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2010年2月22日 (月)

「龍馬伝」 第8回 汚さに磨きがかかる(なんだソレ?)弥太郎殿

 水田の用水を巡る権利争いで、庄屋とお奉行の汚い裏取引の犠牲となって半殺しの目に遭った、弥太郎(香川照之サン)の父親、弥次郎殿(蟹江敬三サン)。

 かねてから江戸で学問の修行をしていた弥太郎は、オヤジ殿が死にそうだという手紙を受け取るや否や、普通30日はかかるという土佐までの道のりを、16日という猛スピードでご帰還するのですが(笑)。

 早送りやスローモーションを多用したその耐久マラソン(番組HPによると、この撮影には、なんと3か月もかかったそうです)の様子は、まさに抱腹絶倒もの。 途中讃岐で泥の中へとすっ転び(笑)、ただでさえ小汚いっていうのにますます汚くなっていく(笑)。
 どこまで汚くすりゃ気が済むんだ(笑)。

 実家へ帰って来た時のその風体は、顔はどこかの原住民(笑)、足は血だらけ(ひぃぃ、痛そう…)。
 …すごすぎる(笑)。
 …これがすごくなくて、何がすごいというのか(笑)。

 ところがこの弥太郎、こんなコミカルな強行軍とは裏腹に、泣かせるじゃありませんか。 今回。 なんでこんなに、コイツ、人間臭いんだよ!ってくらい。

 虫の息のオヤジ殿(ただし死にそうには、とても見えないのですが…笑)を見て事情をオカン(倍賞美津子サン)から聞くと、弥太郎は矢も盾もたまらず島田の屋敷へ。
 そこで刀を抜こうとするも、すっかり錆びついててちっとも抜けない(笑)。
 なんか、笑えるのに、無性に悲しくなる。
 なんという、なんという人生なのだ!

 この弥次郎殿の一件に首を突っ込んでいた福山龍馬、坂本家の新たな当主となった兄の杉本哲太サンから 「もうかかわるな」 とたしなめられるのですが。
 言ったそばから 「あら、坂本家の当主がそんなことを…」(松原智恵子サン)「器が小さいのお…」(寺島しのぶサン)「お父上がお嘆きになります」(島崎和歌子サン)「ごめんなさい、おじい様…」(子役の女の子)と坂本家の女連中が杉本サンに集中砲火(笑)。 あわてて 「首を突っ込んでもいい」 と訂正する杉本サン、笑えます。 当主が変わって、男女の力関係が逆転した坂本家の変貌が、とてもよく出ていました。
 さっきの弥太郎の強行軍に続いて、今回、ギャグの激しいたたみかけの、連続であります(笑)。

 兄上から許しを得た龍馬、弥次郎殿のお世話をせっせとするのですが、弥太郎はそれが、どぉーも面白くない。 さげすんだような、情けないような、ものすごく複雑な表情を、その時弥太郎はするんですよ。
 「このまま泣き寝入りせい言うがか。 確かに、オヤジの酒癖の悪さはひどいもんじゃあ。 酔うたらすぐにケンカ、ばくち好きでカネにだらしのうて、わしゃ何べん泣かされてきたことか。 …けんどのお。 わしにとっては、この世でたったひとりのオヤジながじゃ! オヤジが半殺しにされて、罪を全部かぶらされて、だまっちょれるわけがないやろがッ!」

 このセリフ、こうして書くとなんてことない平凡なセリフなのですが、これをあの口が悪くて自分勝手でガサツで粗雑で思いきり乱暴な弥太郎が言うと、泣けるんだこれが。
 なんでこんなに、父親に対して不器用な愛情表現しか、できないんだろう。
 ある意味愚直なまでに真っ裸の、父に対するせがれの心。
 弥次郎殿も弥太郎に対して、とても不器用で無骨だけれども、愛情があるし。
 これってある意味、とても素直な家族愛に包まれている坂本家と、この岩崎家というのは、一見すると逆のように見えるけれども、家族愛という観点から言えば、全く同じ種類の家族と言える、のではないでしょうか。

 その後、龍馬と弥太郎は、筋を通すことで評判の吉田東洋(田中泯サン)に今回の問題の直談判に行くのですが、ここでの東洋の反応が、ちょ何ソレ待てよみたいな(笑)ハチャメチャな返事で。
 わしゃ天才だから、何をしてもえいがじゃ!…だって。
 はぁ?

 でもこの東洋の話、結構一理あるような気も(笑)。

 「岩崎弥太郎、お主は何を持っている? 坂本龍馬、お主に、何ができる? なんの力もないもんは、黙っておるしか仕方がないがじゃ。 それが世の中ぜよ」

 つまり、ただ話の分かる人間だから頼みに来た、というのでは、子供が 「あの子にいじめられた」 と泣きついて告げ口するのと、同じレベルでしか、ないんですよ。 まずは東洋に対して、弥次郎オヤジ殿のために動けばこんな利益が出る、というところを、龍馬と弥太郎は提示しなければならない。 これは単なる見返り、という類のものではなく、依頼を受ける側が魅力を感じるだけの要因を作れ、ということなのです。 それが大人の世界ってもんなのです。
 だから、弥太郎や龍馬に、何を私に差し出すことができるのだ?私のためにどう働いてくれるのだ?という意味で、東洋はこのふたりに訊いたんですよ(当たってるかなあ?)。

 東洋にソデにされて、結局、奉行所の門に天誅チックな落書きをすることしかできなかった弥太郎でしたが、そのせいで牢屋入りになってしまう。 落書きをしながら弥太郎が龍馬に訊いた 「どうしてわしらの問題にこんなに命をかけて首を突っ込むのか」、という話は、結構ベタだったので、当ブログでは省略!(笑)。 ええっ?ここが今回の話(「弥太郎の涙」)のキモなのに!(笑)
 いや、さっき愛情表現のところで、書いちゃいましたんで(笑)。 結局、それとおんなじような話でした、龍馬が心を動かされて弥太郎のために動いた原因って。

 というわけで、毎回恒例の 「今週の弥太郎伝」 は、弥太郎殿がメインの話だったので、今回はやりません(笑)。 あしからずご了承ください。

当ブログ 「龍馬伝」 に関する記事
♯01論点が、はっきりしちゅうhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/01/1-e718.html
♯02えらい天気雨じゃったのう(笑)http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/01/2-a44b.html
♯03食われっぱなしぜよ、福山サンhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/01/3-8e96.html
♯04佐那チャン、ツンデレ、してません?http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/01/4-5776.html
♯05アイデンティティの崩壊http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/01/5-d115.html
♯06本分をわきまえる、ということhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/02/6-766e.html
♯07父のこころ、子のこころhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/02/7-e1b3.html
♯08汚さに磨きがかかる(なんだソレ?)弥太郎殿(当記事)
♯09思想か、命かhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/02/9-febd.html
♯10もっとなんとかできたはずhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/03/10-b847.html
♯11龍馬が担ぎ出される、その理由http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/03/11-ac67.html

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BOOKS

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 上

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 上
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ記事より抜粋)。 この上巻ではビートルズの祖先から遡ってリバプールで人気に火が付き始めたところまでが書いてあります。

  • ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白

    ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白
    まず驚かされるのが、表紙のポールの写真です。 よくこんなのが採用されたな、というくらい、刻まれた年輪が顕著に分かる 「年老いたポール」。 飾り気のないその写真に、「素のポール」 をあぶり出そう、という心意気が見える。 そして実際、著者のその目論見は、成功しているように思えます。 何より大きいのは、「NME」「Q」「MOJO」 など音楽メディアで長年記者を務めてきた著者がポールと同じリバプールの出身者である、ということ。 さらにポールと同じファースト・ネームであること。 だからポールはまるで自分の分身に話しかけるかのように、時折同郷人にしか分からない言葉で気さくに著者に話しかける。 この本を読む者は、まずその 「不思議なリラックス感」 に包まれるはずです。  本の構成は大きく二つに分かれます。 前半ではビートルズからウィングス、ソロに至るポールのたどってきた長い長い歴史、後半ではポールの人格に迫る試みがなされていく。 そのインタビューは、一気に行なわれたものではありません。 著者がNMEの記者だった1979年のものから、明示はされていないがおそらく2013年、「NEW」 の発売前後が最新のものではないか、と思われます。 実際読んだ感覚では 「キス・オン・ザ・ボトム」 あたりが最新のような気もする。 その30年以上にわたる膨大なポールへのインタビューを、項目によって構成し直しているようです。 ですから、今年(2016年)亡くなったジョージ・マーティンについてのポールの見解であるとか、最新の情報が提示されているわけではない。 ポールの情報というのはこの歳になってもなお日々更新型ですから、その点については物足りなさが確実にあります。 さらに、30年以上というとポールのものの考え方にも変化変遷があってしかるべきだと思うのですが、30年以上をリミックスにかけているからその変化というものがつかめてこないもどかしさがある。 表紙を飾ったポールの 「老い」 という問題にも、この本はきちんと答えてくれているわけではない。 さらに言えば、ジョン・レノンの死について多くが割かれているのとは対照的に、2001年に亡くなったジョージ・ハリソンの死についての記述はない。 正直なところ、このような本を読み漁ってきた身としては、衝撃に値するような情報が書かれているわけではありません。 しかし前述したような、リラックスしたムードのなかでポールと語らっているような疑似体験を共有できる強みが、この本にはある。 この本全体に貫かれているのが、この心地よさなのだ、と思うのです。 その心地よさが乱れるパートがあります。 自身の失敗作、どうでもいい作品について語るときのポールは多分に感情的になりがちであり、イライラした様子を隠しません。 特に 「シークレット・フレンド」 を語るポールのくだりはポールファンなら一読に値する部分でしょう。 しかしそのイライラも、ポールの人間性が垣間見える瞬間としてこの本にとっては必要なパートなのです。 3000円以上と、この本は決して安くはない部類の本です。 ただその値段に見合うパフォーマンスは兼ね備えています。 この本と付き合った1か月足らずの間、心地よい体験をすることができました(アマゾンの自身のカスタマーレビューより)。

  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

  • 山口 百恵 -

    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

  • デイヴ・グルーシン&リー・リトナー -

    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

  • 桜田淳子 -

    桜田淳子: ゴールデン☆ベスト 桜田淳子~シングル・コレクション
    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

  • The Beatles -

    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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