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2010年2月 6日 (土)

「君たちに明日はない」 第4回 必要とされているか、やる気があるか

 「君たちに明日はない」 第4回は、「ちりとてちん」 の草々役だった青木崇高クンが、リストラの対象候補。 私久しぶりにムネムネクン、見ました。
 とは言っても、前回の内山理名チャンと同じように、別に辞めさせる必要のないほうの人間。
 前回はこの時点で、やめさせる必要もなければ面接でその旨を理名チャンに伝えるとかすりゃいいのに、で終わりの話だったんですが(しかも袴田吉彦クンが、すごく仲のいい同僚のクセに理奈チャンと結婚しないという不可解な役でした)、今回はちょっと違う。

 坂口憲二クンは崇高クンが優秀な銀行マンだということを早いうちから把握し、トラブルで現在の部署に飛ばされてくすぶっている崇高クンを、自分の力がじゅうぶん発揮できる仕事をやらせるために、あえてむりやり崇高クンが務めているメガバンクを辞めさせようとするのです。

 物語では、坂口クンと崇高クン、そして崇高クンを欲しがっている坂口クンの友人、この3人が同じ高校の同級生だった、という、結構出来すぎた設定。
 そして坂口クンとその友人(北村有起哉サン)が落ちこぼれ組、崇高クンが優等生だった、という設定。 優等生だった崇高クンを、劣等生だった坂口クンがリストラする、という構図を作り出しています。

 そのため、最初 「どんなことがあってもあいつをリストラしてやる」 と息巻く坂口クンが、まるで高校時代の遺恨を晴らそうとしているように、見ている側に思わせる演出をする。
 要らんです、こんな演出。
 なんで見ている側に 「こりゃダメだ」 と思わせるような幼稚な引っ掛けをしようとするんですかね、この脚本家の人。
 こんなことをするから、主人公に感情移入できなくなっちゃうんだと、思いますです。

 それはそうとして、崇高クンの奥サン役が、遠藤久美子チャンだったんですけど、うわ、やっぱり久々です、この人見たの。 ずいぶん大人になりましたね。 なかなかいい演技をなさるじゃないですか。 もっといろいろ、ドラマにお出になったらいいのに。

 その奥サンが、これまたよくできた、出来すぎの奥サンで。
 「ムネムネがその仕事が好きで、本気で打ち込んでいなければ結婚はしない」 という、そんなこと言い出したら誰とも結婚できんだろ(笑)、という条件をわざわざ崇高クンに突破させて、それから結婚したという、何様じゃオマエ(笑)みたいな女だったんですけど(笑)、崇高クンが自分が本当に打ち込める仕事に転職したい、と言い出した時、それにあくまでついていく決意を見せるんですよ。 ああ~、できた嫁だ。 そりゃ、あんな結婚条件つけたくらいだから、このダンナの転職話にノーと言うわけにはいきませんよね(笑)。

 私が今回のドラマを見ていて感じたのは、自分のやる気をそのまま前面に押し出して仕事ができることの、ある種の幸せです。

 崇高クンが坂口クンにリストラを拒絶する理屈として言い放ったセリフ。
 「世の中には、本当に思い通りのやりたい仕事ができている人なんてごくわずかですよ。 みんな我慢して、それでもがんばって仕事して、そうやって給料を頂いて、家族を養っていく。 そういうもんでしょ」
 「これから辞めて、再就職したとして、満足できるような職業に就けると思いますか? 辞めてもっとひどい状況になることだって考えられるんでしょ? じゃ、今のままでいいと思う自分だって、間違いじゃないでしょ?」

 つまり、みんな我慢しながら仕事をしているのは、生活のため、なんですよ、ほとんど今のこのせちがらい世の中では。 だからこそ、自分の打ち込める仕事を選べる、という崇高クンのこのドラマでの役どころは、実は相当幸せである、と言っていい。

 崇高クンのように、自分がやる気のない部署に回されても、とりあえずちゃんと毎月の給料が保証されている、という状態も、同時に幸せであると言うほかはない。
 ただやる気がなくても将来にわたるまでただで済む話なら、いいんですがね。

 ところでこれは仕事に対するやる気とは、ちょっと別の話になってしまいますが、私のまわりでは仕事中、「とりあえず」 という言葉がとても頻繁に使われます。 まるでこの業界全体の流行語のような感覚です。

 これって、私たちが仕事に対して持っている気持ちと、とてもリンクしているような気が、するんです。

 「とりあえず」、自分の本当にやりたいことは、こっちへ置いといて。

 「とりあえず」、肝心な人生の問題は、こっちへ置いといて。

 「とりあえずとりあえず」 で一応やっといて、自分のやる気を少しずつずらしながら集中させようとする。
 だから仕事に対しては、結果的にとても打ち込んでいることは打ち込んでいる。
 だけども今回のドラマが問いかけてくるように、「それってホントに自分のやりたかったことなの?」 と言われると、それはちょっと違う。 心から楽しんでやっているのか?と言われると、ちょっと違う気がする。

 結局崇高クンが言ったように、「本当に思い通りのやりたい仕事ができている人なんて、ごくわずかだ」 と自分に言い聞かせるしかないんですよ、普通転職もままならない人からすると。

 そして渡りに船、みたいな話がない人間は、田中美佐子サンのように、あてどもなく転職先を探し続けなければならない。

 でも田中サンの再就職先、このドラマでは前田吟サンとか、落としどころはそこらに転がっているような気がいたしますが(笑)。

当ブログ 「君たちに明日はない」 に関する記事
第1回http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/01/post-f372.html
第2回(番外)http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/01/post-d86b.html
第2回http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/01/2-1c05.html
第3回なし
第4回(当記事)
第5回http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/02/5-9c41.html
第6回(最終回)http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/02/post-d0bd.html

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BOOKS

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 上

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 上
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ記事より抜粋)。 この上巻ではビートルズの祖先から遡ってリバプールで人気に火が付き始めたところまでが書いてあります。

  • ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白

    ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白
    まず驚かされるのが、表紙のポールの写真です。 よくこんなのが採用されたな、というくらい、刻まれた年輪が顕著に分かる 「年老いたポール」。 飾り気のないその写真に、「素のポール」 をあぶり出そう、という心意気が見える。 そして実際、著者のその目論見は、成功しているように思えます。 何より大きいのは、「NME」「Q」「MOJO」 など音楽メディアで長年記者を務めてきた著者がポールと同じリバプールの出身者である、ということ。 さらにポールと同じファースト・ネームであること。 だからポールはまるで自分の分身に話しかけるかのように、時折同郷人にしか分からない言葉で気さくに著者に話しかける。 この本を読む者は、まずその 「不思議なリラックス感」 に包まれるはずです。  本の構成は大きく二つに分かれます。 前半ではビートルズからウィングス、ソロに至るポールのたどってきた長い長い歴史、後半ではポールの人格に迫る試みがなされていく。 そのインタビューは、一気に行なわれたものではありません。 著者がNMEの記者だった1979年のものから、明示はされていないがおそらく2013年、「NEW」 の発売前後が最新のものではないか、と思われます。 実際読んだ感覚では 「キス・オン・ザ・ボトム」 あたりが最新のような気もする。 その30年以上にわたる膨大なポールへのインタビューを、項目によって構成し直しているようです。 ですから、今年(2016年)亡くなったジョージ・マーティンについてのポールの見解であるとか、最新の情報が提示されているわけではない。 ポールの情報というのはこの歳になってもなお日々更新型ですから、その点については物足りなさが確実にあります。 さらに、30年以上というとポールのものの考え方にも変化変遷があってしかるべきだと思うのですが、30年以上をリミックスにかけているからその変化というものがつかめてこないもどかしさがある。 表紙を飾ったポールの 「老い」 という問題にも、この本はきちんと答えてくれているわけではない。 さらに言えば、ジョン・レノンの死について多くが割かれているのとは対照的に、2001年に亡くなったジョージ・ハリソンの死についての記述はない。 正直なところ、このような本を読み漁ってきた身としては、衝撃に値するような情報が書かれているわけではありません。 しかし前述したような、リラックスしたムードのなかでポールと語らっているような疑似体験を共有できる強みが、この本にはある。 この本全体に貫かれているのが、この心地よさなのだ、と思うのです。 その心地よさが乱れるパートがあります。 自身の失敗作、どうでもいい作品について語るときのポールは多分に感情的になりがちであり、イライラした様子を隠しません。 特に 「シークレット・フレンド」 を語るポールのくだりはポールファンなら一読に値する部分でしょう。 しかしそのイライラも、ポールの人間性が垣間見える瞬間としてこの本にとっては必要なパートなのです。 3000円以上と、この本は決して安くはない部類の本です。 ただその値段に見合うパフォーマンスは兼ね備えています。 この本と付き合った1か月足らずの間、心地よい体験をすることができました(アマゾンの自身のカスタマーレビューより)。

  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

  • 山口 百恵 -

    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

  • デイヴ・グルーシン&リー・リトナー -

    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

  • 桜田淳子 -

    桜田淳子: ゴールデン☆ベスト 桜田淳子~シングル・コレクション
    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

  • The Beatles -

    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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