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2009年7月17日 (金)

「佐野元春のザ・ソングライターズ」 小田和正 前編

 NHK教育テレビで始まった、佐野元春サン司会による番組、「ザ・ソングライターズ」。
 NHKのアッチャコッチャで再放送してるので、いったいいつがレギュラー枠なのか分からないが、だいぶ遅れて再放送を、ようやく見た。

 テレビ番組に元春サンが出るというのが、まず珍しい。 ただ、イメージ的には、佐野元春サンがテレビに出るなら、やはり教育テレビだろう、というのはある。
 私が元春サンに持っているイメージと言えば、クールな分析派だということに尽きる。 いつも冷静で、この人がふざけているところを、見たことがない。 そりゃ笑ったりもするけど。 でもどこか、その笑いは突き抜けていない。 あくまでそのスタイルを崩さない、それが元春サンのカッコよさ、だったりする。
 そんな学者みたいなタイプの人と、教育テレビというのは、実に相性がいい気がするのだ。

 果たして、第1回目のゲスト、小田和正サンとも、実にまじめな話に終始した。

 だが、小田サンという人も、元春サンと同じように、決して明るいとは言えない性格なのだが、本質的には、元春サンよりずっと、「笑い」 というものに対して興味を抱いているように思われる。
 小田サンのかもし出す笑いは、楽天の野村監督に似ている。 もしくは、つぶやきシロータイプの笑いに似ている。
 つまり、「ボヤキ」 なのである。
 小田サンはどこかで、人を笑わせることに、とても快感を持っている気がするのだ。

 その小田サンが、基本的に超マジメな元春サンと対談をすると、なんか話がはずまないような気がするのだが、そこは小田サン、ひょうひょうとしたスタイルで、その対談の場である、元春サンの母校、立教大学の学生たちを笑わせるのだ。

 まず元春サンが切り出したのは、小田サンが大学時代に志していた建築の世界と、作曲の世界とは、何か共通するものがあるのか?という、予想通りの硬い話から。

 なにもないところからつくる、最終的にディティールを決めていかなくちゃならない、ということをあげてた小田サンだったが、建築の課題でトイレと階段をつくるのを後回しにしたのと同じように、曲作りでも同じことやってると言って笑わせる。

 学生運動の話を次に持ち出した元春サンだったが、これは歌にはならなかったなあ、と小田サン、するりとかわす。 じゃあ何が歌をつくるきっかけだったのか、という話になるが、バンドのメンバーと作って、みたいな答えで、なかなか話が核心に進まない。
 元春サンの望むような流れじゃないかな、と思ったが、「プロになったら洋楽をいくらうまくコピーしても受けないし、拓郎や泉谷みたいな、青春をのたうちまわっているような曲もしっくりこないし」、と逡巡するうち、小田サンが見つけた元春サンへの答えは、「同級生が聴いたらどう思うだろうっていうのが、いちばんのテーマだった」 ということ。

 「ポップソングは時代の表現であり、時代を超えたポエトリーである」 という元春サンのこの番組に寄せるテーマに沿って、元春サンがポエトリーリーディングに選んだ小田サンの1曲は、2000年のアルバム 「個人主義」 に収められていた、「the flag」。
 学生運動に未来の夢を託していた自分たちが、そのあとやってきたこととは何だったんだろう?という、まさに、「同級生」 たちに向けてつくられた曲である。 個人的には、この曲の英語の題名が、大文字で書かれていないことが、大上段なものを否定している、そう感じる。

 オフコース時代、大ヒット曲 「さよなら」 の後に、レコード会社の反対を押し切って発表した、という 「生まれ来る子供たちのために」 も、そんな強いメッセージ性に富んだ曲だ。
 「『さよなら』 っていうのは否定はしないんだけど、いつまでも他人のような顔をしているような、商業的なような、歌ってて不快ではないんだけれども、自分とは距離があるような」「『さよなら』 は問題提起してないからね(笑)でもこれはチャンスだし、問題提起しようと」(主意)
 この曲は、「日本を本気で好きになりたい、なのに、この先、いつまでもこんなんじゃしょうがねえな、と思っている」、その気持ちを書いた、と小田サン。

 「the flag」 にしても、「生まれ来る子供たちのために」 にしても、小田サンの作る歌詞には、外見的な美しさ、やさしさのなかに、「いつまでもこんなんじゃしょうがねえな」 という、ある種の男気、強引さ、みたいなものが存在している。 この2曲を対談の俎上にのせた元春サンの眼力は、やはり侮れない。

 楽しみな番組が、またひとつ増えた。

 後編の記事はこちらです↓
http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/07/post-82b0.html

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コメント

次はさだまさし…
手強いのが続出です
どうせなら、門あさ美出しておくれ♪

投稿: ひろ | 2009年7月18日 (土) 10時40分

ひろ様
ゲゲッ、さだサンですか。 元春サンと、話、合うのかなあ? こりゃますます、目が離せないぞ。 門あさ美サンは、私よく知らないんですけど、個人的には、矢野顕子サンの作曲メソッドを聞きたい気がします。

投稿: リウ | 2009年7月18日 (土) 14時50分

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