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2010年7月21日 (水)

「天使のわけまえ」 第3回 気まずい食卓

 秋田から、くるみ(観月ありさサン)のおじいちゃん、大滝秀治サンが上京。

 このおじいちゃん、近頃ドラマではほとんど見たことがないくらいの頑固で元気でボージャクブジンで遠慮も何もなくて声が大きくてすぐにぶっ倒れちゃう(笑)という、まあなんと形容していいやら、まさに 「台風」 が来た!(笑)というほどの強烈キャラ。

 まさに今回は、このおじいちゃんによって大騒動が起こる、という、絵に描いたような展開だったわけですが。
 見終わる頃には、なんだか自然と涙が出てくるような、切なさと温かさに包まれたような気分になりました。

 こういう後味って、昔の石立鉄男サンの一連のドラマとか、西田敏行サンの 「池中玄太」 とか、日テレでやっていた人情もののドラマと共通している気がします。
 空間があるんですよ、こういうドラマって。
 その空間に、いつまでもいたいなあ、って思うような空気、とでも言うのかな。
 そこに行けば、そのドラマの登場人物がいて、いっしょに泣いたり怒ったり、笑ったりすることができる。
 別にお涙頂戴のドラマでもないのに、今回私が自然と泣けてしまったのは、そんな懐かしくて慕わしい空間を、このドラマから感じ取ったからかもしれないです。

 さてこのおじいちゃん、元気過ぎだけでなく、ハチャメチャに勘がよろしい(笑)。
 細川茂樹サンに逃げられて息子を押しつけられた、という事実を観月サンも息子の康太(野村周平クン)も巧みに口裏を合わせて隠すのですが、結局バレて観月サンが交通誘導員をやってる仕事先まで押しかけてしまう。
 そこで激昂しすぎてぶっ倒れてしまうのですが(笑)、そのとき見かけたイッセー尾形サンを、ちょっとしか見てないのに秋田の借金こさえて女房子供を残して15年前に逃げてしまった男だと気付くのです。 ジイサン鋭すぎ(笑)。

 観月サンは大滝サンから、イッセー尾形サンを 「首に縄をつけてでも連れてこい」 と厳命され(笑)、お昼時にイッセーサンにそのことを話すのですが。
 観月サンからあなたの娘サンが結婚することになった、と聞かされたイッセーサンは、観月サン手製の弁当を食べながら、外していたサングラスをやおらかけて、また黙々と食べ始める。
 涙を見られたくない、というベタな演出なのですが、イッセーサンの演技が、それを感じさせないんですよ。 つまり、泣いているように、わざと見せていない。 とても複雑な演技をしていると感じました。

 大滝サンはイッセーサンを迎えるために、周平クンときりたんぽ鍋を作るのですが、そのときのやりとりも、なかなか秀逸です。

 「聞けば聞くほど、下らねえ男だねえおめえの父ちゃんは…」
 「オレも、そう思います…」

 きりたんぽ用のごはんを黙々とすりつぶす、周平クン。
 見ている側は、すりつぶされていくごはんと、彼のやるせない気持ちが一体化しているように思えてくる。

 嫌がりながらも結局連れてこられたイッセーサン、きりたんぽ鍋を前にして、いきなり大滝サンから嵐のような罵倒にさらされます。
 続いてその矛先は、観月サンに飛び火。

 「その男がいつか戻ってくるとでも思ってんのか?! え?!」

 大滝サンに極度に追い詰められて泣き顔になり、絞り出すように観月サンの口から出てくるのは、「今はまだ、何も分かんないし…もしかして…彼だって、戻ってくるかもしれないし…」 というしどろもどろの言葉ばかり。

 あまりにも酷い叱言を言われ続けたせいでイッセーサンもついにブチ切れる。

 「中途半端してるわけでねえんだよ! 姉さんもなあ、いろいろと、悩んでんだぞう。
 オレだってそうだぁ。
 帰りてえ思いもあっけど、帰れねえこともあんだ!

 じいさんみたいにな、強ええ人間ばかりじゃねえんだよ世の中!
 自分のな、弱ーいところも、ウンザリするほどいっぱい見えんだ!」

 それを聞いていた周平クンは、自分の父親と同じようなこのオッサンに、「そんなこと言ってる間に、あんたが家に帰れよ!」 と激怒。

 イッセーサンやみんなで食べようと用意されたきりたんぽ鍋は、どんどん煮詰まっていくのです。

 この、怒りや悲しみが交差していく食卓の下で、食べ物だけが放っておかれ、作った人の気持ちや、ほかならぬ食材が、ないがしろにされて食べられないものになっていく。

 なんて悲しいんでしょう。
 このいたたまれぬ食卓の演出は、正直言って凄すぎです。
 そして観月サン、イッセーサン、大滝サン、そして周平クンに至るまでの激しい演技の応酬。
 正直、このドラマでここまでのものを見ることになるとは、考えもしませんでした。

 この騒動のあと、血圧の薬を持って行った周平クンに、大滝サンは観月サンの幼い頃のことを話します。
 母親に逃げられても、いくら言って聞かせてもあきらめなかった観月サン。

 「そういう女なんだ、あいつは…。
 だからいいんだ、あのくらい言わねえと。
 …あのくらい、言ってやらねえと」

 その話を遠くから見ていた観月サンのもとに、秋田のおばさんから連絡が入り、大滝サンが家出したのだ、ということを観月サンは知る。

 そんな観月サンは大滝サンと一緒に、おはぎを作るのです。

 「おじいちゃんが病気になったら、私困るから」

 「人間誰だって死ぬ時は死ぬんだ。
 死んだらパー、それでいいんだ」

 「またそういうこと言ってぇ。
 長生きしてくれなきゃ、私やだから」

 「…おめえ、そのろくでなしの、どこに惚れたんだ?」

 「分からない。 いなくなって、考えれば考えるほど、分かんなくなっちゃった。 私、ホントにあの人のこと、好きだったのかなって」

 「好きに決まってるべ。
 そうでなきゃ、康太をここにおいてやったりするか。
 いつか…戻ってくると思ってんだべ?」

 「分かんない」

 「ゆんべおめえ泣いたでねか子供みたいに。
 そんなに泣きたきゃ泣け。
 その代わりだ。
 待つなら、待つと決めろ。
 おら中途半端は大っきらいなんだ」

 そして、おじいちゃんとの食卓に並ぶお惣菜を作る映像にかぶりながら、河口恭吾サンの、このドラマの主題歌が流れるのです。
 いい歌なんですよ、これが。
 なんか自然と涙が出てきたのは、このシーンでした。
 別に涙が出る所じゃないんですけどね。

 「私のお料理って、おいしい?」

 「おめえの料理はうめえ、ばあさんの味そっくりだ」

 家出をしたおじいちゃんも、死んだ女房の味が恋しくて、くるみのもとを訪ねたのかる知れない…そんなことをふと、考えたりしました。 ここでも涙が自然と…。 なんなんですかね。 悲しいシーンじゃないのに。

 こんな気持ちを感じるのは、冒頭に述べたような 「慕わしい空間」 というものの持つ力なのではないかな、なんてふと考えたりするのです。
 そしてその空間の中心には、やはり懐かしさを感じる、おかずの数々がある。

 それにしても大滝サン、やはりあなたはすごい演技人だ。
 もう、やられっぱなしでした、今回は。

 イッセーサンの演技にも、かなり参ってます。

 そして康太を演じる野村周平クン、ちょっと気になる存在ですね。
 金八先生に出てきた頃のマッチこと近藤真彦クンと、Kinki Kidsの堂本光一クンを足して2で割ったようなジャニーズ系の顔をしておりますが、演技力は確かな気がします。

 それにしても、見終わったあと気持ちが優しくなるドラマです。 5回じゃ短いっスね。

 あーでもしつこいですけど、河口恭吾サンの主題歌、いいんだよなー。

当ブログ 「天使のわけまえ」 に関するほかの記事

第1回 手作りの料理が幸せを運ぶ
http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/07/1-32da.html
第2回 さりげなさに包まれたドラマhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/07/2-061f.html
第4回 逃げる人たちhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/07/4-0f49.html

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コメント

こんばんは。
私も「天使のわけまえ」みてま〜す。大滝さん、相変わらず良い味だしてますね。なんか、しみじみしてくるドラマだと思います。

火曜日は堺雅人さんの「ジョーカー」みて、その後、このドラマみてます。
リウさんは、「ジョーカー」は見てらっしゃらないのでしょうか?

投稿: rabi | 2010年7月21日 (水) 23時34分

rabi様
コメント、ありがとうございます。

「ジョーカー」、見てないんですよ。

このところ忙しくって、ドラマのチェックもきちんとできてない状態で、面白いドラマを見逃したりしてる感じがします。 フジテレビのドラマは、4-6月期がサイアクだったので(失礼)、特にチェックが入らなくって。 堺雅人サン、好きな俳優サンなんですけど。 惜しいことしたなー。 集中再放送、してくれないかなー。

投稿: リウ | 2010年7月22日 (木) 05時22分

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