« 「新語・流行語大賞」 の違和感 | トップページ | 「不毛地帯」 第8回 あっけ、なさすぎ… »

2009年12月 3日 (木)

「ギネ」 第8回 生まれ来る子供を抱きたい、という感情

 柊先生(藤原紀香サン)の人格破綻もすっかり治り、徳本のダンナ(八嶋智人サン)の起こした裁判も和解に達し、第1回からのドラマ的なテーマをクリアして、もうやることないんじゃないの?と思っていた、「ギネ」。 その最終回前の第8回。
 だけどそこには、実に重い問題が、まだ待ち受けていました。

 今回の話は 「ギネ」 のなかでも複雑な部類に入ります。
 その大筋は、ほぼ3つ。

 まず、産婦人科のトップである須佐美教授(國村準サン)の若すぎる奥サン、内田有紀チャンの出産が、彼女の子宮がんのために中止のなるのかどうか。
 第2に、ドラマの序盤で子宮を摘出された娘サンが上地雄輔クンの左腕を刺してしまう顛末。
 最後に、18トリソミーという染色体異常の妊婦(須藤理沙サン)が、いわば 「死ぬために生まれてくる」 赤ちゃんを、どうしても抱きたいと切望するくだり。

 これに、國村サンが内田有紀チャンの治療に専念したいということで教授職を辞める、という話が交錯し、君島先生(松下由樹サン)が紀香サンの首切りと引き換えに教授職を病院長から提案される、という話が、この3つの話に複雑に(でもないか)絡んでくるのです。

 このいくつもの話の絡み合いから見えてくるのは、「女性にとって、子供を産むというのは、どういうことなのか?」 という問いかけでした。
 そしてもうひとつ、このドラマではどうしてもワキに追いやられていた上地雄輔クンの、役の上での成長ぶりと、「なんのために産科医は産科医であろうとしているのか?」 ということに対する、ひとつのテストケースでした。

 子宮を大した説明もなしに摘出されてしまった娘サンは、上地クンの実に親身な説明にもかかわらず、上地クンを刺してしまう。 すでに裁判沙汰にまでなっているこの子宮摘出案件だったのですが、上地クンはあくまでこの刺傷事件を隠し通そうとするのです。
 それは、何となく産科の医師になり、患者と無神経に接してきた自分への罰だと、上地クンは考えている。
 いまの上地クンは、女性が子宮をなくすことがどれほどのことなのか、とてもよく理解しているからこそ、この事件をひた隠しにしようとしているのです。

 そして今回最も泣けたのは、18トリソミーの赤ちゃんでした。
 18トリソミーという染色体異常を持つ妊婦サンの産む子供は、まともに生きることができない。 生まれてもすぐに死んでしまうことが多いというのです。 すべてがそういうケースだとは限らないようですが。
 その赤ちゃんを、須藤理沙サンは一度だけでもいいから抱きたいと願い、危険な帝王切開を、反対する夫を押し切って願い出る。
 どんな赤ちゃんでも、それは自分と夫との愛情の証なのだ、すぐ死ぬと分かっていても、自分のおなかの中で、ともに一緒に生きてきたんだ、という感情があふれていて、須藤サンの演技には、泣けました。
 確かにそれは、「自分の子供だから」 という、身勝手な一面もあるかもしれない。 だけどこればかりは、母性という理屈の前に、反論は誰にもできないのだと思います。
 そして診断の通り、その赤ちゃんは、あまりにも短い生涯を閉じる。
 けれども、その赤ちゃんは、無意味に生まれてきたわけでは、絶対ないのです。 少なくとも、たとえ数時間でも、その子は母親に抱かれたのです。 そして、その子の死に、母親と父親は、命のなんたるかを、学んだのです。
 それを無意味だとか身勝手だとかいう権利は、絶対に誰にもない。

 そして今回、ドラマの終盤で内田有紀チャンは、自分の病気が死に至る病だということを知って、それまでの態度を一転、どうしても子供を産みたい、と願う。 柊先生は彼女の意見に同調。 実はそういう、訴訟を次々起こしてしまうような、柊先生の患者に対する態度が、病院側で問題になっているのであって、柊先生を辞めさせまいとする君島先生は、内田有紀チャンに同調する柊先生を激しく止めに入るのですが…。

 そんなことを聞く柊先生では、ないですよね(笑)。
 そして次回、最終回になだれ込み。
 脚本の大石静サン、やはりタダモノではありません。

|

« 「新語・流行語大賞」 の違和感 | トップページ | 「不毛地帯」 第8回 あっけ、なさすぎ… »

テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/521783/46922321

この記事へのトラックバック一覧です: 「ギネ」 第8回 生まれ来る子供を抱きたい、という感情:

« 「新語・流行語大賞」 の違和感 | トップページ | 「不毛地帯」 第8回 あっけ、なさすぎ… »