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2009年12月 1日 (火)

亀田兄弟と矢吹丈

 「JIN-仁-」 が始まる前に、亀田興毅と内藤のボクシングを見たのだが、まずどうして人気ドラマ 「JIN」 の放送時間をずらしてまで、この試合を放送したのかが、よく分からない。
 おそらく 「JIN」 の視聴者も取り込もうという魂胆だったのだろうが、なんとなくセコい。

 試合内容は、正直言ってアナウンサーが感動しまくるほどのものでもなかった。 内藤ばかりがひたすら前に出て闘い、亀田が後ろに下がりながらカウンターを繰り返す、という、見ていてどうにも燃えない試合だった。
 特に亀田の闘い方は、とてもチャレンジャーのそれとは思えず、いつから彼は点数稼ぎボクサーになってしまったのか?と思うくらい。 アナウンサーはこれを、クレバーだと形容していたが、私に言わせれば、ずいぶんお行儀のいいボクシングだな、という感じ。
 よほど35歳の内藤のほうが、自分をすべて出し切るボクシングをしていた気がする。 感動するとすれば、内藤の、年齢の壁を越えようとする気迫だけだった。
 35などというと、ボクサーとしてはかなり高齢である。 それが、まるで挑戦者のように、彼はただひたすら前に出て闘った。

 それはそれとして、私は昔から、ボクシングの亀田親子に対して、あまりいい印象を抱いていない。
 がんばって世界チャンピオンになるくらいだから、並の努力をしているとは思われないし、親子間の情愛の深さは、そんじょそこらの仮面家族なんかよりも、よほどまっとうな気がする。
 だのに、リングで歌を歌ったり、相手選手を口汚くののしったりするその態度に、私はなんとなく眉をひそめてしまっていた。

 だが、私の心酔しているボクシングマンガの不朽の名作、「あしたのジョー」 の矢吹丈と、この亀田兄弟というのは、結構同じベクトルなのではないか?と以前考えたことがある。

 ジョーもデビュー戦ではさんざんはしゃぎまわって、歌まで歌いかねない勢いだった。 観客にはウケていたが、解説者などには大ひんしゅくを買っていたくらいだし、試合においても、ノーガード戦法などという、冷静に考えれば相手をナメきっている試合運びをした。 ウルフ金串を 「やせ犬野郎」 とバカにしていたし、果ては白木葉子に対して、相当人格否定レベルの暴言を吐き、突き飛ばしたりなんかもしていた。

 私はジョーを、喧嘩っ早くて手に負えない野生児として見ていたために、そんな問題行動を当然のようにして見ていた。 むしろ、そんなジョーをカッコイイと思い、その燃え尽きる生き方に感動し、何度となくこのマンガを読み返したのである。
 だが亀田兄弟がやっていることは、まさしくジョーのひんしゅくものの行動ではないか?
 もしかして私は、デビュー戦でジョーをこき下ろしたあの解説者のように、お行儀のいい常識人としての、「つまらない大人」 になってしまったのだろうか?

 と、ちょっと焦ったのだが(笑)、それに対する回答は、案外あっさり出てきた。

 当時の亀田親子に共通していたのは、相手をあくまでバカにしている、という態度であった。
 それがパフォーマンスの類で演出されているとはいえ、相手のことをゴキブリとか言ったり、メンチカツを食ったり、挑発するセリフがポンポン出てくることに、私は嫌悪感を抱いたのだ。 歌を歌うことも、ある意味対戦相手のことなどまるで眼中にない、極めて自己本位なファンサービスであったように思う。

 ジョーは違う。
 いくらはじめはバカにしきっていた相手でも、相手とぶん殴り合うことによって、「百万語のべたついた友情ごっこ」 よりも確かな絆を持つことができたのだ(蛇足だが、このジョーの発言が、学生運動の分裂期になされたことは、重要である)。 そこには相手に対する尊敬の念も生まれ、同じ情熱の共有という信頼感も生まれたに違いない。 ジョーは対戦相手と、ぶん殴り合うことによって、かけがえのない戦友となったのだ。

 今回亀田興毅は、試合後内藤にねぎらいの態度を示したが、それは彼が以前に比べてまた大人としての自覚を身につけた証拠のように思えた。 彼には、弟の一件の時にも一身になって批判を受け止めようとした、潔さがある。 叩かれ続けた人間の持つ強さを、彼は備え始めた気がする。

 だが、この試合後も、以前のように 「どんなもんじゃい!」 とタンカを切っていたが、内藤との試合は、それにしては少々しょぼい消極的ボクシングだったのではなかろうか。
 彼が点数稼ぎでチャンピオンになったことを、私は批判するものではない。 ただ、この試合を見ていて、彼が海外の実力のある選手と互角に戦えるようには、私には思えないのだ。
 もっと型破りな、突き抜けた闘いを見せてくれっ!

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