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2009年12月14日 (月)

「JIN-仁-」 第10回 ああもう、どうなっちゃうの?との闘い!

 最終回に向けて、5分拡大の 「JIN-仁-」 第10回。

 来週の最終回はさらに、85分の拡大版になるらしく、初回が2時間スペシャルだったことを合わせれば、ワンクールの放送回数としては、近年になく大盤振る舞いの様相を呈しています。
 この手の傑作ドラマが余計に見られるというのは、視聴者としては大歓迎!なのですが、結構テレビ局の思惑も交錯しているのが普通なんですな。 それにつれてドラマの出来自体にも影響が現れたりする場合も多々見受けられるのですが…。

 …このドラマに関しては、そんな気遣いは無用のようです。
 なにしろ、ドラマの構築が、プロフェッショナルなんですよ。
 今回も、最終回に向けて、南方仁(大沢たかおサン)と坂本龍馬(内野聖陽サン)の運命がどうなっていくのか、いやがおうでも盛り上がっていく展開。
 もう、早く見たくて見たくてしょうがないですよ。
 こういう期待をもたせるドラマというのは、近年記憶にないです。
 でも、見ちゃうと、もう終わりなんだよなー。
 あーあ、つまんないの(笑)。

 今回泣かせたのは、南方先生と咲(綾瀬はるかチャン)との別れのシーンでしたね。
 野風(中谷美紀サン)を身請けに出すことが、未来(中谷サン2役)の存在にかかわることから、胸に小さなしこりを発見したにもかかわらず、野風の健康状態に異状なし、の診断をあえてした、南方先生。
 その南方先生の表情の変化から何かを察知した咲チャン、野風のもとに再び出向き、乳がんの可能性を突きとめる。

 このふたりの会話シーンというのは、毎回見ていて、身分の違う女性の違いがとてもよく出ているのが感心します。
 特に野風の、中谷美紀サンの演技。
 当時こんなにトウの立った(失礼)花魁はいなかったような気もしますが、自分は浮世とは違う世界の人間、という雰囲気が限りなく発散されていて、凄みさえ感じます。

 そして野風の病状を知った咲チャン、南方先生に迫る。
 「今までは立ち向かってらしたではないですか? 先生は、野風サンを見殺しにしようとしたんじゃないですか? 未来サンのために!」
 咲チャンの一喝って、いちいちまっすぐ過ぎて、ホントにグサグサ突き刺さってくるんですよね(笑)。
 「…鬼、ですよね、私は…」
 南方先生も、自虐的に、こう絞り出すしかない。

 それを見て、咲は決断を下すんですよね、もうついていけないって。 そして、縁談話を進めてくれと、母親(麻生祐未サン)に頼むのです。

 いきり立ってその場を去ったその様子から、翌日南方が出立する時、咲チャンは出てこないのかと思いましたが、何事もなかったかのようにはにかんで笑いがら、お弁当を差し出す。 「これくらいしか、私にはできませぬゆえ…」
 そして、医術を学べたことを、南方先生に感謝するのですが、それがいかにも、建前だけの、上っ面な感情なのです。
 「お幸せに」 と言う南方も、そこにはいろんな感情が詰まっていても、結局そう言うほかはない、というのが、すごく伝わってくる。
 「私は、咲サンの顔を見ると、いつもほっとしてましたから…。 きっと(嫁ぎ先は)、そういう家(庭)になるんじゃないでしょうか」

 切ないです。

 去っていく南方の後ろ姿を見ているうちに、抑えていた感情があふれ出して、涙が止まらなくなる咲。
 「医術ではなく、南方先生だったのではないか、おまえが夢中になったのは、咲…」 とつぶやくように言う小出恵介クンに、咲は涙をぼろぼろ流しながら、こう言うのです。
 「先生には、おられるのでございます。 そのかたのためなら、鬼にでもなろうというかたが…。 あのお優しい先生に、そこまでさせてしまわれるかたが…。 私の出る幕など、いつまでたっても、ございません…」

 ああ~、泣ける。

 そして、久坂玄端との駆け引きにペニシリンが使われるのを、やめさせようとする南方に、内野龍馬が、「ひょっとしてシェンシェイ、わしらの運命を知っちょるがかい?」、と問いただした瞬間、刺客に襲われる。
 ここらへん、史実と違う展開なために、見ているほうも先の予想が全くつかない。
 だいたい、この回の冒頭で、南方自身が疑問に思っています。
 「あの人、ホントに坂本龍馬なのかなぁ~? 違うんじゃないかなぁ~?」 って。
 それってもミもフタもない話で、笑っちゃいましたけどね(笑)。
 でもあの有名人がねえ…と考えだすと、南方のその逡巡も、分からなくはない、って言うか(笑)。
 ここらへんのリアルさの味付けが、毎回凄いと感じます。
 だからこそ、このあり得ないパターンの龍馬暗殺が、とても興味深くなる。

 先が見たいんだけど、それで終わっちゃうのが、前にも述べましたが、すごく惜しい。

 これがひと昔前の長ーいスパンのドラマだったら、いろんなパターンの患者サンとかが出てきて、そのつどいろんな治療法を南方が試して、みたいな息の長い見せ方をしたんでしょうね。 そんな間延びした作りのドラマでも、じゅうぶん面白かったのではないか、と思わせる素材でした。 回数が短いばかりに、こんな切迫感あふれる作りになっている長所は見逃せませんが。

当ブログ 「JIN」 についてのほかの記事
第1回 荒唐無稽との闘い!http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/10/jin---1-e9ae.html
第2回 建前との闘い!http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/10/jin---2-f3b1.html
第3回 自分の病との闘い!http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/10/jin---3-3290.html
第4回 女としての闘い!http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/11/---4-542b.html
第5回 梅毒との闘い!http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/11/jin---5-9dba.html
第6回 リアルとの闘い!http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/11/jin---6-25d6.html
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第9回 心意気どうしの闘い!http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/12/jin---9-8cf0.html
第10回 ああもう、どうなっちゃうの?との闘い!http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/12/jin---10-670a.html
第11回(最終回)続編あるかどうかとの闘い!http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/12/jin---7290.html
番外 続編の可能性を、もう一度考えるhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/12/jin---a138.html

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