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2010年7月 5日 (月)

「龍馬伝」 第27回 今回の展開ばかりは私もちょっと…

 どうにも参ったものです。 今回の 「龍馬伝」。
 私も今まで、このドラマを擁護してまいりましたが、今回は 「龍馬伝」 批判者の格好の餌食になるような典型、とも呼べる話だったと感じざるを得ません。 ダメなときはダメ、というのも愛情です。

 なにしろ、話が、荒唐無稽すぎましたね。

 史実とは違う、というNHK大河ドラマ批判者の常套句は私にとってはどうでもいいことです。
 ただし、ドラマを構築するうえで、いくら史実とかけ離れているにせよ、リアリティはそこに持たせてもらいたいのです。

 今回の龍馬の行動における下地となる部分は、海軍操練所廃止によって、龍馬が精神的に完全な閉塞状態になっていたことが挙げられる。

 自分に何ができるのか。
 30を超えて何事も成し遂げていないことへの焦り。

 そんな行き詰まり状態にいたからこそ、龍馬はそのはけ口を求めるために、そして幼なじみを救おうという衝動のために、かなりの無茶をしながら今回の行動を完遂してしまった、と考えることはできるのです。 できるのですが。

 話の発端として、そんな行き場を失った龍馬のもとに、岩崎弥太郎から手紙が舞い込みます。
 まずこのリアリティが希薄。
 あてどもなくふらついている男のもとに、どうやって手紙を届けることができるのか。
 いくら弥太郎が以蔵の刑罰を見るに堪えなかったからとはいえ、どうしてわざわざ龍馬にそのことを訴える必要があるのか、という理由付けもない。
 溝渕がこのあり得なさを解消するファクターとして再登場させているみたいなのですが、そのことがかえって、リアリティのなさを助長してしまっている気がするのです。

 そして武市と以蔵の悲惨極まる状況を知り、大絶叫する龍馬。

 福山龍馬の演技力について批判的である人であればあるほど、この大絶叫には辟易したはずです。
 私はこの場面、ここまで絶叫することの不自然さのほうに、目が行きました。
 この絶叫には、龍馬が武市や以蔵に思い切り感情移入しているがゆえの要因もあるのですが、それ以上に、「自分に何ができるのか!」 という悔しさや、「どうして日本人というのは、いつもこうなんだ!」 という怒りまでもが加わっている、そう私は思うのです。
 ただ、その奥深い龍馬の心理が、話の展開上、全く伝わってこない構造になってしまっている。 ただ、武市や以蔵を助けてやりたくて絶叫しているようにしか、感じられない話の展開になっているのです。
 その結果、福山龍馬の絶叫演技が、とても白々しいものに見えてくる。

 そして脱藩者である龍馬が、溝渕の手を借りて土佐に舞い戻り、坂本家から絶縁してもらい、後藤象二郎の前に現れて、「吉田東洋を殺ったのは、このわしじゃ!」 と大芝居を打つ。 象二郎は大激怒。 のたうちまわって悔しがります。
 溝渕は 「なんちゅうヤツじゃ!」 と感嘆していましたが、私に言わせれば、「なんちゅうありえない話じゃ!」。 同じフィクションでも、ちょっとこの想像力には、ついていけないのです。

 じっさい龍馬と象二郎はこのあと、ちょっとした関係を築くのですが、その前フリ、きっかけを作りたかった、と脚本家が考えているフシもある。 けれども来週予告では武市も以蔵も死罪になるみたいだし、いったいこの龍馬の大芝居が、なんの役に立ったのか、という虚しさも、ついて回るのです。 予告の話の切り出しかたも含めて、ドラマの組み立て方としては、なんだかなーと感じます。

 そして、この回の内容が批判されるであろう最大の原因は、「いつまで武市と以蔵の話にかまけているのだ」、という点にあるような気がします。

 なにしろ、操練所廃止後の龍馬は、いろんな行動を取り始める。
 それをもっと見せてほしい、という向きには、武市らの話は食傷段階に入っているように思えるのです。

 これまでの 「龍馬伝」 には、いくらフィクションであっても、見る側を感動させる説得力に満ちあふれていたと思います。
 それが今回は残念ながら、完全に空回りしている印象だけが残りました。

 まあ、1年の長丁場のなかには、こんな回もあってもいいのかもしれないです。

当ブログ 「龍馬伝」 に関する記事
♯01論点が、はっきりしちゅうhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/01/1-e718.html
♯02えらい天気雨じゃったのう(笑)http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/01/2-a44b.html
♯03食われっぱなしぜよ、福山サンhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/01/3-8e96.html
♯04佐那チャン、ツンデレ、してません?http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/01/4-5776.html
♯05アイデンティティの崩壊http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/01/5-d115.html
♯06本分をわきまえる、ということhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/02/6-766e.html
♯07父のこころ、子のこころhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/02/7-e1b3.html
♯08汚さに磨きがかかる(なんだソレ?)弥太郎殿http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/02/8-8680.html
♯09思想か、命かhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/02/9-febd.html
♯10もっとなんとかできたはずhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/03/10-b847.html
♯11龍馬が担ぎ出される、その理由http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/03/11-ac67.html
♯12武市の心理、執拗にやってますねhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/03/12-2a95.html
♯13大友サン演出は、一味違うhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/03/13-e7ca.html
♯14進む龍馬の空洞化http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/04/14-ef4d.html
♯15龍馬の人物像が、ちっくと見えてきたhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/04/15-b072.html
♯16日本人じゃあぁーっ!http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/04/16-5e1f.html
♯17試合という名のラブシーンhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/04/17-6ae8.html
♯18武市の転落ぶり、凍りつきましたhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/05/18-77bb.html
♯19 5月10日って…明日?http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/05/19-510-e7ac.html
♯20 ものの見方で軽くなる命http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/05/20-280b.html
♯21こう生きていくしかない人… http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/05/21-47f8.html
♯22龍馬の情けなさこそが、作り手の表現したいことだhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/05/22-f109.html
♯23後戻り?…それは誰が決めるのだろうhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/06/23-0fc8.html
♯24蛍の儚い光、死んだ者の魂http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/06/24-3fb3.html
♯25史上最大のツンデレ…?http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/06/25-9092.html
♯26なんでもできる!って、なにができる?http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/06/26-e782.html

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BOOKS

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 上

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 上
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ記事より抜粋)。 この上巻ではビートルズの祖先から遡ってリバプールで人気に火が付き始めたところまでが書いてあります。

  • ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白

    ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白
    まず驚かされるのが、表紙のポールの写真です。 よくこんなのが採用されたな、というくらい、刻まれた年輪が顕著に分かる 「年老いたポール」。 飾り気のないその写真に、「素のポール」 をあぶり出そう、という心意気が見える。 そして実際、著者のその目論見は、成功しているように思えます。 何より大きいのは、「NME」「Q」「MOJO」 など音楽メディアで長年記者を務めてきた著者がポールと同じリバプールの出身者である、ということ。 さらにポールと同じファースト・ネームであること。 だからポールはまるで自分の分身に話しかけるかのように、時折同郷人にしか分からない言葉で気さくに著者に話しかける。 この本を読む者は、まずその 「不思議なリラックス感」 に包まれるはずです。  本の構成は大きく二つに分かれます。 前半ではビートルズからウィングス、ソロに至るポールのたどってきた長い長い歴史、後半ではポールの人格に迫る試みがなされていく。 そのインタビューは、一気に行なわれたものではありません。 著者がNMEの記者だった1979年のものから、明示はされていないがおそらく2013年、「NEW」 の発売前後が最新のものではないか、と思われます。 実際読んだ感覚では 「キス・オン・ザ・ボトム」 あたりが最新のような気もする。 その30年以上にわたる膨大なポールへのインタビューを、項目によって構成し直しているようです。 ですから、今年(2016年)亡くなったジョージ・マーティンについてのポールの見解であるとか、最新の情報が提示されているわけではない。 ポールの情報というのはこの歳になってもなお日々更新型ですから、その点については物足りなさが確実にあります。 さらに、30年以上というとポールのものの考え方にも変化変遷があってしかるべきだと思うのですが、30年以上をリミックスにかけているからその変化というものがつかめてこないもどかしさがある。 表紙を飾ったポールの 「老い」 という問題にも、この本はきちんと答えてくれているわけではない。 さらに言えば、ジョン・レノンの死について多くが割かれているのとは対照的に、2001年に亡くなったジョージ・ハリソンの死についての記述はない。 正直なところ、このような本を読み漁ってきた身としては、衝撃に値するような情報が書かれているわけではありません。 しかし前述したような、リラックスしたムードのなかでポールと語らっているような疑似体験を共有できる強みが、この本にはある。 この本全体に貫かれているのが、この心地よさなのだ、と思うのです。 その心地よさが乱れるパートがあります。 自身の失敗作、どうでもいい作品について語るときのポールは多分に感情的になりがちであり、イライラした様子を隠しません。 特に 「シークレット・フレンド」 を語るポールのくだりはポールファンなら一読に値する部分でしょう。 しかしそのイライラも、ポールの人間性が垣間見える瞬間としてこの本にとっては必要なパートなのです。 3000円以上と、この本は決して安くはない部類の本です。 ただその値段に見合うパフォーマンスは兼ね備えています。 この本と付き合った1か月足らずの間、心地よい体験をすることができました(アマゾンの自身のカスタマーレビューより)。

  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

  • 山口 百恵 -

    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

  • デイヴ・グルーシン&リー・リトナー -

    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

  • 桜田淳子 -

    桜田淳子: ゴールデン☆ベスト 桜田淳子~シングル・コレクション
    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

  • The Beatles -

    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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