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2009年11月11日 (水)

森繁久弥サンと市橋容疑者、どっちが大事か

 市橋容疑者の逮捕ですっかり影をひそめてしまった形の、森繁久弥サンの死去のニュース。
 NHKのニュースを見ていましたが、やれ新幹線にいま乗りましたとか、いま降りてきましたとか、空から見た護送車ですとか、いま警察署に入りましたとか、天下のNHKが何をはしゃいでいるのか、という感を否めませんでした。

 個人的には、森繁サンの死去のほうが重要なニュースでした。 簡単でもいいから、NHKにだけは、このニュースをトップ扱いでしてほしかったものです。

 そりゃ森繁サンは、ここ数年表舞台に現れず、若い世代にはなじみがなかったし、市橋容疑者のニュースのほうがホットだったかもしれません。
 それでも、昭和の大喜劇役者の死よりも、出歯亀的な興味で推移している殺人容疑者のニュースが先行してしまうこの国の(少なくとも私が見ていたNHKの)精神的な、文化認識度の低さというものを、少し考えてしまいました。

 私の世代にとっての森繁サンは、キャベジンのCMのオジサン、という認識が最初だったかなあ。 喜劇映画に出ていらしたころの知識などもちろんありませんでしたが、喜劇役者特有の、ひょうひょうとした雰囲気が魅力的なかたでした。
 いろんなドラマで、女房に頭の上がらないとぼけた亭主みたいな役をやっていたことが印象的でしたが、その印象を変えたのが、「小説 吉田学校」 での、戦後の首相、吉田茂の演技でした。 ラストシーンでたしか、自分の乗っている車がほかの車に追い越されたのを憤って、ステッキを振り上げながら 「追い越せ!」 と激昂していたところだけ、妙に覚えています。

 「屋根の上のヴァイオリン弾き」 のテヴィエ役も、ずいぶんロングランしたというニュースを見たものです。 いまじゃロングラン記録というと森光子サンの 「放浪記」 ですけど、一昔前はロングランと言えばこれでした。

 アニメの声優としても、本数は少ないですが、印象的なものが多かった。
 なんと言っても 「もののけ姫」 の乙事主は白眉でしたが、個人的には、核兵器の使用後の世界を描いた 「風が吹くとき」 の演技が記憶に残っています。
 それに、アニメ好きとしては絶対にはずすことができないのが、国産初の本格的アニメーション映画、「白蛇伝」 でしょう。 これがなければ、宮崎駿氏はアニメを志さなかった。 森繁サンは、この映画での男性役すべての声をこなしていました。 「もののけ姫」 で森繁サンを起用した時、宮崎監督はどういう感慨だったでしょうか。

 こうして振り返ると、相当な偉業の持ち主なのだと、改めて分かります。 決して喜劇映画の役者だけにとどまらない。 NHKのニュースでは、喜劇役者の部分と生い立ちしか紹介していませんでしたが、実に森繁サンの全体像を軽く見ている気がしてなりません。

 森繁久弥サンのご冥福を、お祈りいたします。

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