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2010年7月14日 (水)

「天使のわけまえ」 第2回 さりげなさに包まれたドラマ

 NHKの火曜10ドラマ 「天使のわけまえ」 について先週の第1回に引き続き感想を書こうと思ったのですが、感じることはほぼ先週と同じで(笑)。

 つまり、いかにストーリーが変わろうが、作品のコアとなる部分に、まったくぶれが感じられないんですよ。

 その中心部分とは、「おいしい料理は、人を幸せにする。 おいしい料理を作れる人は、そのうちなんとかなる(アバウトだなあ)」。 観月サンの手作り弁当が食べられなかった日、工事現場の男どもはケンカをしてましたよね(笑)。 おいしいもので、人は仲良くもなれるのです。

 ドラマの仕立て自体としては、結構先の読める展開。
 観月ありさサンの作った太巻きが食べたいと娘にせがまれたともさかりえサンが観月サンにそれを作ってくれと頼むところ、セレブのともさかサンがつんけんしながらそれを学ぶ展開、ともさかサンのカネでは解決できない悩み、ともさかサンの娘が切った太巻きではなく、恵方巻きみたいにそのままガブリとかぶりつくタイプの太巻きが食べたかったところなど、枚挙にいとまのないほど(笑)ベタな展開が続くのです。

 けれども、ドラマの見かたとしては、先を読みながら見る、というのは正しくない(僭越ですが)。 どうしても見くびって見るようになってしまうからです。

 このベタな展開をフォローしているのが、手を伸ばして食べたくなるくらいの、観月サンの作った料理の数々であることは論を待たないのですが、私が感じるこのドラマの魅力は、そのセリフのいちいちが、比較的笑えるものばかりだ、ということ。

 それが特に顕著なのが、観月サンと派遣仲間の西原亜紀サンとの会話。

 ガレッジセールで小銭稼ぎを提案する西原亜希サンに観月サン、「てことはみきちゃんまだ仕事見つからないんだー、…あたしより若いのに」 とポツリと言う(笑)。
 西原サンはとてもさわやかな顔で(笑)「よくそーゆーイヤミな切り返し、できますよね?」 と返すのですが、観月サンも負けじとさわやかな顔で 「なーんかみきちゃんだと、言えるのよね」(笑)。 西原サン、ジトーッ…(笑)。 「ぼくの妹」 でもはっちゃけた看護婦さんをやっていましたが、西原サンて、性格も明るそうな感じがして好きです。

 交通整備員仲間のイッセー尾形サンのセリフも、いちいち面白い。 何か相当アドリブが入っている気がします。 「うっせーなオメ」(笑)とか。
 「休憩時間だからメシ食ってただけだかんな、休憩時間で飯食うってのは人間の…」 とまくし立てようとしてともさかサンに遮られていましたが、後半部分はアドリブじゃないのかなあ、「人間の基本的権利」 とか言いたかったんじゃないでしょうか(笑)。

 これらの笑わせる要素が、笑わせようとしてオオゲサに作っていないところが、実にいいのです。
 なんか皆さん、とても抑えた演技をしている。
 特に私は観月サンの演技、これまでじっくりとは全く見たことがないのですが、「ナースのお仕事」 とかちょろっと見た限りでものを言わせてもらえば、「天使のわけまえ」 の観月サンの演技は、すごく押さえている気がするのです。
 「このドラマの真の主役は料理」 と先週書きましたが、この分かりやす過ぎる展開を支えているのは、いちいち可笑しいセリフやそぶりにある、そんな気がするのです。 だからこそ見続けようという気になる。

 そしてドラマの端々に、軽い感じで共感できるセリフも、同時にちりばめられている。

 「どうしてだろうね…生きてると、どうしようもないことって、結構あるよね…いっしょうけんめい頑張っているつもりでも、うまくいかないことって…」

 細川茂樹サンに押しつけられた14歳の息子の野村周平クンが、私立の進学校を月謝が払えずやめようかという話になったときの、観月サンのセリフです。

 「甘くておいしいよ、お食べ。 おいしいもの食べてれば元気出るさ」
 「そうだ、食(け)え。 食えば元気出っから」

 幼い頃の観月サンが母親に捨てられ、祖母と祖父に言われておはぎを食べるシーンです。 なんか、泣けます。

 「なんでも完璧に出来る人なんて、いないんですよ。 私なんて、人生そのものに挫折してますから。
 お母さんと一緒にいられれば、子供はそれだけで幸せなんですから」

 悩めるともさかサンに、観月サンが言ったセリフ。

 これにのセリフはみんな押し付けがましくなく、スーッとこちらに入ってくる気がする。
 先週も書いたのですが、それに相乗して、このドラマではBGMが素晴らしい。
 なんか、すべてが 「さりげない」 んですよ。

 結局野村周平クンは、細川茂樹サンから振り込まれた月謝によって私立中学をやめずに済んだのですが、それって観月サンの貯金から…?とすかさず周平クンに言わせ、周平クンが新聞配達をする展開となるところは、こいつ口は悪いけど、相当いい子だよなあ、なんて感じました。
 観月サンはともさかサンの友人である西尾まりサン(愛情の愛と書いてメグミ…の子でしたよね、「ギネ」 にも出てましたが、メグミ3姉妹のなかでは一番テレビに出てますよね)に請われて、料理教室をするとかいう展開に。
 ドラマHPによると、「わらしべ長者」 チックな話を目指しているみたいなので、どういう具合にトントン拍子になるのか、回数は短いですが、楽しみにしていきたいと思います。

当ブログ 「天使のわけまえ」 に関するほかの記事

第1回 手作りの料理が幸せを運ぶhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/07/1-32da.html
第3回 気まずい食卓http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/07/3-d0ef.html
第4回 逃げる人たちhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/07/4-0f49.html

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コメント

最近このドラマを見始めました。
観月ありささんはどうも演技がオーバー過ぎるので
あまり見る気がしなかったのですが、何となく見てみたら
心が安らげている自分に気が付きました。
リウさんの言うとおり、観月さん演技を抑えているように
感じました。また冗談も微笑ましいものばかりで、
朝ドラを見ているような気がしました。
ともさかりえさんは、ああいう役、はまり役ですね。
大滝さん、やっぱりいいキャラですね。あの方のシーンを
見るたび、自然と笑顔になります。
私は23の時に日本を離れたのでこういうドラマは
心が温まります。

投稿: ゆき | 2010年8月13日 (金) 03時49分

ゆき様
コメント、ありがとうございます。

最近このドラマを見始めたというのは、NHKオンデマンド、とかですか?
なにしろこのドラマ、私にとっては、結局最近見たドラマのなかで一番のお気に入りとなりました。
ストーリー的には目新しいところはなかったのですが、とても居心地のいい空間を持っているドラマでした。 もっと浸っていたかったです。

観月サンも30半ば、これでいろんなタイプのドラマに対応できる幅を見せつけた気がしてなりません。
ともさかサンの演技は、個人的にはクセが気になるのですが、このドラマでのセレブな主婦は生きるのがヘタクソな人だったので、よく合ってたような…(失礼)。
まだ第2回目を見ているのなら、大滝サンの上京する回は必見です。 ご高齢にもかかわらず、ますます凄みの増した演技に、圧倒されると思います。

たった5回で終わってしまったので、今は少々さびしい思いをしています。 7-9月期のドラマで、ほかに見ているドラマがひとつしかないのもありますが…。

投稿: リウ | 2010年8月13日 (金) 06時15分

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