« 「巨人の星」 に深みを与えた、川上監督の存在 | トップページ | 「曲げられない女」 第5回 ちょっと迷走してた、かな… »

2010年2月10日 (水)

「蒼窮の昴」 第4-5回 王道ストーリー、だけど面白い!

 NHKBSハイビジョンの日中合作ドラマ、「蒼窮の昴」。
 この第4回から第5回の話は、正直言って面白すぎ! これ以降どうなるかも気になりますが、ワタシ的にはこの5回のラストは、シビレまくりました! これだけでもじゅうぶん満足であります。 ドラマが好きな人なら、絶対見るべきだと思います!

 冷めた言い方をすれば、この第5回の話というのは、いかにもストーリー的には王道で、目新しいものなど何もないのですが、王道だからこそ、古来この手の話に誰もが魅了されてきた。 こんなDNA刷り込まれまくりのドラマ手法に、悔しいけれどやっぱり、シビレまくってしまうのです。

 ここからネタバレ入りまくりますが、私のこの手放しの褒めように賛同していただけるなら、ご覧になっていない方はここから先はどうか読まないでいただきたいです! 今のところ再放送の予定はないようなのですが、いずれNHK総合でも、きっと放送すると思いますので!

 李春雲(春児)がハチャメチャ師匠、安徳海の知り合いだった黒牡丹、という元京劇のトップスター、かつ西太后のお気に入りだった男に弟子入りし、芝居の稽古を受け続けるのですが、ここらへん、まるでオビ・ワンの修行を受けるルーク・スカイウォーカーといった趣。
 それまで安徳海から 「酔拳」 さながらのハチャメチャさで精神的な鍛錬を積んできて、ここにきて黒牡丹から技術的な修練を積んでゆく。 ここらへんの春児の成長のさせかたが、まず見ていて面白いんですよ。 あーだけど、オーソドックスだよなー。 でもそれがいいんだよなー。

 そして元宦官窟の仲間たちにその成果を披露、という段になって、ガチガチの春児の背中を押す、黒牡丹。 その黒牡丹は春児と一緒に立ったその舞台で、無理がたたって血を吐き、死んでしまうのです。 ここらへんも、いかにもありがちなんですが。
 でも、そこに至るまで、病弱だった黒牡丹の体を揉みながら、いまに宮廷入りして西太后の前で舞を舞い、「黒牡丹が戻ってきたようじゃ」 と西太后に言わせて見せる、という春児の師匠への誓いを挿入させたり、後々重要になってくる逸話が、ここで語られる。
 春児の健気さが、見る側にこれで、しっかりと刷り込まれるんです。

 やがて宦官として宮廷入りした春児。 イヤーミな蓮元という教官が、何とか悪いところを見つけようとするんですが、安徳海と黒牡丹に鍛え上げられている春児はパーペキ状態で、ケチのつけどころが全くない。 それで蓮元が意地悪く預けたところが、黒牡丹がかつていた、京劇なんですよ。
 そこでの下積みは、宮廷の中でもとりわけ厳しい。

 あーもうここからは、いつ春児が西太后の前で舞を踊るのか、そればかりが気になっちゃって。

 それから物語的にはとても性急に進んでいくんですが、こっちも早くみたいと思っているので、その性急さが気にならない。
 いつもの観劇の際、西太后(田中裕子サン)が用意された演目を見て、いちばん難しそうなヤツを選んで。
 演出家?はいちおう演目に入れていたものの、その演目は単なるカッコつけのためのものだったため、西太后にいざ命令されても、誰もやるべき者がいない。
 いちおう通してやってみよう、とおぼつかない演技を役者たちが舞台裏でやっているとき、春児が 「こうすると剣を落としませんよ」 と、黒牡丹直伝の技術をちょっとだけ教える。 そこで 「出来るのか、オマエ?」 みたいな展開になって、春児はその難しい演目をやらされることになるんですよ。

 うわ~ッ、やったー、と思う間もなく、春児は最初に仲間の前で演技を披露した時のように、また緊張でガッチガチになってしまう。

 そこに黒牡丹の幻影が現れ、あの時と同じように、春児の背中を押すんですよ。

 どうせカッコつけだけで演じられるわけがない、とタカをくくっていた西太后が、春児の見事な舞に心を奪われていくさま、と言ったら!
 田中裕子サン演じる西太后か、実に気難しいけれども、ユーモアも解する人物だった、というのは、第4回目で織り込み済み。 ここらへん、まるで水戸黄門の印籠を見ているような気分にさせられます。

 そして、演目が終わった後、春児に向かって西太后が、「まるで、黒牡丹が戻ってきたようじゃ」 とうれしそうに話すんですよ!

 うわーっ、この展開、ベタすぎるんですけど、すっごくいい!

 久々に、ドラマを見て、ドキドキワクワクしました。 王道のお話って、やっぱりいいもんですね!

当ブログ 「蒼窮の昴」 に関する記事
いつの間に始まってたの!見逃した!http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/01/post-079d.html
アフレコ気にならなければ、結構面白いですhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/02/post-4cef.html
第4-5回 王道ストーリー、だけど面白い!http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/02/4-5-5869.html

« 「巨人の星」 に深みを与えた、川上監督の存在 | トップページ | 「曲げられない女」 第5回 ちょっと迷走してた、かな… »

テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「蒼窮の昴」 第4-5回 王道ストーリー、だけど面白い!:

« 「巨人の星」 に深みを与えた、川上監督の存在 | トップページ | 「曲げられない女」 第5回 ちょっと迷走してた、かな… »

2019年8月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

BOOKS

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 上

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 上
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ記事より抜粋)。 この上巻ではビートルズの祖先から遡ってリバプールで人気に火が付き始めたところまでが書いてあります。

  • ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白

    ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白
    まず驚かされるのが、表紙のポールの写真です。 よくこんなのが採用されたな、というくらい、刻まれた年輪が顕著に分かる 「年老いたポール」。 飾り気のないその写真に、「素のポール」 をあぶり出そう、という心意気が見える。 そして実際、著者のその目論見は、成功しているように思えます。 何より大きいのは、「NME」「Q」「MOJO」 など音楽メディアで長年記者を務めてきた著者がポールと同じリバプールの出身者である、ということ。 さらにポールと同じファースト・ネームであること。 だからポールはまるで自分の分身に話しかけるかのように、時折同郷人にしか分からない言葉で気さくに著者に話しかける。 この本を読む者は、まずその 「不思議なリラックス感」 に包まれるはずです。  本の構成は大きく二つに分かれます。 前半ではビートルズからウィングス、ソロに至るポールのたどってきた長い長い歴史、後半ではポールの人格に迫る試みがなされていく。 そのインタビューは、一気に行なわれたものではありません。 著者がNMEの記者だった1979年のものから、明示はされていないがおそらく2013年、「NEW」 の発売前後が最新のものではないか、と思われます。 実際読んだ感覚では 「キス・オン・ザ・ボトム」 あたりが最新のような気もする。 その30年以上にわたる膨大なポールへのインタビューを、項目によって構成し直しているようです。 ですから、今年(2016年)亡くなったジョージ・マーティンについてのポールの見解であるとか、最新の情報が提示されているわけではない。 ポールの情報というのはこの歳になってもなお日々更新型ですから、その点については物足りなさが確実にあります。 さらに、30年以上というとポールのものの考え方にも変化変遷があってしかるべきだと思うのですが、30年以上をリミックスにかけているからその変化というものがつかめてこないもどかしさがある。 表紙を飾ったポールの 「老い」 という問題にも、この本はきちんと答えてくれているわけではない。 さらに言えば、ジョン・レノンの死について多くが割かれているのとは対照的に、2001年に亡くなったジョージ・ハリソンの死についての記述はない。 正直なところ、このような本を読み漁ってきた身としては、衝撃に値するような情報が書かれているわけではありません。 しかし前述したような、リラックスしたムードのなかでポールと語らっているような疑似体験を共有できる強みが、この本にはある。 この本全体に貫かれているのが、この心地よさなのだ、と思うのです。 その心地よさが乱れるパートがあります。 自身の失敗作、どうでもいい作品について語るときのポールは多分に感情的になりがちであり、イライラした様子を隠しません。 特に 「シークレット・フレンド」 を語るポールのくだりはポールファンなら一読に値する部分でしょう。 しかしそのイライラも、ポールの人間性が垣間見える瞬間としてこの本にとっては必要なパートなのです。 3000円以上と、この本は決して安くはない部類の本です。 ただその値段に見合うパフォーマンスは兼ね備えています。 この本と付き合った1か月足らずの間、心地よい体験をすることができました(アマゾンの自身のカスタマーレビューより)。

  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

  • 山口 百恵 -

    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

  • デイヴ・グルーシン&リー・リトナー -

    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

  • 桜田淳子 -

    桜田淳子: ゴールデン☆ベスト 桜田淳子~シングル・コレクション
    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

  • The Beatles -

    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

無料ブログはココログ