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2010年7月18日 (日)

「鉄の骨」 第3回 仲間意識に麻痺していく小池徹平クン

 怪文書騒動に引き続いて、ダークホースの台頭による逆転の憂き目に遭い、2回連続で建設工事受注の落札を逃した、小池徹平クンの勤める一谷組。 どうやらそこには、一谷組と真屋建設の合併を画策し、ゼネコンの数を減らして外部の批判を免れようとする、建設業界ナンバーワン企業、山関組の顧問中村敦夫サンと政界の北村総一朗サンの思惑が働いているらしい。
 けれどもこのこと自体に、当の真屋建設営業部長である長岡(志賀廣太郎サン)は、あまり乗り気ではない様子です。 ひとり釣堀でたそがれております(笑)。

 一谷組の、小池徹平クン直属の上司である常務の陣内孝則サンは、窮余の策として、次回の工事落札において、談合組織を抜けることを山関組の営業部長で談合組織のボス、金田明夫サンに通達。 これまでふてぶてしく動き回っていた金田サン、慌てふためいております(笑)。

 ここらへんの構図を見ていて面白いのは、力関係によって貶められたり、威張っていられたりするのも、すべて談合、という閉鎖的な枠組みの中にいるから出来ることである、ということ。 いったんこの枠を外れてしまえば、純然たる競争相手となってしまうことは自明の理なのです。

 そっちのほうがよほど健全に思えたりするのですが、小池徹平クンにはその部分が、次第に見えなくなってきている。
 それは、前回のように、下請け企業が家族同然なのだ、という価値観を実感していくことから始まって、真野建設の長岡の真摯な姿勢を見たりしていくことによって、談合は善か悪かで判断できるものではない、という考えが固まってきているからです。

 一谷組の談合組織離脱通達を受けて急遽招集された、談合組織の会合。

 その席で長岡は、自分のモヤモヤした気持ちを、こうぶちまけます。

 「私は、おかしくなった今の形を、元に戻したいだけです。
 それに、過去2回の調整失敗の責任は、私にもあるわけです。
 だから、次から、きちんとやりたいと思ってるんです。
 私は、公共事業が減っているこういう時だからこそ、我々が今まで以上に強く団結しなければ、と考えています。
 結束して、手を携えて、すべての会社が共存していけるよう、仕事を回していかなければならないと、強く思う」

 そう言って、長岡は金田サンに変わって談合組織のボスに就任することを名乗り出る。
 実情を知らされていなかった談合グループのほかの会社は、長岡を新たなボスにすることに同意、場面変わって次の工事の受注についての激しい議論へと発展する。

 それは確かに、これまでたらいまわしのお約束のもとに隠蔽されてきた、各社それぞれの思惑が対立した、「健全な議論」 なのに違いないのですが、そこにはひとつの落とし穴がある。

 それは談合組織の仲間内だけの利益にしかならない、という点です。

 小池クンは、仲間意識の観点で目が曇らされ、自分たちの会社以外にも入札に参加し競合したい会社がたくさんあることを、忘れているのです。

 母親の松田美由紀サンから、現場で死んだ自分の父親と中村敦夫サンとの浅からぬ因縁と、長年にわたる送金を知った小池クンは、今回の陰謀に深く関わっていることに薄々気づきながらも、中村サンに会いに行き、深々と頭を下げる。
 そこに現れた陣内サンと中村サンとの会話を盗み聞きして事情をすべて悟った小池クンは、この先自分はどうすればいいのか、中村邸を出てきた陣内サンに尋ねるのですが、「自分で決めろ」 と言われ、陣内サンにこう激白します。

 「ぼくはこのまま営業で、地下鉄の落札まで見届けたいです!
 一筋縄でいかない仕事には、一筋縄でいかないやりかたが必要だと思いました!」

 どこまでもまっすぐな気持ちが、かえって清々しくさえもある。
 NHKがどうしてアイドル的な人気のある小池クンをこの役に据えたのか、なんだか分かる気がしてきました。
 けがれのない、まっすぐなイメージの人でしか、このドラマの主人公は演じることができないんですよ。
 だからこそ、そのまっすぐな気持ちが見渡すことのできない、もっと大きな視点が存在していることを、見ている側は徐々に気付かされる構造になっているのかも知れません。

 事態はけれども、談合組織を構成している、営業部長クラスの人々のはるか上、政界と会社トップレベルで、頭越しに話が決まっていく。
 北村総一朗サンのツルの一声で、一谷組社長の笹野高史サンも合併話に屈服、真屋建設の長岡は、やおら持ち上がった支店の談合疑惑強制調査によって、事実上更迭状態。 「ほうぼうに飛び火しなけりゃいいが…」 と、強制捜査のニュースを見る秋野太作サンはつぶやくのです。 窓際族のような感じなのですが、ナニモンなんだ、この人?(笑)

 それにしても秋野太作サン、すっかり白髪になってしまったんですねえ。 「男はつらいよ」 のセミレギュラーっぽい役がメジャー的には最初のようですが、私にとっては 「俺たちの旅」 のグズ六。
 当時の芸名は津坂まさあきサンとおっしゃいました。 最近見てないけれど 「踊るさんま御殿」 で特異なキャラを全開にしていましたよね。 なんか、息の長い役者サンにおなりになった気がします。

 次回は談合調査が進んで、守秘義務ということに光が当てられそうです。 小池クンも、どんどん汚れていきますよねぇ~。 …どうにもイジワルな興味だ(笑)。

当ブログ 「鉄の骨」 に関するほかの記事

第1回 建設業界って、こんな魑魅魍魎?
http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/07/1-a472.html
第2回 結局下が一番損をするhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/07/2-d7b7.html

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BOOKS

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

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     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ記事より抜粋)。 この上巻ではビートルズの祖先から遡ってリバプールで人気に火が付き始めたところまでが書いてあります。

  • ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白

    ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白
    まず驚かされるのが、表紙のポールの写真です。 よくこんなのが採用されたな、というくらい、刻まれた年輪が顕著に分かる 「年老いたポール」。 飾り気のないその写真に、「素のポール」 をあぶり出そう、という心意気が見える。 そして実際、著者のその目論見は、成功しているように思えます。 何より大きいのは、「NME」「Q」「MOJO」 など音楽メディアで長年記者を務めてきた著者がポールと同じリバプールの出身者である、ということ。 さらにポールと同じファースト・ネームであること。 だからポールはまるで自分の分身に話しかけるかのように、時折同郷人にしか分からない言葉で気さくに著者に話しかける。 この本を読む者は、まずその 「不思議なリラックス感」 に包まれるはずです。  本の構成は大きく二つに分かれます。 前半ではビートルズからウィングス、ソロに至るポールのたどってきた長い長い歴史、後半ではポールの人格に迫る試みがなされていく。 そのインタビューは、一気に行なわれたものではありません。 著者がNMEの記者だった1979年のものから、明示はされていないがおそらく2013年、「NEW」 の発売前後が最新のものではないか、と思われます。 実際読んだ感覚では 「キス・オン・ザ・ボトム」 あたりが最新のような気もする。 その30年以上にわたる膨大なポールへのインタビューを、項目によって構成し直しているようです。 ですから、今年(2016年)亡くなったジョージ・マーティンについてのポールの見解であるとか、最新の情報が提示されているわけではない。 ポールの情報というのはこの歳になってもなお日々更新型ですから、その点については物足りなさが確実にあります。 さらに、30年以上というとポールのものの考え方にも変化変遷があってしかるべきだと思うのですが、30年以上をリミックスにかけているからその変化というものがつかめてこないもどかしさがある。 表紙を飾ったポールの 「老い」 という問題にも、この本はきちんと答えてくれているわけではない。 さらに言えば、ジョン・レノンの死について多くが割かれているのとは対照的に、2001年に亡くなったジョージ・ハリソンの死についての記述はない。 正直なところ、このような本を読み漁ってきた身としては、衝撃に値するような情報が書かれているわけではありません。 しかし前述したような、リラックスしたムードのなかでポールと語らっているような疑似体験を共有できる強みが、この本にはある。 この本全体に貫かれているのが、この心地よさなのだ、と思うのです。 その心地よさが乱れるパートがあります。 自身の失敗作、どうでもいい作品について語るときのポールは多分に感情的になりがちであり、イライラした様子を隠しません。 特に 「シークレット・フレンド」 を語るポールのくだりはポールファンなら一読に値する部分でしょう。 しかしそのイライラも、ポールの人間性が垣間見える瞬間としてこの本にとっては必要なパートなのです。 3000円以上と、この本は決して安くはない部類の本です。 ただその値段に見合うパフォーマンスは兼ね備えています。 この本と付き合った1か月足らずの間、心地よい体験をすることができました(アマゾンの自身のカスタマーレビューより)。

  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

  • 山口 百恵 -

    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

  • デイヴ・グルーシン&リー・リトナー -

    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

  • 桜田淳子 -

    桜田淳子: ゴールデン☆ベスト 桜田淳子~シングル・コレクション
    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

  • The Beatles -

    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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