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2009年11月 1日 (日)

「天地人」 第44回 兼続の天下とは

 本多政重との政略結婚を強いられた、直江家長女、お松。
 今回の 「天地人」 は、20歳前後で亡くなったお松の人生にスポットをあてることで、無念の死を遂げたあまたの戦国女性の魂を慰めるかのような内容でした。

 政重(ドラマ内でも勝吉と改名していましたが、政重で統一します)はハナから、これは偽装結婚、自分は徳川方のスパイ、という認識で、お松には徹底して冷たい。
 まあこれは、戦国ドラマにはよくあるパターンなんですが、お松はけっして引き下がらない。 あくまで政重を夫として愛してゆきたいと願うのです。

 現代女性にとっては、このお松の態度というのは、はぁ~?なにソレ~?としか映らないのではないでしょうか。
 もしくは、そういう時代だったから…という理解の仕方でしか、納得できないのでは。

 だけど私は、いくらそれが当たり前だった時代であれ、その運命に敢然と立ち向かい、それに殉じた、その時代の女性たちのことを考えると、これもひとつの生き方なのではないか、と思われるのです。
 けっして、彼女たちの生き方は、無意味なものに思われないのです。

 彼女たちの生き方に共通するものは、「自らの役割を果たす」 ということに尽きる。
 それはお家のためとか、古臭い概念のためかもしれませんが、自分が役割を果たすことによって、自分たちの家族が救われる、という大きな意義が存在しているのです。

 確かに、自分の望む相手と結婚し、自分の望む人生を送る、ということは素晴らしいことです。
 ただそれも、誰かのために生きている、という視点を外してしまうと、いくらそれが素晴らしい人生であっても、それは独りよがりの自分勝手な生き方になってしまう危険が大きくなる、私はそう思います。

 今回の 「天地人」 では、この 「誰かのために生きることの尊さ」 を強く訴えていたような気がします。

 それを象徴していたのが、お松が語っていた、「絆」 という言葉。

 こども店長クンが政重に家督をゆずったのも絆のためであるし、そのこども店長クンの命を救ったのも、比嘉愛未チャン演じる菊姫。 菊姫も自分の命を顧みず、常盤貴子チャンのお船を米沢に帰らせたわけだし、要するに、このドラマに出てくるすべての人々の行動が、「他人のために」 という目的で一貫しているのです。

 だからこそ、お松が病気で亡くなってしまうシーンでは、無性に泣けました。 いくら名ばかりとはいえ、夫のために尽くしているからこそ、お松の 「無念です…」 というセリフには、グッとこないわけにはいきません。

 そして、気丈だったお船の、「今宵ばかりは泣かせて下さい…」 と泣き崩れてしまうシーンも、ああー、ダメです。 妻夫木クンの 「済まぬ…」 というセリフも、ああー、いけません。 ボロンボロン泣いてしまいました。

 そしてお松が縫っていた、政重の羽織。
 それを見て政重も、ようやく心を開くのですが、いやーここで、史実を言ってしまうとちょっとキツイものがあります。 ドラマとして、楽しみましょう、ここはあえて。

 そして、豊かになりつつある米沢の土地を伊達正宗と眺めながら、自分にとっての真の目的とは何なのかを、ようやく悟る妻夫木クン。 いろんなものを失って、ようやくそれが分かった、と語る兼続、自分にとっての天下とは、名誉や栄達のことではなく、民の幸福にあるのだ、ということですね。

 越後、会津と転々としながら、本当に守らなければならないものが民のくらしにあったことに気付く、というこのドラマの展開の仕方は、少々ベタかもしれませんが、個人的には賛同いたします。
 ただもっと、その肝心の民の暮らしを描写すれば、説得力はさらにアップしたことでしょうね。

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» 天地人 第44回「哀(かな)しみの花嫁」 [あしたまにあーな]
不幸は人を強くするのでしょうか、それとも弱くさせてしまうのでしょうか。今回はそんなことを考えさせられる内容となりました。本多政重が直江家にやってきて名前を直江勝吉と改めるのですがなかなか心を開こうとしません。兼続は直江家の婿としてやってきた勝吉に直江家の内情を色々と話して聞かせます。本多家を通じて徳川に情報が筒抜けになることを分かっていても、身内だということで包み隠さずに話をする兼続の心の中には、上杉家が潔白であり自分たちに逆心はないということをアピールするものがあったのだと思います。 そんな表... [続きを読む]

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BOOKS

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

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     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ記事より抜粋)。 この上巻ではビートルズの祖先から遡ってリバプールで人気に火が付き始めたところまでが書いてあります。

  • ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白

    ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白
    まず驚かされるのが、表紙のポールの写真です。 よくこんなのが採用されたな、というくらい、刻まれた年輪が顕著に分かる 「年老いたポール」。 飾り気のないその写真に、「素のポール」 をあぶり出そう、という心意気が見える。 そして実際、著者のその目論見は、成功しているように思えます。 何より大きいのは、「NME」「Q」「MOJO」 など音楽メディアで長年記者を務めてきた著者がポールと同じリバプールの出身者である、ということ。 さらにポールと同じファースト・ネームであること。 だからポールはまるで自分の分身に話しかけるかのように、時折同郷人にしか分からない言葉で気さくに著者に話しかける。 この本を読む者は、まずその 「不思議なリラックス感」 に包まれるはずです。  本の構成は大きく二つに分かれます。 前半ではビートルズからウィングス、ソロに至るポールのたどってきた長い長い歴史、後半ではポールの人格に迫る試みがなされていく。 そのインタビューは、一気に行なわれたものではありません。 著者がNMEの記者だった1979年のものから、明示はされていないがおそらく2013年、「NEW」 の発売前後が最新のものではないか、と思われます。 実際読んだ感覚では 「キス・オン・ザ・ボトム」 あたりが最新のような気もする。 その30年以上にわたる膨大なポールへのインタビューを、項目によって構成し直しているようです。 ですから、今年(2016年)亡くなったジョージ・マーティンについてのポールの見解であるとか、最新の情報が提示されているわけではない。 ポールの情報というのはこの歳になってもなお日々更新型ですから、その点については物足りなさが確実にあります。 さらに、30年以上というとポールのものの考え方にも変化変遷があってしかるべきだと思うのですが、30年以上をリミックスにかけているからその変化というものがつかめてこないもどかしさがある。 表紙を飾ったポールの 「老い」 という問題にも、この本はきちんと答えてくれているわけではない。 さらに言えば、ジョン・レノンの死について多くが割かれているのとは対照的に、2001年に亡くなったジョージ・ハリソンの死についての記述はない。 正直なところ、このような本を読み漁ってきた身としては、衝撃に値するような情報が書かれているわけではありません。 しかし前述したような、リラックスしたムードのなかでポールと語らっているような疑似体験を共有できる強みが、この本にはある。 この本全体に貫かれているのが、この心地よさなのだ、と思うのです。 その心地よさが乱れるパートがあります。 自身の失敗作、どうでもいい作品について語るときのポールは多分に感情的になりがちであり、イライラした様子を隠しません。 特に 「シークレット・フレンド」 を語るポールのくだりはポールファンなら一読に値する部分でしょう。 しかしそのイライラも、ポールの人間性が垣間見える瞬間としてこの本にとっては必要なパートなのです。 3000円以上と、この本は決して安くはない部類の本です。 ただその値段に見合うパフォーマンスは兼ね備えています。 この本と付き合った1か月足らずの間、心地よい体験をすることができました(アマゾンの自身のカスタマーレビューより)。

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MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

  • 山口 百恵 -

    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

  • デイヴ・グルーシン&リー・リトナー -

    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

  • 桜田淳子 -

    桜田淳子: ゴールデン☆ベスト 桜田淳子~シングル・コレクション
    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

  • The Beatles -

    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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