか、小栗クンは妻夫木クンに訊くのだが、妻夫木クンは、逡巡したあげく、会わずに帰る。 ふすま越しに、このやり取りを聞いていたまさみチャン、「どこに行こうと構わぬぞ」 という旬クンに、「ここにいてもいいですか」 と懇願する。
 ここらへん、現代ドラマとしてとらえると結構よくできたシーンである。

 そのすぐ後、松方家康サンが上洛して笹野秀吉サンと虚々実々のやりとりを行なうところも、今まで何度もいろんなドラマで見てきたシーンだったが、なかなかよかった気がする。 今回はそれに、妻夫木クンからアドバイスを受けたばかりの小栗三成クンが絡んで、すっかり妻夫木クンの警告が吹っ飛んじゃっているところまで見せるあたりは、なかなかうまい構成だった。

 それにしても。

 「関白を叱る」 という、看板に偽りありの内容だった。
 だいたい、叱ってたの富司純子サンだし。
 サブタイトルが大ウソって、「ぼくの妹」 だけかと思っていたら。
 「ぼくの妹」 のサブタイトルは、ひどかった。 最終回まで大ウソだったから。

 「ぼくの妹」 は置いといて、今回は、「天地人」 第1回目の冒頭にリンクさせるところまで、話が進行したのだが。

 黄金を積んで、「わしの家来になれ」 と迫る笹野高史サンに、きっぱりと断りの返事をする妻夫木クンの、あのシーンだ。
 第1回目の冒頭から、このシーンをぶつけていた、ということは、相当この場面は、このドラマ全体のキモ、と作り手は考えていたのではないだろうか。 だが。

 前回25回目で、何かあったら自分の首を差し出すとまでタンカを切っていた妻夫木クンや、この会見の後、遺言状まで残していたことが判明した北村一輝サンの覚悟。

 ところが。

 残念ながら、会見のあいだじゅう、その緊張感は、まったく見る側に伝わってこなかった。 いま述べた、妻夫木クンや北村サンの覚悟を、その会見の前後に挿入しても、肝心の会見のやりとりがあまりにもあっけないのが、拍子抜けするのだ。

 そのあっけなさの原因は、第1回目のシーンを、そのまま転用している不自然さにある。

 そもそも、第1回目の時点での秀吉、景勝、兼続の役作りと、26回目までこぎつけた時点での秀吉、景勝、兼続の役作りには、どうやっても取り繕うことのできない、ズレというものが、生じてしまっている。

 だから、第26回目用の映像として撮られた、秀吉の黄金の茶室での、この3人が、第1回目冒頭の野外でのシーンにリンクした瞬間、とても違和感があるのだ。

 どこがヘンか、というと、急に、まっさらな状態から演じてしまっているように見えてしまう点だ。 積み重ねたものが、感じられないのだ。 第1回目の映像なんだから当たり前だが。

 こういうお手軽な方法でお茶を濁すよりも、改めてこのシーンを、第1回目とまったく同じように、作りなおしたほうが、ずっとスッキリする。 いや、もうこのドラマ、第1回目から全部、作りなおしたら?って気にも、なってくる。 ちょっとキツイかな、この言いかた。

 しかも、この回のタイトルどおりであれば、兼続が秀吉を叱る、というのは、ここをおいてほかにない。 見る側はそれを期待して見ているのに、作り手は、それを見事に裏切ってくれた。

 でも、ここからが今までの 「天地人」 とは違った。
 景勝たちが帰国の途につく時、秀吉は 「そのほうらのような無礼者は、初めてじゃ!…だが、なぜだか、なぜだか楽しかったわい」 と、ヘンなほめ方をする。
 さらにわざわざ自分の家来たちの前で、景勝たちの主従関係をうらやましがるのは、メロメロだった今回のテーマを修復するためのシーンだった、と言っていい。 秀吉がわざとそうしている、という見方をすると、このシーンは、侮れないのだ。
 そして、この記事冒頭でほめた、小栗旬クン、松方弘樹サンなどのシーンに続く。
 だから見終わると、あの不自然なシーンが、あまり気にならなくなっている。

 このドラマで、これまでこういう、ダメな部分をフォローしようという意気込みを、あまり見たことがなかった。
 今後は、ちょっとだけ、期待できるのかな?

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BOOKS

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 上

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     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ記事より抜粋)。 この上巻ではビートルズの祖先から遡ってリバプールで人気に火が付き始めたところまでが書いてあります。

  • ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白

    ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白
    まず驚かされるのが、表紙のポールの写真です。 よくこんなのが採用されたな、というくらい、刻まれた年輪が顕著に分かる 「年老いたポール」。 飾り気のないその写真に、「素のポール」 をあぶり出そう、という心意気が見える。 そして実際、著者のその目論見は、成功しているように思えます。 何より大きいのは、「NME」「Q」「MOJO」 など音楽メディアで長年記者を務めてきた著者がポールと同じリバプールの出身者である、ということ。 さらにポールと同じファースト・ネームであること。 だからポールはまるで自分の分身に話しかけるかのように、時折同郷人にしか分からない言葉で気さくに著者に話しかける。 この本を読む者は、まずその 「不思議なリラックス感」 に包まれるはずです。  本の構成は大きく二つに分かれます。 前半ではビートルズからウィングス、ソロに至るポールのたどってきた長い長い歴史、後半ではポールの人格に迫る試みがなされていく。 そのインタビューは、一気に行なわれたものではありません。 著者がNMEの記者だった1979年のものから、明示はされていないがおそらく2013年、「NEW」 の発売前後が最新のものではないか、と思われます。 実際読んだ感覚では 「キス・オン・ザ・ボトム」 あたりが最新のような気もする。 その30年以上にわたる膨大なポールへのインタビューを、項目によって構成し直しているようです。 ですから、今年(2016年)亡くなったジョージ・マーティンについてのポールの見解であるとか、最新の情報が提示されているわけではない。 ポールの情報というのはこの歳になってもなお日々更新型ですから、その点については物足りなさが確実にあります。 さらに、30年以上というとポールのものの考え方にも変化変遷があってしかるべきだと思うのですが、30年以上をリミックスにかけているからその変化というものがつかめてこないもどかしさがある。 表紙を飾ったポールの 「老い」 という問題にも、この本はきちんと答えてくれているわけではない。 さらに言えば、ジョン・レノンの死について多くが割かれているのとは対照的に、2001年に亡くなったジョージ・ハリソンの死についての記述はない。 正直なところ、このような本を読み漁ってきた身としては、衝撃に値するような情報が書かれているわけではありません。 しかし前述したような、リラックスしたムードのなかでポールと語らっているような疑似体験を共有できる強みが、この本にはある。 この本全体に貫かれているのが、この心地よさなのだ、と思うのです。 その心地よさが乱れるパートがあります。 自身の失敗作、どうでもいい作品について語るときのポールは多分に感情的になりがちであり、イライラした様子を隠しません。 特に 「シークレット・フレンド」 を語るポールのくだりはポールファンなら一読に値する部分でしょう。 しかしそのイライラも、ポールの人間性が垣間見える瞬間としてこの本にとっては必要なパートなのです。 3000円以上と、この本は決して安くはない部類の本です。 ただその値段に見合うパフォーマンスは兼ね備えています。 この本と付き合った1か月足らずの間、心地よい体験をすることができました(アマゾンの自身のカスタマーレビューより)。

  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

  • 山口 百恵 -

    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

  • デイヴ・グルーシン&リー・リトナー -

    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

  • 桜田淳子 -

    桜田淳子: ゴールデン☆ベスト 桜田淳子~シングル・コレクション
    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

  • The Beatles -

    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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