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2009年10月20日 (火)

「吉田拓郎が語る加藤和彦」 あらためて感じた、ふたりの絆

 ニッポン放送2009年10月20日の特番、「吉田拓郎が語る加藤和彦」。

 「吉田拓郎のオールナイトニッポンGOLD」 の前番組で、拓郎サンが先日亡くなった加藤和彦サンについて語る、というので、ほんの数分にも満たないコメントで終わるのか、と思ったら、ずいぶん長い間、拓郎サンは加藤サンについて語り続けた。 その時間、約30分。

 今年3月だったか、NHKBS2で放送された特番以来の、拓郎サンの声だったが、はじめのうちは かすれがちで、ハスキーな声になったなあ、と感じた。
 拓郎サンのしゃべりというのは、歌と違って、結構低音だというのが、私の認識である。 それが、やや甲高い声になっているような感じを受けた。

 ただ、しゃべりが長くなっていくにつれて、本来の拓郎サンの声を取り戻していくような感じ。
 さらにしゃべりが熱を帯びていくにつれて、加藤サンが亡くなったことも忘れてしまったような、「あいつはさあー」、みたいな話になっていき、湿っぽい雰囲気は、雲散霧消した。

 拓郎サンからすると、加藤サンはひとつ年下だったと、拓郎サンがしゃべるまで、そのことに気付かなかった。
 たしかに、そうだった(!)。
 キャリアは加藤サンのほうが先だったし、「結婚しようよ」 のプロデュースを加藤サンがしていた、ということから、すっかり加藤サンのほうが年上だという誤解をしていた。

 「結婚しようよ」 の曲が出来上がっていく過程も、拓郎サンは今回語ったが、それは聴いているこちら側もぞくぞくするような話だった。
 最初、スリーフィンガーのおとなしめの曲だった 「結婚しようよ」 を、ボトルネック奏法という、当時拓郎サンが知らなかった、そして今も弾くことができない、というテクニックを使って弾き、松任谷正隆サンにバンジョーを弾かせ、ハーモニウムという、小学校に置いてあるような足こぎのオルガンで間奏を作っていく。 拓郎サンはその様子を、こういうこともできるのか、という驚きで見ていたらしい。 アレンジが出来上がっていくにしたがって、「いい曲じゃない?」 というのが、「売れるよこの曲」「絶対売れる」 というように、周囲の反応も変わっていったと。

 加藤サンの仕事ぶりを見ていて、自分もエレックレコードなんかにいちゃいけない、と思ったらしくて、メジャーレーベルに移籍したのは、ある意味では加藤サンがいたからこそ、というとらえ方を拓郎サンはしていた。

 ギブソンJ-45の話も興味深かった。

 この伝説のギター、加藤サンが拓郎サンに15万円で譲ったそうだ。 15万というのは、ボロボロだったということもあって、その値段が妥当かどうか分からなかったらしいのだが、石川鷹彦サンをはじめ、結構評判がよくて、いろんな人のレコーディングに、駆り出された、という。

 このJ-45の話は、この春先NHK教育でやっていた 「フォークギター再入門」 で、当の石川鷹彦サンもしていた(当ブログ5月10日、「『リンゴ』 裏話聞けた」の項を、よろしかったらお読みください)。
 その記事の石川サンの証言から抜粋すれば、そのJ-45は裏側に反り返っていたため、弦がボディにほとんどくっついているような形。
 だがそのことがかえって、指の抑えやすさ、アタックのしやすさにつながり、弾きやすさにつながったのだろう。

 「加藤和彦は、あまり言われたことがないが、ギターがめちゃくちゃうまい」。
 トノバンの愛称の元となった、「イギリスのボブ・ディランと呼ばれた、ドノヴァン」 のギターの弾きかたをマスターしていて、いろんなテクニックを、拓郎サンは加藤サンから教わったという。 ギターを弾きながらそれを解説していく拓郎サンの放送は、かつての 「オールナイトニッポン」 を強烈に思い出させる。 私も、高校時代に逆戻りしたような感覚に陥ってしまう。

 奥さんであった安井かずみサンとの話も、おふたりとも亡くなってしまった今となると、妙に感慨深い。 だが拓郎サンの話しぶりは、まるでまだおふたりとも、生きているかのような気さくさだ。 安井サンから、「拓郎、あなたはライオンなのよ!」 と一喝されたことも、笑い話みたいに振り返る。

 拓郎サンの話というのは、半ばネタ化(笑)している面があるため、どこかで聞いた話もところどころ含まれてはいたが、いずれにせよ、加藤サンとの思い出を30分にもわたって語り続けられる、というのは、おふたりの絆が普通の付き合いでなかったことを物語って余りある。

 拓郎サンがおしまいに選んだ曲は、加藤サンとのデュエット曲、「ジャスト・ア・Ronin」。 武田鉄矢サン主演の坂本龍馬の映画の主題歌だった。 拓郎サンも、高杉晋作の役で出ていた。 あのカーリーヘアのまんまで(笑)。 だけど、実にハマっている、と思ったものだ。 「ジャスト・ア・Ronin」 も、当時よく聴いた。

 「加藤和彦、永遠なれ」。 最後の語りは、あらためて加藤サンが亡くなってしまったことを思い出したように、拓郎サンの万感の思いが迫るものだった。

 いま、後番組の 「吉田拓郎のオールナイトニッポンGOLD」 を聴きながら、この記事を書いているが、こちらの拓郎サンは、元気いっぱいだ。 たぶん別の日に収録したのだろう。(追記・そうでもないみたい。 不幸なこともありました、と言ってました。 石川鷹彦サンから、お前はまだやることが残っているぞとメールをもらったらしいです)
 それにしても元気だなあ。 ムチャクチャ元気だ。
 ちょっと、これでは、声がハスキーなのも、あれ?ライヴをやってその足でニッポン放送に立ち寄って、ガラガラ声で 「オールナイト」 をやってるのか?みたいに錯覚するほど。

 これだけ元気だったら、先月の加藤サンも出演した、こうせつサンのつま恋サマーピクニックにも、1曲くらい参加できただろうと思えるくらいである。
 しかしこの、最後のツアー、ライヴ盤を出すらしくて、その話を番組ではずっとしているが、開演前にやったというパフォーマンスとか、MC全部入れたとか、これまでのライヴ盤の常識を打ち破るものみたいだ。

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BOOKS

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

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  • ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白

    ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白
    まず驚かされるのが、表紙のポールの写真です。 よくこんなのが採用されたな、というくらい、刻まれた年輪が顕著に分かる 「年老いたポール」。 飾り気のないその写真に、「素のポール」 をあぶり出そう、という心意気が見える。 そして実際、著者のその目論見は、成功しているように思えます。 何より大きいのは、「NME」「Q」「MOJO」 など音楽メディアで長年記者を務めてきた著者がポールと同じリバプールの出身者である、ということ。 さらにポールと同じファースト・ネームであること。 だからポールはまるで自分の分身に話しかけるかのように、時折同郷人にしか分からない言葉で気さくに著者に話しかける。 この本を読む者は、まずその 「不思議なリラックス感」 に包まれるはずです。  本の構成は大きく二つに分かれます。 前半ではビートルズからウィングス、ソロに至るポールのたどってきた長い長い歴史、後半ではポールの人格に迫る試みがなされていく。 そのインタビューは、一気に行なわれたものではありません。 著者がNMEの記者だった1979年のものから、明示はされていないがおそらく2013年、「NEW」 の発売前後が最新のものではないか、と思われます。 実際読んだ感覚では 「キス・オン・ザ・ボトム」 あたりが最新のような気もする。 その30年以上にわたる膨大なポールへのインタビューを、項目によって構成し直しているようです。 ですから、今年(2016年)亡くなったジョージ・マーティンについてのポールの見解であるとか、最新の情報が提示されているわけではない。 ポールの情報というのはこの歳になってもなお日々更新型ですから、その点については物足りなさが確実にあります。 さらに、30年以上というとポールのものの考え方にも変化変遷があってしかるべきだと思うのですが、30年以上をリミックスにかけているからその変化というものがつかめてこないもどかしさがある。 表紙を飾ったポールの 「老い」 という問題にも、この本はきちんと答えてくれているわけではない。 さらに言えば、ジョン・レノンの死について多くが割かれているのとは対照的に、2001年に亡くなったジョージ・ハリソンの死についての記述はない。 正直なところ、このような本を読み漁ってきた身としては、衝撃に値するような情報が書かれているわけではありません。 しかし前述したような、リラックスしたムードのなかでポールと語らっているような疑似体験を共有できる強みが、この本にはある。 この本全体に貫かれているのが、この心地よさなのだ、と思うのです。 その心地よさが乱れるパートがあります。 自身の失敗作、どうでもいい作品について語るときのポールは多分に感情的になりがちであり、イライラした様子を隠しません。 特に 「シークレット・フレンド」 を語るポールのくだりはポールファンなら一読に値する部分でしょう。 しかしそのイライラも、ポールの人間性が垣間見える瞬間としてこの本にとっては必要なパートなのです。 3000円以上と、この本は決して安くはない部類の本です。 ただその値段に見合うパフォーマンスは兼ね備えています。 この本と付き合った1か月足らずの間、心地よい体験をすることができました(アマゾンの自身のカスタマーレビューより)。

  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

  • 山口 百恵 -

    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

  • デイヴ・グルーシン&リー・リトナー -

    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

  • 桜田淳子 -

    桜田淳子: ゴールデン☆ベスト 桜田淳子~シングル・コレクション
    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

  • The Beatles -

    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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