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2009年8月15日 (土)

「風の絵師」 第8-13回 御真画師の顛末

 どうしてもネタバレになってしまいますが、ご了承ください。

 このところちょっと見るのをサボっていた 「風の絵師」。
 第8回から11回までは、王様の細密な肖像画を描く作業、「御真画師」 について、「起」「承」「転」「結」 の4回にわたってやっていたので、一気に見ようと思ったために、見るのがお盆休みにずれ込んでしまった。
 ところが実際にはちっとも 「結」 で 「結」 にならず、13話まで、約5時間近くにわたって一気に見る羽目になってしまった。 面白すぎて困る。 ちょっと展開が読めるところはあるけれど。 だからと言ってこのドラマの評価を下げる理由にはならない。

 「御真画師」 の選抜でキム・ホンドたちの刺客として清から呼ばれたのが、「チャングム」 の王様、イム・ホサン。 やたら口が悪くて、ワルモノの様子。
 この人、「テジョヨン」 でも悪者みたいな役をやってたけど、どうにも演技がさわやか過ぎて、根っからの悪者になり切れない、というか。 そこがいいんだけど。 最後には、憎まれ口を叩きながらもキム・ホンドに大切な忠告をしていくし。 いいヤツだよなー。

 選抜試験の課題は、実際に人物を見て描かせるのではなくて、その人の特徴を聞いて描かせる、という、犯人の人相書みたいな課題。 メガネをイム・ホサンに壊されて絶体絶命のキム・ホンド、弟子のユンボクに顔の部分をすべて任せる。
 ユンボクはその特徴から、その人の顔を昔のテリー伊藤サンみたいにロンパリに描いて選考員たちの不興を買うのだが、実際に出てきたその画題の人は、ユンボクの描いた絵に瓜二つ。

 ここらへん、先に述べたように、結構予想のつく展開であるが、キム・ホンドを陥れようとしている連中の憎々しい演技がうまいので、ついつい引き込まれてしまう。
 なにしろ、その連中の、絵をけなす理由と、それに対抗するキム・ホンドの言い分が、美術に興味のある者なら引き込まれてしまう内容なのだ。 これがいい。
 そしてそのせめぎあいや、キム・ホンドとユンボクの精進の様子を見ていると、西洋美術に対して写実性に乏しいと個人的に思っていた中国、朝鮮系の絵画が、いかに精緻にこだわり、さまざまな知識の集積から生まれたものであるか、というのが分かる。
 物語の弱さを、こうした細部にわたる予備知識によって、克服しているのだ。

 そして王様の肖像を描く段になって、今までのしきたりを一挙に塗り替えるポーズを、王様はとる。
 そのしきたりの意味を知ったり、御真画が描かれていく過程を見るのが楽しい。
 その過程で、また敵対する連中によって顔料が変色してしまう危機に見舞われるが、ユンボクの兄ヨンボクの尽力によって、事なきを得る。

 このことは、のちのち物語を大きく変える原因になってしまうのだが、その絡ませ方がまたすごい。
 顔料を見事作りおおせたヨンボクと、ユンボクが抱擁しているところをキム・ホンドが目撃して、ユンボクが女なのではないかというかねてからの疑念をさらに深くするところ。
 その時顔料を作りすぎたせいで、ヨンボクが毒気にやられて死んでしまうところ。
 御真画が完成した時に、その兄が自分の命を投げ出して作った顔料をけなされたことで、ユンボクが怒りのあまり御真画を破ってしまうところ。
 この物語の進め方はさすがだ。 ただ、実際に描いたであろうその御真画、破いてしまうには誠に惜しい精密さだった。

 王様が大臣たちにカマをかけて、御真画を破ったユンボクの罪を不問にしてしまうところなどは、またまた読めてしまったが、結局ユンボクはキーセンのチョンヒャンの旦那のおつきの絵師になる、というこの展開も、なんとも先が見たくなるではないか。

 ただ、この期に及んでどうしてユンボクが女を隠し続けるのかとか、キム・ホンドは本当に親友と師匠の恨みを晴らすつもりはあるのかとか、よく分からないことがいろいろある。
 困ったな。 またいったん見たい気持ちを封印して、あとで一気にまとめてみようかな。 これじゃ毎週月金の放送でも、先が気になってしょうがなくなるから。

当ブログ 「風の絵師」 に関するほかの記事
第1回 久々に期待できそうな韓国ドラマhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/07/post-0a76.html
第2回 絵を描くこととはhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/07/2-253f.html
第3回 自分に掌破刑!http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/07/post-e51d.html
第4回 ドリフの大爆笑みたいだった?http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/07/post-0635.html
第5-7回 なぜ女が女に惹かれるのかhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/08/--573e.html
第8回-13回 御真画師の顛末http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/08/8-13-e110.html
最終回まで見てhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/08/post-a6bc.html

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BOOKS

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 上

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 上
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ記事より抜粋)。 この上巻ではビートルズの祖先から遡ってリバプールで人気に火が付き始めたところまでが書いてあります。

  • ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白

    ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白
    まず驚かされるのが、表紙のポールの写真です。 よくこんなのが採用されたな、というくらい、刻まれた年輪が顕著に分かる 「年老いたポール」。 飾り気のないその写真に、「素のポール」 をあぶり出そう、という心意気が見える。 そして実際、著者のその目論見は、成功しているように思えます。 何より大きいのは、「NME」「Q」「MOJO」 など音楽メディアで長年記者を務めてきた著者がポールと同じリバプールの出身者である、ということ。 さらにポールと同じファースト・ネームであること。 だからポールはまるで自分の分身に話しかけるかのように、時折同郷人にしか分からない言葉で気さくに著者に話しかける。 この本を読む者は、まずその 「不思議なリラックス感」 に包まれるはずです。  本の構成は大きく二つに分かれます。 前半ではビートルズからウィングス、ソロに至るポールのたどってきた長い長い歴史、後半ではポールの人格に迫る試みがなされていく。 そのインタビューは、一気に行なわれたものではありません。 著者がNMEの記者だった1979年のものから、明示はされていないがおそらく2013年、「NEW」 の発売前後が最新のものではないか、と思われます。 実際読んだ感覚では 「キス・オン・ザ・ボトム」 あたりが最新のような気もする。 その30年以上にわたる膨大なポールへのインタビューを、項目によって構成し直しているようです。 ですから、今年(2016年)亡くなったジョージ・マーティンについてのポールの見解であるとか、最新の情報が提示されているわけではない。 ポールの情報というのはこの歳になってもなお日々更新型ですから、その点については物足りなさが確実にあります。 さらに、30年以上というとポールのものの考え方にも変化変遷があってしかるべきだと思うのですが、30年以上をリミックスにかけているからその変化というものがつかめてこないもどかしさがある。 表紙を飾ったポールの 「老い」 という問題にも、この本はきちんと答えてくれているわけではない。 さらに言えば、ジョン・レノンの死について多くが割かれているのとは対照的に、2001年に亡くなったジョージ・ハリソンの死についての記述はない。 正直なところ、このような本を読み漁ってきた身としては、衝撃に値するような情報が書かれているわけではありません。 しかし前述したような、リラックスしたムードのなかでポールと語らっているような疑似体験を共有できる強みが、この本にはある。 この本全体に貫かれているのが、この心地よさなのだ、と思うのです。 その心地よさが乱れるパートがあります。 自身の失敗作、どうでもいい作品について語るときのポールは多分に感情的になりがちであり、イライラした様子を隠しません。 特に 「シークレット・フレンド」 を語るポールのくだりはポールファンなら一読に値する部分でしょう。 しかしそのイライラも、ポールの人間性が垣間見える瞬間としてこの本にとっては必要なパートなのです。 3000円以上と、この本は決して安くはない部類の本です。 ただその値段に見合うパフォーマンスは兼ね備えています。 この本と付き合った1か月足らずの間、心地よい体験をすることができました(アマゾンの自身のカスタマーレビューより)。

  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

  • 山口 百恵 -

    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

  • デイヴ・グルーシン&リー・リトナー -

    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

  • 桜田淳子 -

    桜田淳子: ゴールデン☆ベスト 桜田淳子~シングル・コレクション
    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

  • The Beatles -

    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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