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2009年7月27日 (月)

「官僚たちの夏」 第4回 手に汗握る局長クラス会議の攻防

 繊維業界の貿易自由化をめぐって繰り広げられる、通産省内の官僚たちの駆け引き、攻防。 今回のこのドラマは、息をもつかせぬ展開で、つくづく良質な大人のドラマを堪能した。
 はっきり言うが、傑作である。

 GATTの国際会議で北大路欣也サン演じる池内通産大臣は、日本の保護貿易主義を世界各国からコテンパンに批判される。
 この回のこのドラマの論点は、まずここから始まっている。 世界中から非難されている保護貿易を解決する方法を、視聴者の側も一緒に迫られるような構成をとっているのだ。

 しかもこの問題提起にはもうひとつのカギが隠されている。
 GATTという組織自体の議論が、アメリカ中心のもとで誘導されている、という事情だ。

 北大路サンは日米安保条約との兼ね合いから、貿易自由化はどうしても成し遂げなければならない試金石だと判断し、通産省の局長クラスの会議におおいに首を突っ込んでくる。
 そして貿易自由化に反対する局長たちを取り込む工作を弄するのだが、これを佐藤浩市サン扮する風越の腹心である堺雅人サンを欺く形で行なっている、というのも舌を巻く。 前回堺サンにブランデーをふるまって打ち解けていたように見せながら、である。 さすが政治家、抜け目がない、としか言いようがない。

 今回の佐藤サンは、そんな北大路サンの政治的駆け引きに振り回される。
 北大路サンの頭を通り越して、大蔵大臣の長塚京三サン(役名須藤恵作、って、佐藤栄作サンのことかな)に、繊維業界への金銭的な援助を頼み込んだりもするのだが。 長塚サンは結局、北大路サンとの党総裁をめぐる駆け引きにも利用されるような形で、佐藤サンの要請を断らざるを得なくなってしまうのだ。

 アメリカへの返答の最終期限が明日に迫った日の会議で、北大路サンは、3年の猶予期間などさまざまな譲歩案を会議に提案し、最終的に、かねてから自分に借りのあった柏原次官を納得させて、繊維業界の貿易自由化を押し切ってしまう。 蛇足だが、この長引く会議のなかで、チキンラーメンとか、焼き芋とかを登場人物たちに食べさせて、時代を感じさせるというさりげない手法をとっているのにも、感心する。

 そしてなにより、最初局長クラス10人のほとんどが反対だった貿易自由化が、徐々に賛成派に押されて、結局ひっくり返されてしまう過程は、見る側を圧倒する。

 そしてこの回ラストには、打ちひしがれる風越たちのもとに、繊維業界どころか、岸(谷)内閣からほとんど全面的な貿易の自由化を決定する法案が出されたとの報せが、佐野史郎サンによってもたらされるのだ。
 このダメ出しは凄い。 要するに、アメリカに完全追従。 ここまであんなに白熱した会議での攻防を見せられたのに、見ている側はいきなりハシゴを外された気分になる。 凄い。

 ナレーションはここで、貿易自由化と日米安保を結びつけて、岸谷内閣の総辞職と、池内内閣の誕生へと雪崩を打つわけだが、最後の最後まで、圧倒されっぱなしだった。 伏線が縦横に張り巡らされていて、見ている側は、ただそれに翻弄されるしかない。

 しかも、ざこば師匠が経営する繊維工場の様子を、ところどころにインサートし、フォローすることも忘れない。 またざこば師匠の演技が、いいのだ。 女工たちにはあくまで笑顔を絶やさず、裏では泣いている。 スキのない演出、というのは、まさにこういうドラマのことを言うのだろう。

 ここまで凄いものを見せられてしまうと、今後どうなっちゃうのか却って心配になってくる。 ゲホゲホ咳をしていた杉本哲太サン演じる牧がフランスから帰ってきて、百万の味方を得たような佐藤サンであるが、さてどうなる。

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コメント

ざこばさんレギュラー食ってるわ!
次回の信人(岡本)☆再びも期待したい…

電子計算機(コンピュータ)の話を一話完結にせず、ちゃんとその後をフォローするのはいいですよね。 ざこばサンは、キャラそのまんまだからかもしれませんけど、あの演技力は凄いと思います。 現場ではアドリブも、ポンポン出ていたそうです。

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BOOKS

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

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  • ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白

    ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白
    まず驚かされるのが、表紙のポールの写真です。 よくこんなのが採用されたな、というくらい、刻まれた年輪が顕著に分かる 「年老いたポール」。 飾り気のないその写真に、「素のポール」 をあぶり出そう、という心意気が見える。 そして実際、著者のその目論見は、成功しているように思えます。 何より大きいのは、「NME」「Q」「MOJO」 など音楽メディアで長年記者を務めてきた著者がポールと同じリバプールの出身者である、ということ。 さらにポールと同じファースト・ネームであること。 だからポールはまるで自分の分身に話しかけるかのように、時折同郷人にしか分からない言葉で気さくに著者に話しかける。 この本を読む者は、まずその 「不思議なリラックス感」 に包まれるはずです。  本の構成は大きく二つに分かれます。 前半ではビートルズからウィングス、ソロに至るポールのたどってきた長い長い歴史、後半ではポールの人格に迫る試みがなされていく。 そのインタビューは、一気に行なわれたものではありません。 著者がNMEの記者だった1979年のものから、明示はされていないがおそらく2013年、「NEW」 の発売前後が最新のものではないか、と思われます。 実際読んだ感覚では 「キス・オン・ザ・ボトム」 あたりが最新のような気もする。 その30年以上にわたる膨大なポールへのインタビューを、項目によって構成し直しているようです。 ですから、今年(2016年)亡くなったジョージ・マーティンについてのポールの見解であるとか、最新の情報が提示されているわけではない。 ポールの情報というのはこの歳になってもなお日々更新型ですから、その点については物足りなさが確実にあります。 さらに、30年以上というとポールのものの考え方にも変化変遷があってしかるべきだと思うのですが、30年以上をリミックスにかけているからその変化というものがつかめてこないもどかしさがある。 表紙を飾ったポールの 「老い」 という問題にも、この本はきちんと答えてくれているわけではない。 さらに言えば、ジョン・レノンの死について多くが割かれているのとは対照的に、2001年に亡くなったジョージ・ハリソンの死についての記述はない。 正直なところ、このような本を読み漁ってきた身としては、衝撃に値するような情報が書かれているわけではありません。 しかし前述したような、リラックスしたムードのなかでポールと語らっているような疑似体験を共有できる強みが、この本にはある。 この本全体に貫かれているのが、この心地よさなのだ、と思うのです。 その心地よさが乱れるパートがあります。 自身の失敗作、どうでもいい作品について語るときのポールは多分に感情的になりがちであり、イライラした様子を隠しません。 特に 「シークレット・フレンド」 を語るポールのくだりはポールファンなら一読に値する部分でしょう。 しかしそのイライラも、ポールの人間性が垣間見える瞬間としてこの本にとっては必要なパートなのです。 3000円以上と、この本は決して安くはない部類の本です。 ただその値段に見合うパフォーマンスは兼ね備えています。 この本と付き合った1か月足らずの間、心地よい体験をすることができました(アマゾンの自身のカスタマーレビューより)。

  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

  • 山口 百恵 -

    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

  • デイヴ・グルーシン&リー・リトナー -

    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

  • 桜田淳子 -

    桜田淳子: ゴールデン☆ベスト 桜田淳子~シングル・コレクション
    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

  • The Beatles -

    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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