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2009年8月18日 (火)

「官僚たちの夏」 第7回 政治家の信念

 「官僚たちの夏」 第7回は、国内産業保護法案をめぐる攻防。

 このドラマ、話が難しすぎるのと、選挙を控えたこの時期に放送することの意図を嫌われているせいか、視聴率は 「こち亀」 並みに低い。
 いや、話が難しすぎるんだろうな。
 「社会派のドラマ」 という形容詞は、「難しくてついていけません」 と同義だったりするから。

 もったいないことだ。
 交わされる内容は難しくても、それを抜きにした次元で、ちゃんとエンターテイメントとして、ドラマのスタッフは完璧なものを作り上げているというのに。
 このドラマは、現在の民放テレビの 「良心」 だと私は思う。
 芸術祭に参加しなくても、こういうレベルの連続ものを普段からちゃんと作り続けていれば、日本のテレビは世界に誇れるように、必ずなっていくはずだ。

 もちろん視聴率がいいに越したことはないが、それとは別次元の価値があってもいいと、私は思う。
 ただそう思ったうえで言いたいのは、今回主人公の風越(佐藤浩市サン)たちが必死になって推し進める国内産業保護法(実際には 「特定産業振興臨時措置法」)が、具体的にどのポイントで国内産業を保護し、どのポイントが銀行や経済産業界に嫌われているのか、もうちょっと分かりやすい形で示せなかったかな、ということだ。
 この法案自体、国内産業を外圧から保護してくれるという法案だというのに、当の産業界はどこが気にくわぬ、というのだろうか。

 ドラマでは、池内総理(北大路欣也サン)と片山(高橋克典サン、悪役に磨きがかかってまいりました)、毎朝新聞の記者との結託による恣意的な情勢操作、また佐藤B作サン(田中角栄サンでしょうかね)の風越に対する対抗心、嫉妬心を描きながら展開していった。
 そして、事あるごとにムカつく対応をする帝都銀行の頭取が、法案説明会で激昂する風越に向かって 「これじゃ戦前のファッショと同じだ」 みたいなことを言う。 これがきっかけとなって、風越に対する風当たりが一挙に強まった、という描き方をしていた。
 しかし、現実には官僚による国内産業の統制だとか、産業界が反発するに足るきちんとした理由も、この法案の内容には隠されていたのではないのか。

 や、自分で書いてて思いましたが、難しいっスね、私の話自体も。

 ドラマではでも、ちゃんと産業界が反発する理由も、ワタシ的には不満も残ったが、それなりには説明していたと思う。
 作り手が、もっと重点的に表現したいのは、「パワーゲーム」 のほうだろう。

 このドラマを見ていると、池田勇人氏と佐藤栄作氏の虚々実々の駆け引きや、田中角栄氏のメンツや行動力(「コンピュータ付きブルドーザー」 とか言われてましたよね)から、政治家の 「大物」 ぶりが浮き彫りになってくるのがよく分かる。
 とくに今回北大路欣也サンが佐藤浩市サンに向かって放った言葉。
 「返り血が怖くて一国の総理が務まると思うのか」。
 本人が実際にそう言ったかどうかは別として、このドラマで描かれる政治家たちは、この言葉に象徴されるように、自分なりの信念というものを揺るがせにしない。
 周囲に反対されたら我慢できなくてさっさと辞めちまうような腰抜け政治家は、ひとりとして登場しないのである。

 だがそれでも、ドラマの中で、現在の情けない政治家につながるような萌芽がみられない、ということでもない。
 長塚京三サンが 「政治家が、信念よりも損得を考えるようになったら、国は滅びます」 と言うのに、「そこがキミの甘いところだ」 と派閥のトップにかわされるシーンがあった。 損得に流されっぱなしなのが、今の政治全体ではないのか。

 物語は風越たちの敗北に終わり、法案は廃案、風越は船越英一郎サンと入れ替わりで特許庁へ飛ばされることになる。
 風越と次官の丸谷要(西村雅彦サン)との別れのシーンで、西村サンが佐藤サンの言葉に 「そんな優しいことを言ってくれるな」 と答えるのには、結構グッときた。 風越の猪突猛進ぶりに反感を抱いていた牧(杉本哲太サン)が、ラストで船越サン一派に乗り換えたのは、ちょっと残念だったなあ。

 それにしても、次回から第2部、とのことだったが、前回のブログでも書いたけれども、急ぎ足でやらないで、もうちょっと回数増やしてていねいにやったらいいのに、と思うばかりである。

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BOOKS

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

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  • ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白

    ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白
    まず驚かされるのが、表紙のポールの写真です。 よくこんなのが採用されたな、というくらい、刻まれた年輪が顕著に分かる 「年老いたポール」。 飾り気のないその写真に、「素のポール」 をあぶり出そう、という心意気が見える。 そして実際、著者のその目論見は、成功しているように思えます。 何より大きいのは、「NME」「Q」「MOJO」 など音楽メディアで長年記者を務めてきた著者がポールと同じリバプールの出身者である、ということ。 さらにポールと同じファースト・ネームであること。 だからポールはまるで自分の分身に話しかけるかのように、時折同郷人にしか分からない言葉で気さくに著者に話しかける。 この本を読む者は、まずその 「不思議なリラックス感」 に包まれるはずです。  本の構成は大きく二つに分かれます。 前半ではビートルズからウィングス、ソロに至るポールのたどってきた長い長い歴史、後半ではポールの人格に迫る試みがなされていく。 そのインタビューは、一気に行なわれたものではありません。 著者がNMEの記者だった1979年のものから、明示はされていないがおそらく2013年、「NEW」 の発売前後が最新のものではないか、と思われます。 実際読んだ感覚では 「キス・オン・ザ・ボトム」 あたりが最新のような気もする。 その30年以上にわたる膨大なポールへのインタビューを、項目によって構成し直しているようです。 ですから、今年(2016年)亡くなったジョージ・マーティンについてのポールの見解であるとか、最新の情報が提示されているわけではない。 ポールの情報というのはこの歳になってもなお日々更新型ですから、その点については物足りなさが確実にあります。 さらに、30年以上というとポールのものの考え方にも変化変遷があってしかるべきだと思うのですが、30年以上をリミックスにかけているからその変化というものがつかめてこないもどかしさがある。 表紙を飾ったポールの 「老い」 という問題にも、この本はきちんと答えてくれているわけではない。 さらに言えば、ジョン・レノンの死について多くが割かれているのとは対照的に、2001年に亡くなったジョージ・ハリソンの死についての記述はない。 正直なところ、このような本を読み漁ってきた身としては、衝撃に値するような情報が書かれているわけではありません。 しかし前述したような、リラックスしたムードのなかでポールと語らっているような疑似体験を共有できる強みが、この本にはある。 この本全体に貫かれているのが、この心地よさなのだ、と思うのです。 その心地よさが乱れるパートがあります。 自身の失敗作、どうでもいい作品について語るときのポールは多分に感情的になりがちであり、イライラした様子を隠しません。 特に 「シークレット・フレンド」 を語るポールのくだりはポールファンなら一読に値する部分でしょう。 しかしそのイライラも、ポールの人間性が垣間見える瞬間としてこの本にとっては必要なパートなのです。 3000円以上と、この本は決して安くはない部類の本です。 ただその値段に見合うパフォーマンスは兼ね備えています。 この本と付き合った1か月足らずの間、心地よい体験をすることができました(アマゾンの自身のカスタマーレビューより)。

  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

  • 山口 百恵 -

    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

  • デイヴ・グルーシン&リー・リトナー -

    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

  • 桜田淳子 -

    桜田淳子: ゴールデン☆ベスト 桜田淳子~シングル・コレクション
    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

  • The Beatles -

    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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