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2009年7月 6日 (月)

「官僚たちの夏」 第1回 志というもの

 今クールのドラマのなかで、私の食指が唯一動いたのはこれだけ。 2009年4-6月期は、5本くらいあったんだが。

 で、作品の性格上、ドキュメンタリータッチになるんだろう、と思っていたが、明確なテーマに沿って物語が進行していて、第1回目からうなってしまった、「官僚たちの夏」。
 確かに雰囲気的には、「プロジェクトX」 を気合を入れてやっている、という感じなのだが、登場人物たちの行動の端々からは、「日本のため」 という気迫がにじみ出ていて、それが見る側を単純に感動させる。

 ただ、登場人物たちが、この 「テーマに沿って行動している」 という点には、留意せねばならない。 要するに、「これは事実をまじえたフィクションです」、ということなのだ。 ドラマとして再構築されている、ということなのだ。
 実際の通産省の自動車業界への干渉は、私の乏しい知識から言って、このドラマの論調とは、ちょっと違う。 現代につながる問題点は、確実に存在しているのだ。 佐藤浩市サンたちの純粋混じり気ない 「日本のため」 という気持ちに、感動を感じながらも、どこかそらぞらしさを感じるのは、そのためだ。 事実の一面しか表現しないのは、恣意的なものが入りこむ可能性を、増大させる。

 だからこちらも、純粋にドラマとして論評するが、ドラマとしては、実によくできていた。

 第1回目で効果的に表現されていたのは、「舗装されていない道路」 である。
 現在の道路舗装率から比べると、当時の道路事情というのは、実に貧弱なものだった。 東京の都心でさえ、雨が降ると泥んこの道だらけだったのだ。 当時の自動車業界についてその必然性を議論しようとすると、泥だらけの道路、というのは、絶対に外せない話だ。 まあ実際には、車を作るより、道路が先でしょ、って話なのだが。

 大衆のための自動車を作る、という今回の話では、試作車を悪路のコースで走らせ、見事に分解してしまう、ということをしていたが、その試作車の耐久性などを表現するには、実に効果的な演出だったと言ってよい。

 ドラマは、ようやく完成したその大衆車の試運転で、時速100キロを超えたところで、工場の人間たち、通産省の役人たちが喜びを爆発させる。
 ところが、同席したアメリカ人たちは、「我々はおもちゃには興味がない」 と嘲笑しながら、その場を去っていくのである。
 それは、「戦争で負けたうえに、経済でも負けるわけにはいかない!」 という、当時の人々の 「負けてたまるか」 という根性を、現代のわれわれも共有できる、一瞬だった。
 このシーンだけで、もうこのドラマの存在意義は達成された、と言ってもいいだろう。 このドラマで作り手が言いたいのは、戦後の日本人たちが遺した、現代にまで続いている悪影響ではない。 「志」 なのだ。

 ドラマでは、この自動車工場の長であった蟹江敬三サンが、その開発のための心労か、急死してしまう。 その通夜の席で、佐藤浩市サンは、蟹江サンの妻で、以前佐藤サンにつらく当たっていた市毛良枝サンから、蟹江サンが生前書いていた作業日誌を見せられるのだが、その内容が泣かせる。 佐藤サンは男泣きに泣いてしまうが、これは、「志」 半ばに倒れた人に対する、レクイエムなのだ。

 ドラマとしての物語の構築が、実に優れている、そう感じた、「官僚たちの夏」 第1回だった。
 願わくは、このテンションが、最後まで継続してくれることを願う。

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受信: 2009年7月 6日 (月) 16時52分

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