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2010年3月21日 (日)

「龍馬伝」 第12回 武市の心理、執拗にやってますね

 土佐勤王党の結党直後の危うい状態から、いかにして彼らが暗殺集団になっていったかの契機を描いた、「龍馬伝」 第12回。

 いつも思うのですが、このドラマにおける武市半平太(大森南朋サン)の描写は、結構執拗気味に思えます。
 今回も、いつぞやのように、武市のもうひとりの人格、「ブラック武市」 が登場(笑)。
 武市を悪の道に引きずり込もうと、暗闇に潜んでいました(笑)。

 その、武市の心の中の葛藤を分かりやすく描く手法はいいのですが、「ブラック武市」 ってちょっと、ルール違反な気も、するんですけどねー。
 つまり、このドラマにおいて、作り手は武市半平太を、もともとは何の特徴もなくて小心者だった男が、リーダーに担ぎ出されて苦悩しながら背伸びしている、という解釈を持って描いている。
 だから何か突発的なことが起こるとオタオタしちゃうし、今回のように勤王党の同志たちがいる前で吉田東洋(田中泯サン)に足蹴にされて、見苦しく泣きわめく、という、リーダーらしからぬ一面を、さらけ出したりする。 だいたい、吉田東洋に意見書を何通も提出したりしている時点で、自分が無視されていることに気付くべきだし、それが半ば分かっていながらウジウジ先送りにしているうちに、党の連中に突き上げられて、東洋の屋敷前まで、行ったわけですよね。
 要するに、思想的には過激なのに、やってることが、とてもヌルい、そんな描写の仕方をしている。
 そして、まわりの状況に押し流されながら、次第に抜き差しならない状態に自分が追い込まれてしまう。
 ドラマでのこの武市の描きかたは、見ていて実に私などは共感できるし納得なんですが、それを 「ブラック武市」 をわざわざ出してしまうことで、まるで武市自身が言い訳をしているように、見えてしまう。
 いや、言い訳がましくするのなら、そんなもうひとりのブラックな自分などを登場させずに、ほかならぬ武市自身に見苦しく言い訳させなきゃならん、と思うんですよ。

 いずれにしろ、配下の人間たちの目の前でのこれ以上ない屈辱、これが武市を暗殺の道へと導いた、という解釈は、ドラマの方向性としては正解な気がします。
 ただこんな、分かりやす過ぎる侮辱でなくても、いろんな方向性から武市を侮辱させれば、もっとドラマに説得力が生まれる気がします。

 いかんなー、また演出家気取りになってきた。 感動してご覧になっているかたには、誠に申し訳ないです。

 まあ要するに、今回沢村惣之丞(要潤サン)が武市批判の急先鋒という役割を演じたのだから、もっと沢村にあからさまな武市への侮辱をさせればよかった、とか。 武市を侮辱するのを、武市が下に見ている気のする、岡田以蔵(佐藤健クン)とか、武市にべったりな収二郎(宮迫博之サン)にやらせてもよかったかな。
 あ、それはいいんですけど(笑)、今回その要サンと佐藤健クンが、酒場で小競り合いを起こしてましたネ。 新旧仮面ライダー激突!(笑)みたいな。
 要潤サン、結構ちょんまげ姿、似合ってるじゃないですか。 ホソナガ顔なので、なかなか決まってますよね。

 で、龍馬(福山雅治サン)は、というと、長州へ吉田松陰(生瀬勝久サン)の弟子久坂玄瑞(やべきょうすけサン)に攘夷のなんたるかを教わりに会いに行くのですが。

 この久坂玄瑞、ド熱血タイプ、というのは松陰センセイと瓜二つなのですが、どうも話の方向性を聞いていると、龍馬がほんの一期一会で会った時の松陰センセイの考え方とは、ちょっとズレがあるような感じに描かれています。
 つまり、師匠の教えを曲解している弟子、という印象なんですよ。

 しっかしこの久坂サン、初対面の龍馬の前で松陰センセイを思い出して号泣はするわ、部屋のそこらじゅうに松陰センセイの言葉を貼りまくっているわ、ちょっと、いや、だいぶアブナイ雰囲気でした(笑)。 もしこんな人間が実際にいたら、9割以上の人は、引きまくるでしょうね(笑)。 龍馬も、引きまくってました(笑)。
 それでも、玄瑞の話す日米の金銀の交換比率の不公平は、とても理路整然としていて分かりやすかった。 それだけに、だからよそ者徹底排除!という理論展開が、とても突飛に思えてしまう。 この飛躍の仕方は、なかなか考えさせるものがありました。
 師匠の考えを拡大解釈してしまう弟子、というのは、とてもリアルなのです。

 吉田松陰の考えというのは、私不勉強なものでよく知らないのですが、外交政策論的な侵略主義は別として、言ってることは結構、「見る前に跳べ」 的な前向きな精神論のような気がするのですが。 「巨人の星」 の中の龍馬も、「死ぬ時はたとえどぶのなかでも前のめりに死にたい」 とか言ってました。 この言葉と 「龍馬伝」 での松陰センセイの態度とは、共通するものを私などは感じるんですよ。 まあその言葉の真偽は知らないですけど。

 それが単純に攘夷思想と結びついてしまっているのは、不勉強な私から見ると、どうも拡大解釈されて変な方向に利用されつつあるような気が、するんですけどね。
 この久坂玄瑞の姿を見て、やはり龍馬も、限りない違和感を抱いたみたいで(そりゃこんな人格破綻なところを見せられちゃ、という気もいたします…笑)。

 それから、今回いかにも唐突な感じがしたのが、弥太郎殿の結婚。
 えっ、なんで?みたいな感じでした。
 喜勢(マイコサン)という人が、こんなハチャメチャに薄汚れた場所に、しかもあの薄汚れた歯のまんまの弥太郎殿のところになぜ嫁いでくるのかが、分からない。 その理由はのちに明かされるらしいのですが、当方バカなので、いちいちその場(回)で納得しないと、気になって仕方ないんですよ(笑)。
 弥太郎殿のほうは、この、どことなく加尾(広末涼子チャン)に面立ちの似た喜勢にゾッコンで、今回も笑わせまくってましたけどね。 龍馬と、話が全くかみ合ってない場面も、笑いました、あそこは。

 その弥太郎殿、吉田東洋門下の後藤象二郎(青木崇高サン)から、「龍馬を殺せ」 と命じられる。
 そこに至る後藤の心理状態も、ちょっと唐突な気がいたしました。 東洋がヤケに龍馬を買っていることが面白くなくて仕方ない、というのは分かるんですが、今回その後藤がラストでゲハゲハ笑いながら 「龍馬を殺せ」 という心理状態になっている、というのが、どうも不自然。
 なんでゲハゲハ笑わなきゃならんのか(笑)。

 去年の 「天地人」 に比べればどんな脚本に対してもマシだと思えてしまうんですけどね。
 その後遺症も消えた現在、なんとなくこのところ、方向性はいいけど、もうちょっとこうすればなー、というのがちょこちょこある気がしてきました。 みなさんは、いかがですか?

当ブログ 「龍馬伝」 に関する記事
♯01論点が、はっきりしちゅうhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/01/1-e718.html
♯02えらい天気雨じゃったのう(笑)http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/01/2-a44b.html
♯03食われっぱなしぜよ、福山サンhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/01/3-8e96.html
♯04佐那チャン、ツンデレ、してません?http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/01/4-5776.html
♯05アイデンティティの崩壊http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/01/5-d115.html
♯06本分をわきまえる、ということhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/02/6-766e.html
♯07父のこころ、子のこころhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/02/7-e1b3.html
♯08汚さに磨きがかかる(なんだソレ?)弥太郎殿http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/02/8-8680.html
♯09思想か、命かhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/02/9-febd.html
♯10もっとなんとかできたはずhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/03/10-b847.html
♯11龍馬が担ぎ出される、その理由http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/03/11-ac67.html

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