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2010年2月14日 (日)

「龍馬伝」第7回 父のこころ、子のこころ

 江戸から帰ってきた福山龍馬を待っていたのは、開国によってすっかり変わってしまった土佐の人々の姿。
 龍馬はほとんど浦島太郎状態なのですが、ただひとつ、変わっていなかったのが、龍馬の家族。
 第7回の 「龍馬伝」 は、まさにこの家族の絆を描いて秀逸だった気がします。
 泣けました。

 軽々しく 「武市サン」 と呼ぼうものなら、「武市先生と呼びや!」 みたいな物々しい攘夷派の急先鋒となってしまっている、武市半平太(大森南朋サン)。 すっかり変わってしまう人を演じさせたら、この人の右に出るものはいない、と言うか(笑)。
 はじめ出て来た時は、武市という人物は道場を開いている割には何とも頼りなげで、大した特徴のある人物ではなかった。 それがここまで過激な人物になってしまう、という変貌ぶりを、大森サンは見事に演じている気がします。 さして気持ちの見えにくい人物だったからこそ、変わってしまうとこのようになる、という見本のような気が強くします。

 ただし武市サンはじめ、佐藤健クンとか、実際に黒船を見たことのない人々が掲げる攘夷というものが、ドラマを見てるととても幼稚な姿に見える。
 龍馬のように、誰も外国との軍事力の差を目の当たりにしてないんですから、これは致し方なし、なのかもしれません。

 加尾(広末涼子チャン)に出会ったら出会ったで、彼女結婚もしてないし、岩崎弥太郎(香川照之サン)のところで学問をしていたとか言うし。
 「帰ってきたそばから、いろんなことが起こりすぎじゃ…」 と、戸惑いまくりの福山サン(笑)。

 そんな龍馬が弥太郎にひつこく(笑)くっついて行った先は、絵師の河田小龍(リリー・フランキーサン)。
 そこには武市も来ていて、何が始まるのかと思ったら、リリーサン、ただ外国の知識を紹介するだけ。 目を見張って聞いているのは、龍馬だけで(笑)。
 この場で武市がリリーサンに聞きたかったのは、「どうしたら異国を打ち払えるか」 ということ。 かたや弥太郎がリリーサンに聞きたかったのは、「どうやったら金持ちになれるか」 ということ。
 リリーサンはどっちにも、木で鼻をくくったような返事(笑)。 互いをバカにし合う武市と弥太郎は、その場で大ゲンカ。 それの仲裁に入った龍馬の様子を厠で聞きながら、リリーサンは龍馬に興味を抱く。

 ここらへんのやり取りは、三者三様のぶつかり合いを象徴的に演出した、という点で、なかなか面白いものがありました。
 リリー・フランキーサンもミョーな存在感がございますね。 こういう役者サンって、近頃なかなかいない気がします。
 特に演技がうまいわけではないのですが、だいぶ前の映画 「幕末青春グラフィティRonin」 で高杉晋作を演じていた吉田拓郎サンのような匂いがいたします。 普通演技に素人、とかいうと、セリフに感情がこもってなかったりしますけど、プロの演技者にはない方向からリアリティを出す人が、いたりするもんです。 拓郎サンも演技の素人でしたけど、さすがにフォークシンガーの道を極めた人、強烈な存在感を発散させていたものです。
 リリーサンは演技の素人ではないようなのですが、プロの役者サンにはない、独特の雰囲気が出ている気がしました。 ドラマでのリリーサンの居宅?には、何匹もの猫がいましたが、なんかぴったりな小道具な感じでしたね。

 それから、リリーサンは、なぜか龍馬の家に居候してしまうのですが(笑)、ひょうひょうとしてるためか、それがちっとも不自然じゃない(笑)。
 彼のおかげで、発作を起こした龍馬の父、八平(児玉清サン)が一命を取りとめます。

 「わしは、なんも知らんと、江戸で好き勝手なことを…!」 と悔やむ龍馬。
 病床の八平の様子は、子を思う父の心にあふれていて、父親の不肖の息子である私も、居ずまいを正して聞く気持ちでありました。

 「龍馬、…わしに構もうな。 おまんは、剣を振り、書を読む。 侍が、己を磨き、高めよういう気持ちを忘れたら、生きておる値打ちは、ないぜよ。 この世に生まれたからには、己の命を、使い切らんといかん。 使い切って、生涯を終えるがじゃ」

 「私は、まだ、なにも成し遂げちょりません。 父上に、なにもお見せできちょりません。 父上には、もっと、もっともっと、生きておってもらわんと困ります!」

 「おまんは、ひとまわりも、ふたまわりも大きゅうなって、江戸から帰ってきてくれた。 それだけで、じゅうぶんぜよ。 わが子の、成長が、親にとっては、いちばんの、幸せながじゃ」

 私もまだ、親に何もできてません。 してるのかもしれないけど、まだまだ不十分という気がいたします。 とても、身につまされるシーンでした。

 そしてある晩、リリーサンに向かって、八平は 「龍馬が咲かせた花を見たかった…」 とつぶやく。 その父親としての気持ち、痛いほど伝わってきました。 龍馬の場合、大河ドラマになるくらいですから、現代に至るまで、花は咲きまくっておりますよね。

 龍馬の発案で、家族総出ででかけた土佐の海。
 そこで 「黒船を作って、一家をのせて世界中を旅してまわる」 という壮大な夢をみなに語る龍馬。
 それを聞きながら、感極まっていく八平。
 「…おまんは、そんなことを考えちょったか…楽しそうな旅じゃ…みんなあで、行くがぜよ…こんな、うれしい日は、初めてじゃあ…」
 父親との、最後の日々。

 福山サンの、父親を思う気持ち、児玉サンの、息子を思う気持ち。 互いの演技がぶつかった、とてもいいシーンでした。 泣けました。

 さて、今週の 「弥太郎伝」 でございます。

 加尾チャンにトートツなプロポーズをした弥太郎殿。
 「岩崎先生…!」
 「先生はいい!…おまさん、と呼んでくれっ!」 ニカニカッ! 光る汚い歯(笑)。

 見事、玉砕いたしました(笑)。 突っ伏した弥太郎殿の目の前には、のんびりと餌をついばむ、二羽のニワトリ(笑)。
 リリーサンちには猫、坂本サンちにはカメ、そしてラストのリリーサンの絵が、龍。
 なんか関連性は分かりませんが、狙ってるなー(笑)。

当ブログ 「龍馬伝」 に関する記事
♯01論点が、はっきりしちゅうhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/01/1-e718.html
♯02えらい天気雨じゃったのう(笑)http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/01/2-a44b.html
♯03食われっぱなしぜよ、福山サンhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/01/3-8e96.html
♯04佐那チャン、ツンデレ、してません?http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/01/4-5776.html
♯05アイデンティティの崩壊http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/01/5-d115.html
♯06本分をわきまえる、ということhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/02/6-766e.html
♯07父のこころ、子のこころ(当記事)
♯08汚さに磨きがかかる(なんだソレ?)弥太郎殿http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/02/8-8680.html
♯09思想か、命かhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/02/9-febd.html
♯10もっとなんとかできたはずhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/03/10-b847.html
♯11龍馬が担ぎ出される、その理由http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/03/11-ac67.html

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BOOKS

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 上

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     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ記事より抜粋)。 この上巻ではビートルズの祖先から遡ってリバプールで人気に火が付き始めたところまでが書いてあります。

  • ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白

    ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白
    まず驚かされるのが、表紙のポールの写真です。 よくこんなのが採用されたな、というくらい、刻まれた年輪が顕著に分かる 「年老いたポール」。 飾り気のないその写真に、「素のポール」 をあぶり出そう、という心意気が見える。 そして実際、著者のその目論見は、成功しているように思えます。 何より大きいのは、「NME」「Q」「MOJO」 など音楽メディアで長年記者を務めてきた著者がポールと同じリバプールの出身者である、ということ。 さらにポールと同じファースト・ネームであること。 だからポールはまるで自分の分身に話しかけるかのように、時折同郷人にしか分からない言葉で気さくに著者に話しかける。 この本を読む者は、まずその 「不思議なリラックス感」 に包まれるはずです。  本の構成は大きく二つに分かれます。 前半ではビートルズからウィングス、ソロに至るポールのたどってきた長い長い歴史、後半ではポールの人格に迫る試みがなされていく。 そのインタビューは、一気に行なわれたものではありません。 著者がNMEの記者だった1979年のものから、明示はされていないがおそらく2013年、「NEW」 の発売前後が最新のものではないか、と思われます。 実際読んだ感覚では 「キス・オン・ザ・ボトム」 あたりが最新のような気もする。 その30年以上にわたる膨大なポールへのインタビューを、項目によって構成し直しているようです。 ですから、今年(2016年)亡くなったジョージ・マーティンについてのポールの見解であるとか、最新の情報が提示されているわけではない。 ポールの情報というのはこの歳になってもなお日々更新型ですから、その点については物足りなさが確実にあります。 さらに、30年以上というとポールのものの考え方にも変化変遷があってしかるべきだと思うのですが、30年以上をリミックスにかけているからその変化というものがつかめてこないもどかしさがある。 表紙を飾ったポールの 「老い」 という問題にも、この本はきちんと答えてくれているわけではない。 さらに言えば、ジョン・レノンの死について多くが割かれているのとは対照的に、2001年に亡くなったジョージ・ハリソンの死についての記述はない。 正直なところ、このような本を読み漁ってきた身としては、衝撃に値するような情報が書かれているわけではありません。 しかし前述したような、リラックスしたムードのなかでポールと語らっているような疑似体験を共有できる強みが、この本にはある。 この本全体に貫かれているのが、この心地よさなのだ、と思うのです。 その心地よさが乱れるパートがあります。 自身の失敗作、どうでもいい作品について語るときのポールは多分に感情的になりがちであり、イライラした様子を隠しません。 特に 「シークレット・フレンド」 を語るポールのくだりはポールファンなら一読に値する部分でしょう。 しかしそのイライラも、ポールの人間性が垣間見える瞬間としてこの本にとっては必要なパートなのです。 3000円以上と、この本は決して安くはない部類の本です。 ただその値段に見合うパフォーマンスは兼ね備えています。 この本と付き合った1か月足らずの間、心地よい体験をすることができました(アマゾンの自身のカスタマーレビューより)。

  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

  • 山口 百恵 -

    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

  • デイヴ・グルーシン&リー・リトナー -

    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

  • 桜田淳子 -

    桜田淳子: ゴールデン☆ベスト 桜田淳子~シングル・コレクション
    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

  • The Beatles -

    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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