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2009年12月21日 (月)

「JIN-仁-」 最終回 続編あるかどうかとの闘い!

「JIN 最終回 ネタバレ」 の検索ワードでお越しの皆さま
この記事は 「JIN」 の完結編についての記事ではございません。
あしからずご了承ください


 どうも、瞬!ワードの検索で当ブログの 「ギネ」 最終回の記事が出てしまっているせいで、アテが外れてしまった方々が大勢いらっしゃるようで、私のせいじゃないんですけど、申し訳なく思っております。 こちらが正真正銘、「「JIN」 最終回 ネタバレ」 の記事になります。

 ということで最初からネタバレ全開で参りますが(笑)、結局初回で展開された、南方仁(大沢たかおサン)のタイムスリップのきっかけとなった出来事のタネ明かしは、最後まで行なわれなかったわけです。
 ということは、これは続編、期待してよろしいんじゃないでしょうか?

 ワタシ個人的には、この終わりかたは賛成であります。
 さんざん引っ張ってその結末がきちんと行われることを期待していた方々にとってみれば、さぞやご不満もおありでしょうが、このドラマが最終回に近づくにしたがって、えも言われぬ寂しさを感じていた私にとっては、またこの続きが期待できることはとてもうれしい。
 ただ、「仮面ライダーディケイド」 や 「のだめカンタービレ」 みたいに、この続きは映画で!なんてことは、してほしくないですけどね。

 初回の話の謎を先送りしたことで、今回最終回の主要な話となったのが、野風(中谷美紀サン)の乳がん摘出を南方がするかどうか、ということでした。
 この手術をしてしまうことで、野風の身請けの話がなくなり、野風の子孫と思われる未来(中谷サン、2役)の存在にかかわってしまう危惧から、南方は野風の手術をためらうわけですが。

 それにしても前回、崖から転がり落ちて行方不明になってしまった坂本龍馬(内野聖陽サン)。
 さんざんみんなに心配かけといて、ドラマの視聴者にも心配かけて(笑)、実は流れ着いた漁村でうまい魚とネーチャンとに囲まれながら暮らしていたという、「浦島太郎かよ!」(佐藤二朗サン)状態。 なんとも人騒がせで、ドラマ的な展開で言うとちょっと呆れもしましたが、いや、内野龍馬サンらしいや!という感じで、じゅうぶん許容範囲であります。

 かたや南方先生は、その龍馬サンも、咲(綾瀬はるかチャン)もそばにいない、孤独かみしめ状態。
 乳がんに関してはちょっとした自信を持っている佐分利(桐谷健太クン)の面目も潰してしまって、孤独状態はますます募っていくばかり。 緒方洪庵の墓参りをして、野風の乳がんを治したくない自分の身勝手さを恥じるのです。

 龍馬はそんな南方の姿をこっそり見た末に、南方の後ろから羽交い絞めしてセンセイの乳を揉みながら(笑)南方と再会、野風の乳がんの手術を南方に頼む。
 その理屈がハチャメチャで(笑)。
 でも、そのハチャメチャな理屈の後に、ポツリと放つセリフが、妙な説得力にあふれている(笑)。

 「手術のあとで何が起ころうとも、何もかもぜえーんぶわしのせいじゃ。 …わしのせいじゃ。 そやき、野風を、助けとうせ」

 そして新門辰五郎(中村敦夫サン)に、好いた女のいる家を、火事の延焼を止めるために、その女がいるのも知らずに打ち壊して死なせてしまったことを 「その人がいるのを知っていたらその家を壊しましたか?」 と訊く南方。
 「あいつは壊せって言ったかも知んねえなあ…」

 その言葉に、南方は未来が 「自分の手術で、何千人もの患者が希望を持つことができるなら、喜んで受ける」 と言っていたことを思い出し、野風の手術を決断するのです。

 そして、南方の手術の申し入れに対して野風が、また未来と同じようなことを言うんだなあ。
 「あちきなどが医術のお役にたてるのなら、こんな喜びはありんせん」
 なんとも用意周到すぎますよね、このプロット。

 南方が野風の手術を決断するに至る動機を、このドラマはこれでもかこれでもかと繰り出してくる。
 ダメ押しは、未来の写真を埋めながら南方が咲に語るくだり。
 「野風が身請けできなかったからと言って、未来が生まれなくなるという道理も存在しないのではないか、もしかしたら未来が子供になっていたり、意外に元に戻っていたりするかもしれない」、という南方の考え。
 「と言いながら写真を埋めちゃうんですからね…。 私は、臆病です」
 動機づけが弱いとドラマに説得力が発生しない、という、この脚本家の意図を強く感じます。 おまけに南方の後ろ向きな考えを挿入することも忘れない。 これが、リアルなんですよ。

 しかも、脚本家の言いたいこと、いわば人生観みたいなものを、野風や龍馬に語らせるんですよ、もう凄いとしか言いようがないです。
 いわく。
 「世というのは、万華鏡のようなものではないかと思うことがありんす。 人という珠がその中に入れられており、誰かの手が、それを回すのでおざりんす。 ほんの少し回すだけで、隣り合う珠が変わり、すると、現れる模様もがらりと変わる。 浮世の面白さでありんすよ」
 「そん話を、一度はしてやってくれんかえ…南方仁に。 …目に見える模様は違えど、実は中にある珠は、決して変わらんちゅう話を」

 環境がどうだとか、境遇がどうだとか、人はいろんなことを理由にして、あれができない、これが不満だ、と言う。
 だけど、それは、実はちょっとした違いにしかすぎないのだ。
 いろいろあるからこそ、生きているのは面白いんじゃないのか。 予定通りにいかないからこそ、やりがいも生まれるんじゃないのか、と。

 さてここで面目を潰されたのが、野風の体に異状なしという診断を下した藩医、三隅(深水三章サン)。 野風をやっちまえとその三隅が頼むのが、甲本雅裕サン(笑)。
 ひえー、怖すぎる(笑)。
 この人が、野風の手術中に、門扉をガンガンたたいてくるんですから、こりゃもう大プレッシャーなわけで(笑)。

 そこに救世主(笑)のように現れたのが、結納をドタキャンした咲チャン。
 激怒するふりをしてその結納の場を収めた橘恭太郎(小出恵介クン)も、その時代の常識からしてみれば、ちょっと甘すぎるような気もしましたが、妹への思いを吐露する場面も最終回序盤で用意周到に描かれていたため、さほどの違和感に至らない。

 自分の喉元に刃を当てて、怖すぎ顔の甲本サン(笑)を恫喝にかかる咲チャン。 見ごたえありました。 甲本サンも、負けてないし。 間一髪、というところで、南方先生、手術を終えて登場。 はぁぁ~(タメ息)。

 そして手術の成功後、埋めた写真を掘り起こした南方は、写真がなくなっていることに、ガク然。
 これで未来サンとの接点がなくなってしまったことで生じる、南方の感情を、このドラマの語り手は 「悲しむ気が起きない」「どこかで解放されたような気がする」「ひどい男です」 と表現するのですが、これは秀逸です。 とてもリアリティがあるように感じます。
 なにしろ、南方は未来サンがどうなるかということに常に心を砕きながら、江戸時代を生きていたわけですから。 それは南方にとって、ネガティブな重荷になっていたことは、想像に難くないのです。
 このタイムパラドックスは、考えれば考えるほど、なるようにしかならないのではないか、というように思えてくる。 だいたい、その時代にいるはずのない人が、そもそもいるわけですからね。 このことからして、すでに未来に影響があるわけですから。

 それを聞いた咲も 「私もホッとしています。 私もひどい女です」 と返す。 そして、「これで、よかったんですよね」 と、自問自答ともつかない言葉を、南方は繰り返す。
 このあたりのリアル感が、毎回見ていてとても切なく、いとおしかったです。

 野風との別れのシーンも、グッときました。

 「野風えーっ! また雪になりたいがかぁーっ!」
 と叫ぶ龍馬に、アッカンベーをして、「まっぴらごめんでありんす!」 と返す野風。
 出会った時も、アッカンベーをしてましたね。
 「南方先生、ありがとうおざりんした!」 と叫ぶ野風に、叫び返す南方。
 「よかったです! 私は、あなたを助けられて、よかったです!」
 いま目の前にある問題をしっかりと乗り越えていくことが、その人にとって一番の道なのだ、ということが、この南方の叫びで分かります。

 「十年先、百年先を知ったところで、日は一日一日明けていくだけじゃ。 一歩一歩、進むしかないがじゃ。 ワシも先生も、地を這う虫のように」
 この龍馬の言葉からも、作り手の言いたいことが、強く伝わってきます。
 いや、傑作ドラマの名に恥じぬ、素晴らしい最終回だったと思います。

 そして、「また明日」 と言う南方に、「そう。 またあいたじゃ」 と答える龍馬。
 このやり取りに、続編の期待が高まります。 最後の最後でまた頭痛に見舞われる南方、そして未来を思わせる長い髪の女性が教鞭をとっている姿。
 こりゃ、ありますよ。 続編。

 最後になりますが、このドラマ、タイトルバックが、また秀逸でした。

 江戸時代の写真と現代の写真を定点観測みたいにして見せ、「時は、つながっている」 ということを見事に演出していた。 永遠とは、その瞬間瞬間の積み重ねであるのだ、ということを、私などは感じていました。 そのバックに流れる音楽も、最高に切なかったです。

 このように、短期間で愛着をとても感じてしまったドラマが、しばらく見ることができなくなる?というのは、やはり寂しいものです。 年末になると、一種の名残惜しさを私などは毎年感じているのですが、このドラマが終わる寂しさもその感情と相まって、ちょっと今年の年末は、いつも以上の寂しさを感じてしまうかもしれません。

当ブログ 「JIN」 についてのほかの記事
第1回 荒唐無稽との闘い!http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/10/jin---1-e9ae.html
第2回 建前との闘い!http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/10/jin---2-f3b1.html
第3回 自分の病との闘い!http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/10/jin---3-3290.html
第4回 女としての闘い!http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/11/---4-542b.html
第5回 梅毒との闘い!http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/11/jin---5-9dba.html
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第10回 ああもう、どうなっちゃうの?との闘い!http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/12/jin---10-670a.html
第11回(最終回)続編あるかどうかとの闘い!http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/12/jin---7290.html
番外 続編の可能性を、もう一度考えるhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/12/jin---a138.html

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コメント

検索していて偶然たどり着きました。「仁」最終話についての感想、私の言いたかったことを上手な文章で言い表してくださっていてとても共感しました。
続編はぜひテレビドラマで見たいですね。終わった翌日の今日もまだ昨日の余韻が残っています。

投稿: Yucca | 2009年12月21日 (月) 23時10分

Yuuca様
コメント、ありがとうございます。
共感していただき、うれしく存じます。

私もテレビドラマをすべて見ているわけではないのですが、今年、というか、ここ数年見たドラマの中では、登場人物たちに最も愛着の湧いたドラマでした。

これだけ緻密な話を書いておいて、しかも登場人物たちに感情移入できるというのは、なかなかできる芸当ではないと思います。
南方も、咲も、野風も、龍馬も、洪庵も、みんな等身大の人物として描かれていた。
それがこのドラマの、最大の魅力だったと思っています。

投稿: リウ | 2009年12月22日 (火) 09時48分

やはり、このドラマは何度見ても最高です...でもあのビンの中に入ってた赤ん坊は何度見ても怖い...あの瞳恐ろしゅうござんす...
でもそれ以外は面白いです!

投稿: あの赤ちゃん | 2010年3月14日 (日) 19時43分

あの赤ちゃん 様
コメント、ありがとうございます。
「JIN」 は、とても細かいところまで神経が行き届いたドラマだったように感じます。 設定にしても、その想像力の豊かさが、このドラマのキモ、でしたね。
だから何度見ても、飽きないんでしょうね!
奇形腫だと思われていた赤ん坊が急にパッと目を開いたのは、ホントにホラー映画並みでした(笑)。

投稿: リウ | 2010年3月14日 (日) 21時39分

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