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2009年10月26日 (月)

「天地人」 第43回 いままでで一番の出来でした

 「天地人」 第43回、いよいよ物語も佳境、というところですが。

 今回のメインは、妻夫木クンと小泉孝太郎クンの兄弟の絆。
 脚本が、素晴らしかったです。 あんまりシャミセンを弾かないでもらいたいものです。 これだけの話を書けるのならば。

 石原良純サンの福島正則と話しこんでいるうちに、半ばたきつけられたような、小泉クン演じる大国実頼。 妻夫木クンが徳川との折り合いをつけるため、上杉の存続をかけてギリギリの選択をした本多正信の息子との婚儀も、東幹久サン演じる泉沢が止めるの聞かず、自分の一存で断ってしまう。
 自分は上杉家中の不満を代表しているのだ、もののふが自らの保身に汲々としてどうなる、という、このときの小泉クンの表情は、まるで郵政民営化を強引に押し通し、自民党がぶっ壊れても構わない、という覚悟を前面に出していたころのオヤジサンをほうふつとさせる姿でした(笑)。

 当然徳川方は、これに乗じて上杉をとりつぶそうとするんですが、妻夫木クンは終始一貫して、本多親子や徳川に平身低頭、平謝りし続ける。

 これを上杉が徳川にヘーコラしている、上杉の義はどうした、情けねー、誇りがないのかなどと、口で言うのは簡単です。
 事実上、上杉がお家の存続を第一に考えたのだとしても、それは武士道にもとることだとしても、そんな批判の嵐のなかで職務を全うしようとした妻夫木クンの覚悟たるやいかに、と思われてなりません。

 本多親子のもとを謝罪に訪れた妻夫木クンは、ここで重要なセリフを言うのです。

 「義だ、誇りだと、声高に叫ぶ者たちの心中にあるのは、ただおのが体面のみ。 我らが奉ずる義とは、もっと大きなもの」

 結局それがいかなるものであるのかは、このシーンではついに語られませんでしたが、要するに上杉の義とは、狭義なメンツなどではない、ということなのです。

 メンツというのは、自らの信じるものに潔くありたい、と思う心のことだと思いますが、それは裏を返せば、自分や自分のお家さえカッコよければいい、という勝手さと、表裏一体の部分がある。 泥をかぶることは、その点においてまことにみっともなく、カッコ悪い。 だがいくら後世からカッコ悪いとの謗りを受けようとも、生きのびてこそ浮かぶ瀬もある、という兼続の考え方は、現代でこそますます光ってくる考えのように思えるのです。

 ここで妻夫木クンの申し開きを聞いていた本多正信の描きかたが、またよかった。
 終始、黙ったままなんですよ。 妻夫木クンをじっと見据えて。
 そして絶望的状況だった上杉家に対して、寛大な処置を進言する。 小泉クンの首がつながって、高野山に追放、ということですよ。
 男は黙ってサッポロビール(笑)、って感じです。 松山政路サン。

 そのあとひとり酒を飲む妻夫木クンの場面もよかったぁ。
 小泉クンから言われた、「兄上のやっていることは、ホントに上杉のためなのですか?」 という言葉を思い出して逆上し、いったん盃を振り上げるのですが、思いとどまって投げるのをやめ、「…実頼…」 と絞り出すように吐き捨てる。
 自らも、武士としてのメンツを守りたいという気持ちがまだ心のなかにくすぶっているからこその、このシーンでした。
 こういう、「上杉の義」 をめぐる複雑な葛藤は、物語を限りなく深くしているように思います。

 高野山へ追放の沙汰を妻夫木クンから申し渡され、「私を死罪にして、家中への見せしめにしてください!」 と迫る小泉クンに、妻夫木クンが言うセリフ。 今年の大河のなかで、最も感動した気がします。
 「実頼、この世の中、捨てたものではない。 生きて罪を償えば、また新たな望みも生まれる! 罪を負うておるのは、わしもじゃ…。 実の弟を、ここまで追い詰めてしもうた…。 たとえ、今生の別れでも、心は常に、お主とともにある…」
 泣きました。

 開墾が続く農地で、妻夫木クンがふと見かけた幼い兄弟に、与六と与七時代の姿を思い出し、胸を熱くするシーンは、その涙をさらにダメ押しさせていただきました。
 ここでダメを押されるとは。 すごいですよ、ホント、この脚本。

 冒頭にも書きましたが、これだけの優れた話を書けるのならば、シャミセンなど弾かないでもらいたいものであります。

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» 天地人 第43回「実頼追放」 [あしたまにあーな]
今回は、久しく語られることがなかった上杉の正しい「義」の考え方について実頼という存在を通して教えて貰ったような気がします。これまで、曲がったことはせずに自分たちが正しいと思う道こそが義なのではないかと思っていたときもありましたが、それは兼続に言わせると全然違っていたんですね。そのことを上杉の主君である景勝ではなく兼続を通して知ることになります。 実頼も少しかわいそうな気がしますね。自分でも上に書いたような考え方をしてしまうのに、それをきちんと説明を受けずに自分が決めたことだからと兼続に言われて納... [続きを読む]

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BOOKS

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

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     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ記事より抜粋)。 この上巻ではビートルズの祖先から遡ってリバプールで人気に火が付き始めたところまでが書いてあります。

  • ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白

    ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白
    まず驚かされるのが、表紙のポールの写真です。 よくこんなのが採用されたな、というくらい、刻まれた年輪が顕著に分かる 「年老いたポール」。 飾り気のないその写真に、「素のポール」 をあぶり出そう、という心意気が見える。 そして実際、著者のその目論見は、成功しているように思えます。 何より大きいのは、「NME」「Q」「MOJO」 など音楽メディアで長年記者を務めてきた著者がポールと同じリバプールの出身者である、ということ。 さらにポールと同じファースト・ネームであること。 だからポールはまるで自分の分身に話しかけるかのように、時折同郷人にしか分からない言葉で気さくに著者に話しかける。 この本を読む者は、まずその 「不思議なリラックス感」 に包まれるはずです。  本の構成は大きく二つに分かれます。 前半ではビートルズからウィングス、ソロに至るポールのたどってきた長い長い歴史、後半ではポールの人格に迫る試みがなされていく。 そのインタビューは、一気に行なわれたものではありません。 著者がNMEの記者だった1979年のものから、明示はされていないがおそらく2013年、「NEW」 の発売前後が最新のものではないか、と思われます。 実際読んだ感覚では 「キス・オン・ザ・ボトム」 あたりが最新のような気もする。 その30年以上にわたる膨大なポールへのインタビューを、項目によって構成し直しているようです。 ですから、今年(2016年)亡くなったジョージ・マーティンについてのポールの見解であるとか、最新の情報が提示されているわけではない。 ポールの情報というのはこの歳になってもなお日々更新型ですから、その点については物足りなさが確実にあります。 さらに、30年以上というとポールのものの考え方にも変化変遷があってしかるべきだと思うのですが、30年以上をリミックスにかけているからその変化というものがつかめてこないもどかしさがある。 表紙を飾ったポールの 「老い」 という問題にも、この本はきちんと答えてくれているわけではない。 さらに言えば、ジョン・レノンの死について多くが割かれているのとは対照的に、2001年に亡くなったジョージ・ハリソンの死についての記述はない。 正直なところ、このような本を読み漁ってきた身としては、衝撃に値するような情報が書かれているわけではありません。 しかし前述したような、リラックスしたムードのなかでポールと語らっているような疑似体験を共有できる強みが、この本にはある。 この本全体に貫かれているのが、この心地よさなのだ、と思うのです。 その心地よさが乱れるパートがあります。 自身の失敗作、どうでもいい作品について語るときのポールは多分に感情的になりがちであり、イライラした様子を隠しません。 特に 「シークレット・フレンド」 を語るポールのくだりはポールファンなら一読に値する部分でしょう。 しかしそのイライラも、ポールの人間性が垣間見える瞬間としてこの本にとっては必要なパートなのです。 3000円以上と、この本は決して安くはない部類の本です。 ただその値段に見合うパフォーマンスは兼ね備えています。 この本と付き合った1か月足らずの間、心地よい体験をすることができました(アマゾンの自身のカスタマーレビューより)。

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MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

  • 山口 百恵 -

    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

  • デイヴ・グルーシン&リー・リトナー -

    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

  • 桜田淳子 -

    桜田淳子: ゴールデン☆ベスト 桜田淳子~シングル・コレクション
    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

  • The Beatles -

    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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