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2010年2月12日 (金)

「不毛地帯」第15回 盛り上がってまいりました

 前回東京商事の鮫島(遠藤憲一サン)に、まんまとしてやられた、壹岐正(唐沢寿明サン)。
 イランの石油開発に日本石油公社の手を借りず、アメリカのオリオン・オイルと手を結んで鮫島たちに対抗しようとするのですが。
 今回の 「不毛地帯」 は、そこに至るまでの裏工作や、里井副社長(岸部一徳サン)の追い落としなど、見ごたえある話の連続で、ようやく最終回に向けて盛り上がってくる話の、まずは序章、という感じが強くしました。

 なにしろ、公社の手を借りない、という壹岐のそもそもの発想からして、外野の私から見て 「大丈夫かよ」 と思えるような気がするのです。 すごい勝負に出とるな、という感じ。
 公社を通じて石油の開発取引をする、ということは、要するに岸・佐藤(たぶん)という歴代総理を通した慣例みたいなもの。
 それを田中角栄(たぶん)という対抗勢力の力添えを借りて独自の道を探ろう、というんですからね。 違うかな、この原作のモデル。 たぶん江守徹サンは、田中角栄だと思うんですけどね。 今回のドラマ中、壹岐と大門社長(原田芳雄サン)が、江守サンに手土産を持って行ったようですが、あれって裏金ですよね、たぶん。
 外国資本の力を借りる、ということで、国賊なんていう話も次回は出てくるようですが、そうした問題さえも噴出するだろう、いわば 「茨の道」。
 こりゃ相当大変だ、ということは、想像に難くないのです。

 まずは紅子(天海祐希サン)のつてでオリオン・オイルのリーガン会長と接触。 この部分はドラマ的に結構イージーだったんですけどね。 紅子の夫、黄(石橋蓮司サン)に相談すりゃなんとかなるだろう、みたいな。 ここでドラマでは以前の壹岐と紅子の気まずいニアミスシーンをはさんで恋愛ドラマチックにしていたんですが、それより、紅子を利用しようとする壹岐のしたたかな面なんかを挿入したら、ドラマ的にはもっと面白かった気がします。

 そしてリーガン会長との合意に至った壹岐たちは、近畿商事内の情勢をまとめあげようと、鉄鋼部と財務管理の抱き込みを画策する。 壹岐と兵頭(竹野内豊サン)が巧みに里井副社長の疑惑の目をすり抜ける部分は、結構見ごたえありました。

 ここに、角田(篠井英介サン)の思惑まで、交差してくるんですからね。
 なんとか社内の情勢を見極めようと動きまわっている角田は、ずるいと感じるより、ワタシ的には、そういうもんなんだよなー、という感じがしましたです。
 「里井副社長のことは、もう考えなくていい」 と、自分の女房に手作りの料理を作らせて壹岐のところに持っていく角田、なんとも同情したくなります。 もっとこんなトカゲ男みたいな描きかたではなく、角田には角田の生きる道がある、というところも、見せてほしかったなあー。

 そして壹岐の次の勝負どころ、近畿商事の経営者会議。

 ひとり頑強に反対する里井副社長に、壹岐が反駁する場面は、壹岐のこの仕事に賭ける本当の情熱を、個人的はこのドラマで初めて感じることのできたシーンでした。

 「君は、真珠湾攻撃で日本を戦争に追い込んだあの暴挙を、懲りもせず、またこのわが社でおっぱじめようというのか!」
 「確かに真珠湾攻撃は、石油資源を確保するために始めましたが、結果的に多くの犠牲を招くことになりました」
 「だったら!」
 「だからこそ私は! かつて武力で得ようとした石油を! 日本の将来のために、平和な形で得ようとしているのです!」

 壹岐の仕事のほんとうの意味が、ここで明確になった気がしました。

 会議は満場一致で、壹岐のこの姿勢に同調。
 大門社長の決断にも、「社運を賭ける」、ということは巷でもよく聞きますが、ホントはこういうとてつもない覚悟が必要なことなんだな、と感じられてなりませんでした。
 このくだりを見ていると、彼らの仕事がけっして 「不毛」 ではないことが感じられます。
 里井副社長を結果的に下野させることになった大門社長とのやりとりも、大門社長の、泣いて馬謖を斬る、という悲壮さを感じられたし、里井副社長の、会社のために身を削りながら働いてきた男の生きざまも感じることができた。 それまであまり、このドラマの男たちに対して、作り手の温かい目、というものを感じることができなかったのですが、今回の話は、別だった気がします。

 ただし、壹岐たちの前に立ちふさがるのは、あの狡猾な鮫島と、憎々しい貝塚(段田安則サン)。 前途多難なだけに、次回がますます、見逃せなくなってきました。

 蛇足のようですが。
 最後に、壹岐のマンションにやってきた、家政婦のハル江サン(吉行和子サン)。 アメリカから里帰りしたとか。
 そのハル江サン、千里(小雪サン)が来ることをすばやく察知し、いっしょに来た梶原善サンを急かして帰ろうとする(笑)。
 このハル江サンのあまりの推理力に、正直笑いまくりました。
 なんでここまで鋭いんだっ(笑)。
 「家政婦は見た!」 の市原悦子サンも、真っ青でした(笑)。

当ブログ 「不毛地帯」 に関する記事
(番外) http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/10/post-6a81.html
第1回 http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/10/1-05a5.html
第2回 http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/10/2-w-070f.html
第3回 http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/10/3-4bae.html
第4回 http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/11/4-9755.html
第5回 http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/11/5-abb7.html
第6回 http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/11/6-d4bd.html
第7回 http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/11/7-8677.html
第8回 http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/12/8-4f4a.html
第9回 http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/12/9-cdc5.html
第10回 http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2009/12/10-183b.html
第11回 http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/01/11-0587.html
第12回 http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/01/12-68a7.html
第13回 http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/01/13-2599.html
第14回 http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/02/14-4fa8.html
第15回 (当記事)
第16回 http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/02/16-3ac8.html
第17回 http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/02/17-2-6e30.html
(番外) http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/03/19-b645.html
第18回 http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/03/18-5177.html
第19回(最終回) http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/03/19-7b99.html

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BOOKS

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 上

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 上
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ記事より抜粋)。 この上巻ではビートルズの祖先から遡ってリバプールで人気に火が付き始めたところまでが書いてあります。

  • ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白

    ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白
    まず驚かされるのが、表紙のポールの写真です。 よくこんなのが採用されたな、というくらい、刻まれた年輪が顕著に分かる 「年老いたポール」。 飾り気のないその写真に、「素のポール」 をあぶり出そう、という心意気が見える。 そして実際、著者のその目論見は、成功しているように思えます。 何より大きいのは、「NME」「Q」「MOJO」 など音楽メディアで長年記者を務めてきた著者がポールと同じリバプールの出身者である、ということ。 さらにポールと同じファースト・ネームであること。 だからポールはまるで自分の分身に話しかけるかのように、時折同郷人にしか分からない言葉で気さくに著者に話しかける。 この本を読む者は、まずその 「不思議なリラックス感」 に包まれるはずです。  本の構成は大きく二つに分かれます。 前半ではビートルズからウィングス、ソロに至るポールのたどってきた長い長い歴史、後半ではポールの人格に迫る試みがなされていく。 そのインタビューは、一気に行なわれたものではありません。 著者がNMEの記者だった1979年のものから、明示はされていないがおそらく2013年、「NEW」 の発売前後が最新のものではないか、と思われます。 実際読んだ感覚では 「キス・オン・ザ・ボトム」 あたりが最新のような気もする。 その30年以上にわたる膨大なポールへのインタビューを、項目によって構成し直しているようです。 ですから、今年(2016年)亡くなったジョージ・マーティンについてのポールの見解であるとか、最新の情報が提示されているわけではない。 ポールの情報というのはこの歳になってもなお日々更新型ですから、その点については物足りなさが確実にあります。 さらに、30年以上というとポールのものの考え方にも変化変遷があってしかるべきだと思うのですが、30年以上をリミックスにかけているからその変化というものがつかめてこないもどかしさがある。 表紙を飾ったポールの 「老い」 という問題にも、この本はきちんと答えてくれているわけではない。 さらに言えば、ジョン・レノンの死について多くが割かれているのとは対照的に、2001年に亡くなったジョージ・ハリソンの死についての記述はない。 正直なところ、このような本を読み漁ってきた身としては、衝撃に値するような情報が書かれているわけではありません。 しかし前述したような、リラックスしたムードのなかでポールと語らっているような疑似体験を共有できる強みが、この本にはある。 この本全体に貫かれているのが、この心地よさなのだ、と思うのです。 その心地よさが乱れるパートがあります。 自身の失敗作、どうでもいい作品について語るときのポールは多分に感情的になりがちであり、イライラした様子を隠しません。 特に 「シークレット・フレンド」 を語るポールのくだりはポールファンなら一読に値する部分でしょう。 しかしそのイライラも、ポールの人間性が垣間見える瞬間としてこの本にとっては必要なパートなのです。 3000円以上と、この本は決して安くはない部類の本です。 ただその値段に見合うパフォーマンスは兼ね備えています。 この本と付き合った1か月足らずの間、心地よい体験をすることができました(アマゾンの自身のカスタマーレビューより)。

  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

  • 山口 百恵 -

    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

  • デイヴ・グルーシン&リー・リトナー -

    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

  • 桜田淳子 -

    桜田淳子: ゴールデン☆ベスト 桜田淳子~シングル・コレクション
    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

  • The Beatles -

    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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