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2010年4月28日 (水)

「八日目の蝉」 第5回 逃亡の果て

 小豆島で、すっかり日に焼けた島の子になって、坂井真紀サンより上手な島言葉をしゃべるようになった(笑)薫チャン(小林星蘭チャン)。
 「この子を小学校に入れることができるだろうか…」 という不安を抱えながら、小学校で生徒と先生の真似事をしたり、八十八ヵ寺巡りをしたり、母子の思い出を作りながらも、檀れいサンの心には、どうやら旅の終わりに対する予感が、日ごとに高まっていく様子なのです。

 このドラマ、同じ 「子供さらい」 の話である 「Mother」 と決定的に違うのは、檀れいサンが、薫チャンに対して、自分が堕ろしてしまった 「薫」 に対する思いをすべてぶつけるように、愛情をこれでもか、これでもか、と注いでいる部分だと感じます。

 それは、考えようによっては、自分の罪を滅するための、都合のいい愛情かもしれないし、さらわれた側の板谷由夏サンの悲しみを考えない、自分本位な愛情かもしれない。

 おそらく檀れいサンの罪は、薫チャンがその後、恵理菜(北乃きいチャン)として、素直に育たなかったことも含め、最終回にその是非の行方が示されることと思うのですが。

 もしこの事件を、ワイドショー的な報道のされかたをした場合、私たちはけっして、檀れいサンに同情はしないと思うんですよ。
 ところがこのドラマを見ていると、子供をさらった 「誘拐犯」 であるにもかかわらず、檀れいサンが、薫チャンに大きな愛情を注いでいることに目が行ってしまって、この母子がいつまでも、覚めない夢の中にいてほしいとさえ、考えてしまう。
 そこらへんが、このドラマの大きな魅力になっているんだろうと思うんです。

 今回この小豆島に、坂井真紀サンが帰ってきました。
 以前嫁ぎ先を逃げ出して、息子の亮太クンを連れて帰って来た時、母親の吉行和子サンから協力を得られなかったことを、坂井真紀サンはいまだに恨んでいるのですが、帰ってきてから何かの拍子にまたその話がぶり返されてしまい、また島を出ていく、みたいになっちゃって。

 そこで坂井サンは檀サンから、吉行サンがいつも無事に娘が戻ってきますようにと願をかけていたことを聞かされて、長年のわだかまりがなくなるわけです。
 けれども、なんとかもうひと旗あげて、亮太を連れ戻せるように頑張るんだという気持ちが坂井サンにはくすぶっていて、結局島をまた出ていくことになる。

 別れのフェリー乗り場で、娘におにぎりを持たせる、吉行サン。
 うるさがりながらも、最後は 「おかあさーん!」 と泣きながら叫ぶ、坂井サン。
 まーた泣いてしまいました。 ここんとこ、テレビを見ながら毎日泣いてます(笑)。

 特に吉行サン演じる母親が、キレると止まらない娘に対して、とても控えめだけれども、とても深い娘への思いがあるところを演じていて、よかったですね。
 坂井サンも、キレてガーガー母親を罵倒しまくるんですけど、そこには、「本当は思いっきり甘えたことを言いたい」 という気持ちが込められていて、それがよく分かるんだなあ。
 どうも親子の 「思い」 という部分には、敏感です、私。

 話は前後しますが、八十八ヵ寺巡りで、険しい階段をひとりで登っていく檀れいサンと、「下で待ってて」 と言われた薫チャンのお互いを呼ぶ声が途切れた時は、やはり見ているほうもどきりとしました。
 もしかして、下で薫チャンが、警察に確保されてしまったのではないか、とか。
 そんな場面を挿入することで、見ている側にも、このふたりの別れが近づいていることが、ひしひしと感じられてくる。 後半はやはり、いつ捕まってしまうのか、ドキドキものでした。

 そんななか交わされる、檀サンと薫チャンの 「蝉」 の話。

 「えーっ、七日しか生きられんのぉ?」

 「蝉にとったら、ちっとも短くないんだよ。 だって、人間の一生分だもん。 毎朝毎朝、あー神様、今日を迎えられてありがとうございます、って蝉は思うんだろうね。 一日一日が、とーっても幸せで、胸が痛くなるくらいだもん。 夜眠るのが、もったいないくらいで。 …中にはちょっとだけ長く、八日くらい生きる蝉もいるかもね」

 「そんなのいやや」

 「…どうして?」

 「だって、ほかの蝉はみんな死んでしまうのやろ? 自分だけ、一日生き残るなんて、さみしくてたまらん」

 「そっか。 …そうかな?」

 これは、檀れいサンと薫チャンのそれまでと、そして未来の暗示になっている場面のような気がします。
 檀れいサンは、薫チャンとのその日その日を最大限大切にしながら生きてきた。
 けれどもその後檀れいサンは、七日目の蝉のように、薫チャンの前から、姿を消してしまう。
 そして、恵理菜として生きてきた薫チャンは、自分だけ生き残った 「八日目の蝉」 と同じ寂しさを抱えながら生きてきた、という解釈も出来るような、気がするのです。
 「八日目の蝉」 というのは、薫チャン(恵理菜)の比喩だったのではないでしょうか。

 そして、ある朝、吉行サンから、「きょうは仕事に来なくていいから。 …早く逃げて!」 という電話が入る。
 吉行サンは、すべて事情を知っていたんでしょうね。
 そりゃそうか(笑)。 新聞に顔が出てあれだけ檀サンが狼狽すれば(笑)。
 でも 「暴力振るう男から逃げてきたんやろ?」 という坂井真紀サンの推理よりはまともだったわけで(笑)。

 そしてフェリー乗り場。

 岸谷五朗サンの必死の形相で、警察の手が間近に迫っていることを察した檀サンでしたが、フェリーに乗り込む寸前で、ついに、ついに、捕まってしまいます。

 泣き叫びながら、引き裂かれていく 「偽りの母子」。 激しく動く画面は、しばらく無音でした。

 そのとき薫チャンは、それまでの 「ママ」 ではなく、「お母さん」 と、檀れいサンのことを呼ぶのです。

 檀れいサンは、いったい何を叫んでいたのでしょうか。
 次週、最終回です。 ああー、エンディングの歌が、また泣けるんだこれが。

「八日目の蝉」 に関する当ブログほかの記事
第1回 来週も、…見よう、かなあ?http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/03/1-254c.html
第2回 ヘンなとこ、きちゃったな~http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/04/2-4f12.html
第3回 がらんどうの悲しみhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/04/3-da4d.html
第4回 穏やかな、凪のような回でしたhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/04/4-a45c.html
第6回(最終回)もう触れることのできぬ思いhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/05/6-cef7.html

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テレビ」カテゴリの記事

コメント

私は第4話から見ました。
私も数年前に子を連れて離婚しちゃったので、かなり引き込まれました~。
ココロがまとまらい、何とも言えない感情を覚えましたね。

そして、あのエンディングの曲もグッと来ちゃいますね。

涙をくっとこらえたけど、リウさんの記事読ませてもらって、あらためてウルっとなりました。
見終わった時にちゃんと泣けばよかったです。

note様
コメント、ありがとうございます。
第4話からでしたかー。 第3話が、面白かったんですが(笑)。 たぶんNHKのことだから、いつか集中再放送とか、してくれるかもしれません。

私はこのドラマ、最初のうちは結構斜めに見ていたのですが(笑)、だんだんハマってしまいました。 北乃きいチャン演じる薫チャンの15?年後の様子が時々入ることで、最終回にどんな解決の仕方をするのか、期待がどんどん高まってきてしまいました。

予告編を見てもウルッときてしまったので、絶対最終回は、ダバダバ泣いてると思います(笑)。

子供のいる幸せな主婦には不評だろう内容のドラマ(笑)ボクは檀れいさん目線で見て泣いてます(笑) 八日目の蝉の意味が少し解りましたね。引き裂かれる時に檀れいさんが叫んだ言葉でまた泣けそうで楽しみです。

アールグレイ様
コメント、ありがとうごいます。

個人的には、「Mother」 よりこっちのほうが好きかなー(笑)。 「八日目」 のほうが女性に不評なのは、たぶんさらわれたほうの家庭が 「Mother」 のように虐待をしていないからだと思います。

前クールの 「曲げられない女」「まっすぐな男」 にしてもそうでしたが、同じようなテーマのドラマがかち合ってしまうと、どうも比較とかに走ってしまって、純粋にドラマを見ることができなくなって、困ります。

「八日目」 は短かったけれど、この長さでよかったのかな、なんて思っています。

小豆島は私の故郷です。

確かに子役の薫チャン島弁は違和感無し。

関東人の嫁からすれば関西弁と区別つかない

みたいだけど(嫁は横浜出身)

ちゃんと島弁でした。

最近、小豆島を舞台にしたドラマや映画が製作

されてるけど、観光客は減って、さびれて来てる

小豆島には遊びに来るのではなくて、

何もしない事をする為に来て下さい。

時間を忘れる島、小豆島に是非来て

癒されて下さい。

通りすがり様
コメント、ありがとうございます。

ドラマでも、この島の良さが、十二分に伝わってきました。 とてもいい島ですね。 潮が引いたあとの海に出来る道は、とても幻想的でした。

ぜひ訪ねてみたい島です。

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    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

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    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

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