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2010年4月10日 (土)

「ゲゲゲの女房」 第2週目まで見て

 「ゲゲゲの女房」 第2週目までの物語は、水木しげる氏(向井理クン)と布美枝(松下奈緒チャン)とのお見合いに至るまでの話でしたが、第1週の子供時代からの切り替えにまず興味がありました。

 第1回目の冒頭からすでに登場していた松下サンでしたけど、子供時代の子役の演技が極端に内気であることを強調していたせいか、やはり初めはちょっと、はきはきしすぎていて違和感あり。 顔も似ても似つかないし。
 ただ、子供時代のお話、というのは、内気でありながらも大事な時には感情を表に出すことで、自分の世界を広げようとした女の子の成長過程を描いたものだった。 そのことを考えると、少女の布美枝がホップステップした後の姿としては、これでいいという気はするのです。

 布美枝の変貌ぶりに慣れてしまうと、物語のよさに、ついつい引き込まれていきます。
 今回の連続ドラマで感じるのは、結構いろんな伏線がさりげなく張り巡らされているところ。
 こういうのは、ドラマ好きの人にとってはたまらない要素なんですよ。

 第2週まで見ていて感じた大きな伏線は、おばば(野際陽子サン)の寝物語とか、川辺で語らう布美枝と父親、源兵衛(大杉漣サン)のシーンとか。
 このふたつとも、話の中核となる部分で見る側をひどく感情移入させてしまう、最高のスパイスになっている。

 まず今週、第2週目の中盤で、早くも亡くなってしまう、おばば。
 脳梗塞で意識不明となり、昏睡状態に陥っていたおばばが、布美枝が看病しているときに目を覚まし、「ご先祖様に会って布美枝のことを聞いて来た」 と、第1週目で布美枝の少女時代に寝物語を聞かせていたときのように、布美枝に語りかけるのです。

 「ご先祖様はなぁ…あぁ、布美枝はのっぽでぇ、ちょっこし内気かなぁ…だどもぉ…気持ちの優しいええ子だけん、いつかきっと、ご縁があるところに導いてくれる…そげん言ったらしてねど…こっぽし(聞き書きで正確さを欠いておりますが)…布美枝チャンに、ええご縁が、ありますように…」

 こっぽしというのは、「おしまい」 っていう意味らしいですね。
 このセリフ、おばばが布美枝の幼いときと同じように語った、というのがミソなんですよ。
 お恥ずかしい話ですが、号泣いたしました。
 ひとりで見てて、よかったなあ(笑)。 みんながいる前じゃ、号泣するわけにもいきませんしね(笑)。

 そして四十九日が終わったあと、川辺におばばの大黒帳を流しに行く、源兵衛。
 この精霊船、これも第1週の盆踊りの回におばばと布美枝が流してましたよね。
 あのシーンがあったからこそ、布美枝と父親のこのシーンが生きてくる。
 頑固で厳格そのものの源兵衛なのですが、ここで 「布美枝、わしなぁ、おばばにすまんことしたわ…最後の最後まで心配かけた…わしは…だらず息子だ…すまんなおばば…」 と話しながら、最後に 「…お母さん…」 とうめくように泣くのです。 あーダメだ、また泣けてきた(笑)。

 しかもこのシーンの途中で、布美枝の母親の古手川祐子サンが台所でつい、いないはずのおばばに話しかけてしまうシーンも挿入。 ちょっとルール違反なくらいの 「泣かせ攻撃」 なのです(笑)。

 このシーンを見ただけで、この連続テレビ小説、今回は最後までついていきます!と思わせるにじゅうぶん、でした。

 そして、片腕もない、マンガ家なんてよく分からない仕事をしている、そんな男と布美枝を見合いさせる、という話を、なぜ決めたのか、という重要な話に、物語は突き進んでいきます。

 ここでは28という年齢で嫁に行かないことの、当時の時代背景としての肩身の狭さ、小姑と化している家の中での肩身の狭さ、布美枝をめぐるそんな状況が丁寧に語られていくのですが、最終的に見る側を心から納得させる話として、川辺での源兵衛と布美枝の話が、作る側から用意されているのです。

 「片腕しかない、勤め人でもない。 40間近の男だけん、はた目には、売れ残りの娘を片付けるように見えるかもしれん。 でもわしは、あの男に会ってみたい。 片腕をなくして、それでも生きて戻ってきた。 勤め人のあてがいぶちでなく、ほんとの腕一本で、おのれの道を生きている。 どんな人間でも、失敗してつまずくときはあるわな。 そげなときに、しぶとく立ち上がるのは、あげな男だぞ。 育ちのええ恵まれた男より、様子のええ優男より、40年50年添い遂げるなら、あげな男がええ」

 なかなかここまで、見る側を納得させるセリフは、思い浮かぶものではありません。

 このドラマの第1回目で、仏壇にあげるごはんを、丁寧にしゃもじで形を整える、古手川祐子サンの姿がありました。
 このドラマ全体には、それと同じような姿勢が見えます。
 ご先祖様があって自分がいる。
 家族があって自分がある。
 それを丁寧に描いていることこそが、このドラマに揺るぎのない説得力を与えているような気が、するのです。

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