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2010年4月21日 (水)

「八日目の蝉」 第4回 穏やかな、凪のような回でした

 坂井真紀サンのつてで、小豆島にやってきた、檀れいサンと薫チャン。
 親子そろってムチャクチャかわいいため、目立つこと目立つこと(笑)。
 色目を使うヤラシイオッサンが出てきましたが、その下品な態度はともかく(笑)、そのオッサンの気持ちは痛いほど理解できる(笑)。

 そして、男やもめの漁師役で出てきた岸谷五朗サンも、ムッツリしているけれども檀れいサンを気になって仕方がない様子。 檀サン宅の玄関先に、とれた魚を置いてなんとか気を引こうとする…ように、見えたんですけど(笑)、とにかく愛想がない(笑)。

 ただ、「掃き溜めにツル状態の檀れいサンを、ムッツリスケベの岸谷サンが狙っている」(笑)などという目でこの回のドラマを見ていると、ちょっと本質を見誤りやすい。

 腸閉塞になった薫チャンを本土の病院にまで自分の船で送り、そこで檀サンが保険証を出せずに実費で治療代を払っているのを見て、岸谷サンはこの親子がワケアリだということを察する。
 島に戻ってきたその翌日の晩、岸谷サンは檀サンに、自分の身の上話をするのですが。

 子供を亡くした痛手をリセットしようとして、女房はこの島を出ていった、と語る岸谷サンのセリフが、子供をさらって逃げている檀サンに、またまた突き刺さる。

 「子を亡くした夫婦いうもんは、…さびしいもんや。 一緒におっても、あいだを埋めるもんがない」

 子供をさらわれた側の、津田寛治サンと板谷由夏サン夫婦が、「あいだを埋めるもん」 がなく、どんなに乾ききった毎日を送っているか。 岸谷サンがぼそぼそ話すあいだ、檀れいサンはそのことを考えることができたんでしょうか。 それとも板谷サンにされた仕打ちが忘れられず、いい気味だと考えたのでしょうか。
 檀れいサンの表情を追っていくと、いい気味とは言わないまでも、出来るだけ長く薫と一緒にいたい、ただそれだけの気持ちしか持っていないように見える。 どうも、自分本位が、抜け切れていない気がする。
 結局岸谷サンに抱かれてしまう檀サンが、張り詰めていた気持ちが折れてしまった、みたいに打ち明けていましたが、うーん、島ではずいぶん癒されていたような気がするけどなあ、と感じてしまったのは、私だけでしょうか。

 今回の小豆島編は、島の豊かな自然や、坂井真紀サンの母親役の吉行和子サンの優しさがふんだんに盛り込まれていて、全体的にはとても穏やかな、過去3回の殺伐としたような雰囲気から解放されたような、凪いだ海のような回だった気がします。
 それだけに、エンジェルの家の時以上に、深いつながりでかたく結ばれていく、檀れいサンと薫チャンの姿が、とてもはかなくて悲しくて。
 そして抱かれてしまう檀サンが、なんとも自分本位に、見えてしまって。

 今回の物語冒頭で、その、エンジェルの家で薫と仲良しだったマロンチャン(高橋真唯チャン)が、20歳になった恵理菜(=薫)(北乃きいチャン)の前にあらわれます。 マロンチャンはエンジェルの家のことを調べている記者になっているらしい。 ふたりが語り合う喫茶店は、なんだか檀れいサンと京野ことみサンが第1回でしゃべっていたのと同じ喫茶店、だったような気がします。 違うかな?
 ふたりは廃墟になったエンジェルの家を再び訪れるのですが、それを見ても表情ひとつ動かさない、かつての薫チャン。
 彼女はとても巨大な喪失感の中で生きているみたいなのですが、それがセミの抜け殻に、象徴的に投影されている。
 私は、彼女の喪失感を埋めるのは、かつての自分の名前、「薫」 であるような気がしてなりません。 「薫」 として生きていた日々が、彼女がいちばん誰かに愛されていると実感していた時期だったと思うからです。

 あと2回のこのドラマ、来週から大きく話が動きそうで、とても怖い。
 なんか、見たくない感じ(笑)。
 それというのも、今回の話が、とても穏やかだったからこそです。 ぬるま湯からは、なかなか出たくなくなる。 そういう感じです(笑)。

「八日目の蝉」 に関する当ブログほかの記事
第1回 来週も、…見よう、かなあ?http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/03/1-254c.html
第2回 ヘンなとこ、きちゃったな~http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/04/2-4f12.html
第3回 がらんどうの悲しみhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/04/3-da4d.html
第5回 逃亡の果てhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/04/5-267b.html
第6回(最終回)もう触れることのできぬ思いhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/05/6-cef7.html

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BOOKS

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 上

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     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ記事より抜粋)。 この上巻ではビートルズの祖先から遡ってリバプールで人気に火が付き始めたところまでが書いてあります。

  • ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白

    ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白
    まず驚かされるのが、表紙のポールの写真です。 よくこんなのが採用されたな、というくらい、刻まれた年輪が顕著に分かる 「年老いたポール」。 飾り気のないその写真に、「素のポール」 をあぶり出そう、という心意気が見える。 そして実際、著者のその目論見は、成功しているように思えます。 何より大きいのは、「NME」「Q」「MOJO」 など音楽メディアで長年記者を務めてきた著者がポールと同じリバプールの出身者である、ということ。 さらにポールと同じファースト・ネームであること。 だからポールはまるで自分の分身に話しかけるかのように、時折同郷人にしか分からない言葉で気さくに著者に話しかける。 この本を読む者は、まずその 「不思議なリラックス感」 に包まれるはずです。  本の構成は大きく二つに分かれます。 前半ではビートルズからウィングス、ソロに至るポールのたどってきた長い長い歴史、後半ではポールの人格に迫る試みがなされていく。 そのインタビューは、一気に行なわれたものではありません。 著者がNMEの記者だった1979年のものから、明示はされていないがおそらく2013年、「NEW」 の発売前後が最新のものではないか、と思われます。 実際読んだ感覚では 「キス・オン・ザ・ボトム」 あたりが最新のような気もする。 その30年以上にわたる膨大なポールへのインタビューを、項目によって構成し直しているようです。 ですから、今年(2016年)亡くなったジョージ・マーティンについてのポールの見解であるとか、最新の情報が提示されているわけではない。 ポールの情報というのはこの歳になってもなお日々更新型ですから、その点については物足りなさが確実にあります。 さらに、30年以上というとポールのものの考え方にも変化変遷があってしかるべきだと思うのですが、30年以上をリミックスにかけているからその変化というものがつかめてこないもどかしさがある。 表紙を飾ったポールの 「老い」 という問題にも、この本はきちんと答えてくれているわけではない。 さらに言えば、ジョン・レノンの死について多くが割かれているのとは対照的に、2001年に亡くなったジョージ・ハリソンの死についての記述はない。 正直なところ、このような本を読み漁ってきた身としては、衝撃に値するような情報が書かれているわけではありません。 しかし前述したような、リラックスしたムードのなかでポールと語らっているような疑似体験を共有できる強みが、この本にはある。 この本全体に貫かれているのが、この心地よさなのだ、と思うのです。 その心地よさが乱れるパートがあります。 自身の失敗作、どうでもいい作品について語るときのポールは多分に感情的になりがちであり、イライラした様子を隠しません。 特に 「シークレット・フレンド」 を語るポールのくだりはポールファンなら一読に値する部分でしょう。 しかしそのイライラも、ポールの人間性が垣間見える瞬間としてこの本にとっては必要なパートなのです。 3000円以上と、この本は決して安くはない部類の本です。 ただその値段に見合うパフォーマンスは兼ね備えています。 この本と付き合った1か月足らずの間、心地よい体験をすることができました(アマゾンの自身のカスタマーレビューより)。

  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

  • 山口 百恵 -

    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

  • デイヴ・グルーシン&リー・リトナー -

    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

  • 桜田淳子 -

    桜田淳子: ゴールデン☆ベスト 桜田淳子~シングル・コレクション
    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

  • The Beatles -

    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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