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2010年7月25日 (日)

「鉄の骨」 第4回 談合の先にあるもの

 談合組織の新たなボスに担ぎあげられた真野建設の営業部長、長岡(志賀廣太郎サン)が降ってわいたような北陸の談合疑惑で検察に呼び出されます。

 おそらくこの仕掛けはボスを降ろされた山関組が関与していると容易に想像できるのですが、検察の真の狙いが一谷組が怪文書によって落札を逃したバイパス工事の談合にあることが分かる。 小池徹平クンはいそいそと、都合の悪い文書などをシュレッダーにかけまくるのでした。

 ここで小池クンが悪いことに手を染めている、という認識を、見ている側は果たしてしていいのでしょうか?

 確かに社会的に問題にされていることで検察が動き、その捜査を逃れるために都合の悪いものを処分することは、ルールに違反しているからいけない、というように簡単に考えがちです。
 でもルール違反を責める、という判断基準は、実は問題の本質を真から考えていない、とてもイージーな判断基準なような気がするのです。
 私たちに必要なのは、そのルールが現実にそくしたものなのか、ただの潔癖症に陥っていないかを見極めることのような気がします。 めんどくさいから、ルールに逃げてしまっていないか、というか。 ルールだから仕方ない、という、いわゆる思考停止状態ですよね。

 検察のしたたかさにうなったのは、ここで一谷組のペーペーである小池徹平クンを任意で取り調べに呼んだこと。
 地検に呼び出されたことで、小池クンは完全に動揺。

 「あなたがこの怪文書を書いたんでしょう?」
 「違います!」
 「ではあなたが談合情報を漏らしてだれかが書いた…」
 「ぼくは誰にも…!」

 このカマのかけ方、うなります。
 言いかけてハッとする小池クン。
 あーあ、引っかかっちゃった(笑)。
 このシーン、真面目一筋で世の中の酸いも甘いもまだ知らないような小池徹平クンが演じるからこそ、かなりの説得力が生まれると思うんですよ。

 「何もしゃべってない」 とその後長岡とか三橋(中村敦夫サン)とかにしゃべっていた小池クンでしたが、しゃべったも同然というか(笑)。

 あくまでも談合組織内での昔ながらの取り決めを正面から行なっていこう、とする長岡に、小池クンは共感を強めていくわけですが、そんな小池クンに長岡は、自分が初めて営業で勝ち取った工事によってできた橋梁を見せ、うれしくてはだしで何度もその橋を往復した、とうれしそうに語ります。

 長岡はその後の検察の強い追及によって追い詰められ、会社との板挟みに遭って自殺する。
 これを、長岡が悪事を隠すために死んで逃げた、ととらえられるでしょうか。
 「会社なんて結局社員のことなんか考えていない。 会社が存続すればトカゲのしっぽ切りなどいくらでも平気でやる」 と考えてしまうのは、会社と社員(自分)の関係を、ドライにビジネスだと割り切って仕事をしている人たちなんじゃないかな、なんて、私はよく考えるのです。 そして、会社が社員(自分)に対してそれだけの充実感しか提供できなかったことも原因だと考えるのです。
 少なくとも自分が自分の会社を誇りに思い、自分の仕事に対して誇りを感じ、会社に恩義を感じ、会社のために頑張ろうと思っている人たちにとっては、長岡の選択肢を責める気持ちにはなれないのではないでしょうか。

 長岡の葬式のあと、小池クンは左遷先から駆けつけた豊原功補サンを、長岡の思い出の橋へと案内し、長岡の話を豊原サンに打ち明けます。

 「でも、奥さんには言わなかった。
 子供にも言わなかった。

 …言えなかった」

 いくら自分がその仕事に誇りを持ってやっていても、世間から見ればそれは談合という犯罪によって取ってきた仕事だ。
 豊原サンは自分が第一線を離れて初めて談合の問題点に気付いたことを小池クンに話し、「正々堂々と仕事を勝ち取れ」 と助言するのです。

 豊原サンが自分のしてきた仕事に対してどう 「談合は古いシステムだ」 と感じたのか、そこらへんの説明が弱いかな、と感じましたが、つまりは数社による仕事のたらいまわし、という談合の実態が、業界自体の競争力を低下させている、とか、談合グループのなかだけで話が決まり、その枠外の会社には恩恵がない、とか、あたりさわりのないこれまでの認識程度しかドラマが導き出せなかった、ということになってしまいますかね。

 結局このドラマは、談合の先にある 「ガチンコ勝負」 というものに、その解決策を提示している。
 それは、業者同士の縦のつながり、つまり元請と下請との長年の信頼関係を揺るがす話かもしれない。 不当なダンピングを引き起こす原因となるかもしれない。
 でも、談合を乗り越えるためには、「ガチンコ勝負」 で行くしかないのだ。
 …というフツーの結論なんですよ。
 もうちょっと目からウロコの方法が提示されると思ってたんですけどね。

 いずれにせよ誰かは馬車馬のようにこき使われ、誰かがのうのうと甘い汁を吸っている、という構造は、どの世界にもある気がします。 談合のようなシステムは、誰かが楽して仕事を取ってこよう、という気持ちの具体化したものなのかもしれません。 適正な競争とは何なのか、適正な社員への利益還元とはどうすればいいのか、この業界だけでなくすべての業種が考えなければならない問題なのではないでしょうか。

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BOOKS

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 上

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     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ記事より抜粋)。 この上巻ではビートルズの祖先から遡ってリバプールで人気に火が付き始めたところまでが書いてあります。

  • ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白

    ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白
    まず驚かされるのが、表紙のポールの写真です。 よくこんなのが採用されたな、というくらい、刻まれた年輪が顕著に分かる 「年老いたポール」。 飾り気のないその写真に、「素のポール」 をあぶり出そう、という心意気が見える。 そして実際、著者のその目論見は、成功しているように思えます。 何より大きいのは、「NME」「Q」「MOJO」 など音楽メディアで長年記者を務めてきた著者がポールと同じリバプールの出身者である、ということ。 さらにポールと同じファースト・ネームであること。 だからポールはまるで自分の分身に話しかけるかのように、時折同郷人にしか分からない言葉で気さくに著者に話しかける。 この本を読む者は、まずその 「不思議なリラックス感」 に包まれるはずです。  本の構成は大きく二つに分かれます。 前半ではビートルズからウィングス、ソロに至るポールのたどってきた長い長い歴史、後半ではポールの人格に迫る試みがなされていく。 そのインタビューは、一気に行なわれたものではありません。 著者がNMEの記者だった1979年のものから、明示はされていないがおそらく2013年、「NEW」 の発売前後が最新のものではないか、と思われます。 実際読んだ感覚では 「キス・オン・ザ・ボトム」 あたりが最新のような気もする。 その30年以上にわたる膨大なポールへのインタビューを、項目によって構成し直しているようです。 ですから、今年(2016年)亡くなったジョージ・マーティンについてのポールの見解であるとか、最新の情報が提示されているわけではない。 ポールの情報というのはこの歳になってもなお日々更新型ですから、その点については物足りなさが確実にあります。 さらに、30年以上というとポールのものの考え方にも変化変遷があってしかるべきだと思うのですが、30年以上をリミックスにかけているからその変化というものがつかめてこないもどかしさがある。 表紙を飾ったポールの 「老い」 という問題にも、この本はきちんと答えてくれているわけではない。 さらに言えば、ジョン・レノンの死について多くが割かれているのとは対照的に、2001年に亡くなったジョージ・ハリソンの死についての記述はない。 正直なところ、このような本を読み漁ってきた身としては、衝撃に値するような情報が書かれているわけではありません。 しかし前述したような、リラックスしたムードのなかでポールと語らっているような疑似体験を共有できる強みが、この本にはある。 この本全体に貫かれているのが、この心地よさなのだ、と思うのです。 その心地よさが乱れるパートがあります。 自身の失敗作、どうでもいい作品について語るときのポールは多分に感情的になりがちであり、イライラした様子を隠しません。 特に 「シークレット・フレンド」 を語るポールのくだりはポールファンなら一読に値する部分でしょう。 しかしそのイライラも、ポールの人間性が垣間見える瞬間としてこの本にとっては必要なパートなのです。 3000円以上と、この本は決して安くはない部類の本です。 ただその値段に見合うパフォーマンスは兼ね備えています。 この本と付き合った1か月足らずの間、心地よい体験をすることができました(アマゾンの自身のカスタマーレビューより)。

  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

  • 山口 百恵 -

    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

  • デイヴ・グルーシン&リー・リトナー -

    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

  • 桜田淳子 -

    桜田淳子: ゴールデン☆ベスト 桜田淳子~シングル・コレクション
    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

  • The Beatles -

    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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