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2009年12月 7日 (月)

「JIN-仁-」 第9回 心意気どうしの闘い!

 病気で降板した藤田まことサンに代わって中村敦夫サンが務めた、江戸火消しの大御所、新門辰五郎。
 今回はこの火消しの心意気と、南方仁(大沢たかおサン)の医者の心意気が激突した、さらに見ごたえのある回でした。

 それにしてもよくこう毎回、すぐれた話を繰り出せるものです。
 その魅力の中心にあるのは、やはり江戸時代に繰り広げられる、現代医術でしょう。
 南方先生の医術が江戸の人々に与える 「ありえね~」 感。 そして 「コイツ、ネ申」 的な驚嘆の表情。 江戸時代の民の反応が、ネット遊民たちの反応と基本的にはちっとも変わらない、というのが、このドラマのもつ磁力なのだと思います。

 医者をバカにしていた辰五郎親分に、売り言葉に買い言葉みたいな感じで、今度火事があったら駆けつけてけが人の治療をする、という約束をしてしまった南方先生。 果たして火事は起こり、辰五郎親分の右腕である千吉が、呼吸困難で運ばれてくる。 「こうなったらもう助かりゃしねえ」 と千吉を運び出そうとする 「を組」 連中に、「患者にさわるな!」 と一喝する南方先生。
 そして喉を切り裂いて気道を確保しようとするのですが、「のどなんか切ったらその場でお陀仏じゃねえか!」 という辰五郎、いや、江戸時代じゃなくとも、よく映画では喉を斬って相手を殺すシーンがよく出てきますよね。 治療するために喉を切るという発想自体が驚天動地なわけですよ。
 「火事場で死ぬのは火消しの本望だ! だがな、喉を切られて死んだんじゃ、千吉は死んでも死にきれねえ。 それが、火消しの心意気だ!」
 「助けられる命を見過ごしては、私が死んでも死にきれません! それが医者の心意気です!」
 いや、シビレます、ここらへんのやりとり。 途中まで、これが藤田まことサンならどうだったんだろうな、と思いながら見ていましたが、ここらへんに来るともう、そんなことは吹っ飛んでます(笑)。

 そのほかにも、重症の度合いによってグレードを色で分けていく、現代の災害現場における 「仕分け」 作業や、南方が以前救った漢方医がその場に駆けつけることによって、南方の喉を切り裂く術式の凄さに感嘆するところとか、話が幾重にもメインの手術に向けて盛り上がる小道具となっている。 ここらへんなんですよ、このドラマの高度な見せ方って。

 そして手術が無事に終わった時、残っていたのは治療所のみ。 建物を壊すことで延焼を防いだ江戸式の消火方法が、ここではドラマに生かされています。
 一件落着した現場で、新門辰五郎は、自分の惚れた女を火事から守れなかったことが、自分が火消しを死ぬまで続ける理由なんだと南方に打ち明ける。 このくだりも、ドラマの深みを増すことに、一役買っている。 毎度感心ばっかりしてますけど(笑)。

 そして、そうした医療ドラマの傍らで、深く潜行してきた、野風(中谷美紀サン)咲(綾瀬はるかチャン)の、南方先生に対する思いが、また実に江戸時代的に、とてもつつましやかに展開していく。
 つつましさが徹底してるっていうのが、またいいじゃないですか。
 だからこそ、切なさが倍加してるんです。 現代のあまりに自由な恋愛に対する問いかけにも、なっている。
 野風が坂本龍馬(内野聖陽サン)の腕に抱かれてさめざめと泣くシーンは、とても現代では考えられない切なさに支配されています。 恋愛感情が古典的であるがゆえに、これは味のあるシーンなのです。

 そして未来(中谷美紀サン、二役)の存在の有無を左右するのが、南方が野風の胸のしこりを見つけるかどうかなのではないか、という展開。
 ますます目が離せません。 来週は5分拡大で、最終回かと思ったけど、違うみたいですね。 また期待させていただきます。

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第2回 建前との闘い!http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/10/jin---2-f3b1.html
第3回 自分の病との闘い!http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/10/jin---3-3290.html
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第9回 心意気どうしの闘い!http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/12/jin---9-8cf0.html
第10回 ああもう、どうなっちゃうの?との闘い!http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/12/jin---10-670a.html
第11回(最終回)続編あるかどうかとの闘い!http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/12/jin---7290.html
番外 続編の可能性を、もう一度考えるhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/12/jin---a138.html

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