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2010年1月21日 (木)

「曲げられない女」 第2回 悪夢は繰り返す?

 笑わせるパターンとしては、第1回目を踏襲しているのですが、状況的には確実に悪くなりつつある、「曲げられない女」、菅野美穂チャン。 なんかこの、笑わせながらも不幸のスパイラルに巻き込まれそうな展開が、見ていて怖いような気もしてきました。

 なにしろ、正義感だけではメシは食えないんだ、というこの世のカラクリを暴きだすために、このような主人公の極端なキャラ設定をしている。
 まあこれは、遊川和彦サン(脚本)の常套手段なんですが。

 第2回冒頭、前回プロポーズを断ってその仲がぎくしゃくするかと思われた塚本高史クンと、今後もパートナーとしてやっていこうということになり、やれやれと思った矢先、塚本クンの同級生が泣きついてきた不当解雇の案件が、勤めている法律事務所のボス(西岡徳馬サン)の案件と対立しているものどうしだと分かって。

 美穂チャンが調べてみると、どうもその案件、会社側の不正が裏に潜んでいるらしくて。

 つまりまあ、解雇された塚本クンの同級生のほうが、正しいっていうわけです。
 ここで友達のほうを弁護すれば、その会社側につこうとしている西岡徳馬サンと、対立することになる。 ボスの西岡サンは当然、友達の弁護を断れと、塚本クンと美穂チャンに言ってくる。
 けれども美穂チャンは、「曲げられない女」 ですので(笑)。 どういう展開になるかは、だいたい分かるわけです。

 ここで、先の読める展開を、どうやって見せていくかが、遊川サンの腕の見せどころでした。 いやー、凄かったですよ。 西岡サンのほうにも、大人の事情というものがあることを、きちんと描き切っていた気がします。
 つまり、弁護士というのは、悪い人間も、弁護しなけりゃいけない場合があるんだと。
 ここで正義を振りかざすのは、よーするに甘チャンだ、青臭い、大人になれ、ということなんですよ。
 いくら美穂チャンが、子供のころのトラウマを持ち出しても、そんなものは単なる感傷でしかないじゃないですか、大人の世界からすれば。
 そのトラウマをどのように乗り越えるのか。
 それはこのけがれた世の中では、まっすぐな姿勢では、極めて解決できにくくなっている。 どこかで自分の良心を曲げて、ごまかさなければ、生きていけないんですよ。

 案の定、西岡サンと美穂チャンの話は決裂。
 「曲げられない女」 の本領発揮であります(笑)。

 美穂チャンの話は、あくまで正論なわけだから、西岡サンは、自分の身のけがれをいやがおうでも思い知らされることになる。 それは、それまでの自分の生き方を、完全否定されているのと一緒ですから、その会議室を決然と出ていく美穂チャンに向かって、西岡サンは怒鳴り散らし、当たり散らすしか、ないわけです。 ここらへん、ヤケに 「そう生きざるを得ない大人」 のリアリティが出ていた気がしました。

 谷原章介サンと、永作博美サンは、相変わらずのあり得なさぶりなんですが(笑)、あり得ないなりに、無理やり美穂チャンの人生の扉をこじ開け入ってくる小気味よさなんかも、ちょっと感じてきました。 ドラマなんだから、あり得ないことがあっていい、そんなゴーインさが(笑)、遊川サンの持ち味でもありますし。

 この谷原サンが、結構脚本家の問題提起を代弁しているところがある。 つまり物語を進行させる、ガイド役、というか、道化師役、というか、そういうイタズラ悪魔風な役割を担っている。
 「幸せじゃないヤツが他人の幸せを実現できるわけがない」、という谷原サンの理論は、冷静に考えると、そーかなあ?(笑)、というところもあるけど、ガーッとまくし立てられると、ミョーな説得力が出てくるから不思議(笑)。

 そして、番組終盤には、2回目にして早くもお約束の 「美穂チャンブチ切れ」(笑)。
 これも、抑えて抑えてきたものが爆発する、という、なんか 「遠山の金さん」 に似たような快感を覚えます。
 「自分を殺すっていうのは、自殺って書くのよっ! あたしはそんなの絶対イヤっ!!」
 これも、あとから考えると、結構それとこれとは…という気もするのですが(笑)、ガーッとまくし立てられると、ミョーな説得力があるから以下同文(笑)。

 ところが、ドラマとしてはちゃんとフロシキをたたんでいる感じなのに、冷静になって振り返ってみると、美穂チャンを取り巻く状況は、どんどん悪くなっている。
 ボスとのケンカで事務所は解雇、あ、いや、「正確に言うと」(笑)自分から辞め、母親(朝加真由美サン…はぁ~、時の流れを感じます…)の具合が、また悪くなったらしい。

 まあ見ていて、「解雇」 というのが、そんな、通知されてすぐに辞めさせられ、なんてことはないんだがなあーとか(確か30日くらいの猶予期間があるはずです)、法律事務所のわりには法律守ってないじゃんとか(笑)、突っ込みどころはありますけど。

 でもいちばん突っ込まなきゃいけないのは、谷原サンの存在自体…それを言っちゃあおしまいかぁ~(笑)。

当ブログ 「曲げられない女」 に関する記事
第1回 http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/01/post-83d0.html
第2回 (当記事)
第3回 http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/01/3-a3aa.html
第4回 http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/02/4-1d07.html
第5回 http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/02/5-d241.html
第6回 http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/02/6-88ef.html
第7回 http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/02/7-3fa8.html
第8回 http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/03/8-05a5.html
第9回 http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/03/9-5d02.html
第10回(最終回) http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/03/10-2386.html

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コメント

>このような主人公の極端なキャラ設定をしている。
確かにキャラが極端です。現実には絶対いない。(笑)「曲げられない女」というよりも「ありえない女」って感じはします。「暴走女」かもしれない。(笑)

ボス西岡さんに楯突いた美穂ちゃんの理由(幼少の頃のトラウマ)は、私にはちょっと説得力がありませんでした。このドラマの、この何とも形容できない「変なツクリ」は、遊川さんという人の芸風なんでしょうか?(笑)

先週は長年の恋人と別れ、今週は世話になった勤め先を辞める。来週はどうなるんだろう!その内、荻原さんの熱さが、脇役二人に伝染していくことは見えているんですが。

ありえない主人公に、ありえない脇役(特に谷原章介さん)、それでも来週も見ようと思っている私は、この脚本家の術中に嵌ってしまっているのかもしれません。

投稿: 弥太郎 | 2010年1月21日 (木) 21時50分

弥太郎様
コメント、ありがとうございます。

キャラを極端にすると面白い、っていうのは、結構古くからあるシナリオ作りのセオリーみたいなところがありますが、日本のドラマにおけるその淵源は、冬彦さんだった気がします(笑)。

遊川和彦サンという脚本家は、自分の言いたいことをまず大前提として、ドラマを作る前にガーンと決めているように、私には感じられます。
「女王の教室」(見てませんでしたけど)などは、逆説みたいな形で教師の体罰の正当性を世に問いかけていたような気がしたし、「オヤジぃ。」 では、一見理想的な家族を徹底的に破壊していました。
どうも、極端な状況、というものが好きな人のようです(笑)。

このドラマがどうしても気になっちゃうのは、第1回の時の記事にも書きましたけど、菅野美穂チャンの 「ツンデレ」 ぶりが原因なのだと、勝手に解析しております(笑)。
つまり、ツッパリまくっているのに、とても健気なんですよ。 すごくかわいい内面を持っているのに、それを硬ーい硬ーい殻で隠して武装している(笑)。
それをあり得ないキャラの谷原サンや永作チャンが、外からツンツンしている面白さ。
そしてそれにまんまと乗せられて大爆発してしまう美穂チャン。

この構造が、見ていて楽しいんだと、個人的には思っておりますです。

投稿: リウ | 2010年1月22日 (金) 01時19分

>ドラマを作る前にガーンと決めているように、私には感じられます。
ふむ、ふむ。

>「ツンデレ」 ぶりが原因なのだと、勝手に解析しております(笑)。
ふむ、ふむ。そうですね。確かにこの「ツンデレ」に、妙な面白さを感じてます、私も。言われてみれば。

投稿: 弥太郎 | 2010年1月23日 (土) 13時20分

弥太郎様
再コメント、ありがとうございます。

遊川サンの脚本で、田村正和サンの一連のシリーズがありましたけど(「オヤジぃ。」「夫婦。」 ってところかな)、この人主人公を不幸にするのが好きだなー(笑)なんて思ったことがあります。 あんまりぶっ壊し過ぎて、最終回いくら問題解決したとしても、見渡してみれば焼け野原…(笑)、みたいな。

美穂チャンがそんなことにならないよう、祈ってます(笑)。

投稿: リウ | 2010年1月23日 (土) 17時53分

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