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2010年6月30日 (水)

2010年前半期ドラマについていろいろ

 早いもので今日で一年の半分です。
 見る番組もないのでちょっと今年前半期のドラマについてダラダラと書きますかね。

 私が見た今年前半のドラマは、次の通り。

 「曲げられない女」
 「とめはねっ!鈴里高校書道部」
 「君たちに明日はい」
 「樅の木は残った」(単発)
 「火の魚」(再放送、単発)
 「八日目の蝉」
 「わが家の歴史」(3夜連続)
 「大仏開眼」(前後編)
 「チェイス~国税査察官~」
 「新参者」
 「Mother」

 それと、去年から続いていた 「不毛地帯」。 「龍馬伝」「ゲゲゲの女房」 はずーっと見てます。 8分の短編、「いちごとせんべい」 もありましたね。

 この中には、「面白いですよ」 と当ブログにお越しの方から薦められた 「とめはねっ!」 という例や、途中で見るのをやめながら、当ブログにコメントをお寄せいただいた方のおかげで最後まで見ることができた 「君たちに明日はない」 などあって、このブログをやっていてよかったなー、と感じることしきりであります。 あらためてお礼申し上げます。

 それにしてもこうやってみると、「テレビもまだまだ捨てたもんじゃないぞ」 と思わせるにじゅうぶんのラインナップです。 「テレビが面白くない」 という言葉を、識者と呼ばれる人の口からも聞くことがあるのですが、あえて断言しましょう。 「それはあなたに、優れたテレビ番組を見る機会がないからだ」、と。

 今年最初の衝撃は、「曲げられない女」 の菅野美穂サンでした。
 曲ったことができない、という性格の主人公は、ドラマのなかではさほど珍しいキャラではないのですが、このドラマはムチャクチャな設定をあえて自らに課し、作り手の主張を最大限に膨らませることで、有無を言わせぬゴーインな説得力(笑)に満ちていました。 ドラマというものは、自分が言いたくても言えない、やりたくてもやれないことを実現するものだ、という気概にあふれている、そんなドラマでした。
 特に最終回、オギワラ(菅野サン)が9年落ち続けた司法試験に受かるかどうか、という話の引っ張りかたと、その収めかたは、未だに印象深い。

 「曲げられない女」 だけでなく、私が見た今年前半期のドラマは、おしなべてラストが印象的なものばかり。 「どんなラストだったっけ?」 というのがない。 しかも、予定調和みたいのがあまり見受けられないのはすごいなあと思います。

 まあ、先の予想がついてしまうドラマ、というのは視聴者にとって興醒めなのですが、やたらと次の展開を予想してしまうのも、ドラマを見る方法としては、受け止める面白さを半減させてしまうかな、という感じで、私としては先の予想はあまりしないようにはしているんですが。

 「とめはねっ!」 はそういう点では、予想のついてしまう話だった気もしますが、このドラマのもっとも優れた点は、若い時代のあらゆる感情がギュッと凝縮されている点にありました。 登場人物たちが、特にずば抜けて美男美女、というわけではないのもよかった。 つまりこのドラマは現実離れした夢物語を提供するものではなく、誰にでもある、またはあった、青春時代の甘酸っぱさというものを共感させるものだった、そんな気がします。

 「君たちに明日はない」 は、坂口憲二クンと田中美佐子サンのキスシーンが現実離れしすぎていて、いったん見るのをやめたのですが、終わってみれば坂口クンは年増好みだった、というだけの話で(笑)。 それはいいとして(笑)、会社のリストラ請負人、という一見社会派かな、と思わせるテーマだったのですが、実はヒューマンドラマでした。 …ってなに?(笑)、という感じなんですけど、社会問題を扱いたいのではなくて、人間の感情の機微に重点を置いたドラマだった、ということです。

 「樅の木は残った」 は、老境にさしかかった二枚目俳優田村正和サンの見せ方に苦慮している、今思い返してみると、そんな印象がありますね。
 その最たるものが、相手役の井上真央チャン。
 「おじさま」 と慕わせるのにも、もはや年が離れすぎている、というか。
 伊達騒動の解釈の仕方、というストーリー上の問題点もあるのですが、それは山本周五郎サンの原作に準拠しているだけなので…。

 「火の魚」 はNHK広島放送局制作の1時間ドラマ。 なんか、いろんな賞を受賞したらしいです。 けれどもとっつきにくいことは全くなくて、「ジョゼ」 の脚本家サン特有の、そこはかとないおかしさがちりばめられ、そして締めるところはきちんと締め、結果的に原作者である室生犀星の文芸性も感じさせる、うなりまくりの短編ドラマです。 原田芳雄サンの演技もよかったし、相手役の尾野真千子サンの注目度が個人的には上がった作品でもありました。 尾野サン、「外事警察」「火の魚」「Mother」 とすごいドラマばかり出てますよね。

 「わが家の歴史」 は、フジテレビ開局50周年記念?のドラマでしたかね。 さまざまな人がチョイ役で出演、主役の八女家もオールスター、目が眩むようなぜいたくな作品でしたし、ストーリー的にも、こういう形態だと散漫にどうしてもなってしまうのですが、三谷幸喜サンはさすがの手腕でまとめていた気がします。
 ただ、そんな超大作を作って力尽きてしまったせいか、フジテレビの4-6月期のドラマは見る気のしないものばかりでした(個人的に)。 「不毛地帯」 も打ち切り気味ながらも非常に優れたドラマだっただけに、フジテレビの失速ぶりは残念です。

 「大仏開眼」、古代史ドラマというのは時代考証がいかようにでも作れる自由さはあるのですが、それが却って現実味を薄れさせる結果にばかりなっている。 このドラマもその例に漏れませんでした。 熱演が光ったのは、敵役の高橋克典サンと、主役の吉岡秀隆クン。 ただこの主役、吉備真備は政治の動向に批判的なくせに左遷命令に素直に従ったり、ここらへんの理由付けが弱かった気がします。 現代の常識では測れないところはあるんですけどね。

 「新参者」 も料理の仕方がまずかった気がします。 2時間ドラマとしては無理、としても、もっとコンパクトにまとめられたはず。

 「チェイス」。
 国税局が舞台、ということで、「マルサの女」 を期待した向きには不評だったようですが、親と子の確執を見事に描いたドラマだった気がします。 そしてその復讐にひそむショッキングな真相。 ARATAサンという個性的な役者サンの印象も強く焼き付けられました。

 そしてその 「チェイス」 を書いた坂元祐二サンの、もうひとつの作品 「Mother」。
 この2作品とも、とてつもない名作。
 このふたつのドラマが同時に放送されたのは、驚異的としか言いようがありません。
 そしてこの2作品とも、そのラストの収拾の仕方が、賛否を分けるような予定調和を無視したようなもの。
 けれども、そうなるしかなかったのか…と思わせるところに、作り手の主張が思い切り込められているような気がするのです。 感情的な甘さを排除したこの2作品のラストは、ドラマを見るほうの観賞力も、同時に試されているような気がしてなりません。

 それと、この 「Moher」 の元ネタ、といわれる 「八日目の蝉」 も、同時期に放送。
 「曲げられない女」 にしても 「まっすぐな男」 というドラマと同時多発だったのですが、同じテーマのドラマのかち合わせ、というのも、今年前半に2件も見られた珍しい例となりました。
 ただしこちらの 「子供誘拐」 ドラマは、どちらとも異なった見ごたえにあふれていました。
 ここで興味深かったのは、「八日目の蝉」 の誘拐された子供、薫チャンがその後屈折し人生を送っていったのに対して、「Mother」 の継美チャンはその可能性がとっても低い、ということ。
 それは、前者が女性原作の話であることにその要因があるような気がします。 女性のほうが女性に対して、シビアに同性を見ている。 男性が話を書いた 「Mother」 はその点、女性にまだ理想を抱いている。 だから坂元祐二サンは、継美チャンが奈緒と別れたあとも、奈緒との誓いをけっして忘れず、まっすぐに育っていくと考えているような気がするのです。

 それにしても 「チェイス」 は 「今年最高の収穫、ベスト!」 と思ったものですが、それを 「Mother」 は、あっさり抜き去ってしまいました、個人的ランキングでは。

 今年前半のマイベスト3は、1位 「Mother」、2位 「チェイス」、3位 「八日目の蝉」 4位 「曲げられない女」、といったところでしょうか。

 それにしても、7月から始まるドラマ、NHKの土曜ドラマ 「鉄の骨」 以外、見たいと思うものがないんですよ。 この前半期のランキングで、このままいってしまうんでしょうか。

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