« だんだん重くなっていくパソコン… | トップページ | 「JIN-仁-」 第8回 自分の器との闘い! »

2009年11月29日 (日)

「坂の上の雲」 第1回 いや、ガイじゃのう!

 NHKが近年になく総力を挙げて制作していると思われる、「坂の上の雲」。
 その第1回が、ようやく始まりました。
 第1回を見た限りの印象で言うと、ただひたすら、そのスケールの大きさに、圧倒された感があります。
 愛媛の町並みは、こんなところがもし残っているとすれば凄いと思わせるし、東京の馬車鉄道や、軍艦のセットも、いくら一部にCGを使ったとしても、ある程度は違うもののように見えるし、それを作ったとなると、いくら金がかかっているのかと思うほど。
 前にも書きましたが、これだけ力のこもったものを作ったおかげで、「天地人」 がしょぼくなってしまったとしか、もはや考えられない。

 しかしこれだけのものを見せてくれるのだから、受信料の払い甲斐もあるというものです(笑)。
 まるで映画を見ている感じ、いや、それ以上のものを感じます。
 例えて言えば、昔の映画、「人間の條件」 といった長尺ものを思い起こさせるほどの感覚。

 だがそれだけの大作にもかかわらず、徹頭徹尾見る側に緊張を強いる作品なのかというと、そうでもありません。
 その象徴的なものが、主人公、秋山真之の 「オナラ」(笑)。
 この主人公、生まれた時からオナラをしている(笑)。
 成人になって本木雅弘クンに役者が変わっても、オナラをしている(笑)。
 しかもひる時に、ちょっと腰をひねるのがおかしい(笑)。 松たか子サンと佐々木すみ江サンの前でへをこいた時には、大爆笑してしまいました。

 ドラマ的な面白さから言うと、ちょっと駆け足気味に感じます。 もっとじっくり、それこそ大河ドラマ並みに1年間にわたってやってもいい。
 特に少年時代の真之のやんちゃぶりや、好古の銭湯での仕事ぶりなど、もう少し腰を据えて見たかった気がします。

 そんな駆け足ぶりの語り口の中から見えてくるのは、近代日本の西洋列強に対する強烈な対抗意識。
 その波は中央から離れた松山にも、厳然と押し寄せています。
 そこに住む人々の、旧時代に対するこだわりも、「髷」 という形で象徴的に描かれている。

 そしてもうひとつ語り手が強調しているように見える点は、明治政府が旧士族勢力の膨大な犠牲によって成立していた、という点です。
 そのやりかたはあまりにも礼儀を欠いたもののように思える。
 西南戦争が、その礼儀知らずの明治政府に対抗して勃発したものだという説明は、渡辺謙サンのナレーションひとつで終わってしまいましたが。

 物語冒頭から、このドラマは明治時代の写真や映像をこれでもかこれでもか、というように見せる。
 そこに映っている日本人たちは、現代の日本人とは、まるで別の種族のようにさえ見えます。
 彼らがこちらに向けてくるまなざしを見ていると、その眼の奥に光っている志というものが、現代人とはハナから違っているようにさえ、見えてくるのです。

 それを象徴しているように思えるのが、主人公秋山真之の兄、秋山好古(阿部寛サン)のセリフ。
 「男子は生涯、たった一事を成せばなる。 そのために、あえて身辺を単純明快にしておくんじゃ」「身の回りはなるべく、質素にせよ」

 これは、あふれるばかりの 「モノ」 に囲まれて生きている私などにとっては、実に耳の痛い話でした。 なんだかんだと執着するものが多過ぎるから、大それたことがなかなかできずにいる。 すべてをなげうってでも、人生やらねばならない目的というものがあるはずだ。 秋山兄弟の生き方には、現代人に対する強烈な問題提起が含まれている気がしてなりません。

 近代日本の志を見せることで、社会的な意義も示しているこのドラマだが、物語としての面白さも兼ね備えているように思えた、「坂の上の雲」 第1回でした。
 このドラマは、日本人が自らの種族を誇れるドラマになる可能性を、大いに秘めているのではないでしょうか。

「坂の上の雲」 に関する当ブログほかの記事

第1回 いや、ガイじゃのう!
http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/11/1-46c5.html
第2回 列強に植民地化されなかった日本とはhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/12/2-3ded.html
第3回 親というものは、ありがたいものですhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/12/3-9188.html
第4回 戦争の真実を見つめようとしない人々http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/12/4-4583.html
第5回 今度は、一年後ですか… http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/12/5-16b5.html

|

« だんだん重くなっていくパソコン… | トップページ | 「JIN-仁-」 第8回 自分の器との闘い! »

テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/521783/46891531

この記事へのトラックバック一覧です: 「坂の上の雲」 第1回 いや、ガイじゃのう!:

« だんだん重くなっていくパソコン… | トップページ | 「JIN-仁-」 第8回 自分の器との闘い! »