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2010年7月30日 (金)

桑っちょのshock dough gun

 サザンオールスターズの桑田佳祐サン(通称桑っちょ…って、「音楽寅さん」 だけの話か?)が、食道ガンだという結構衝撃的なニュースが飛び込んできました。

 って書いてみて、「サザンの」 という形容詞って、やっぱ必要なのかな、なんて考えたりするのです。 ビートルズのメンバーを紹介する時でも、「元ビートルズの」 という形容詞って、必ずつくじゃないですか。 逆にサザンオールスターズって、そりゃ現在ではメンバーひとりひとりが立派なミュージシャンとして評価されてはいますが、結局サザンって桑っちょのことでしょ、みたいなところって、どうしてもありますよね、一般的に言って。

 こんな余計なことを考えてしまうのも、桑田サンのガンがまだ初期段階だから、ということに安心しているせいかもしれません。 …どうも桑田サン、などと書くと、よそよそしくっていかんなあ。 とりあえず、ガンという病気を侮るわけではないですが、ちょっと桑っちょについて最近私が感じていることをダラダラと書いてみたくなりました。

 というのも、「佐野元春のザ・ソングライターズ」 セカンド・シーズンの2人目のゲスト、アジアン・カンフー・ジェネレーションの後藤正文サンが、英語まじりの歌の詞について 「自分の言葉ではない」 というような否定的な見解を話していたせいです。

 あ、話はどんどんずれていきますが(笑)、「ソングライターズ」 のセカンド・シーズンについては、今のところ記事にする考えはございませんので、あしからずご了承ください。 どうも顔ぶれが私の興味の範囲外の方たちばかりなので…。 きちんとその人の音楽を聴いたこともないのに記事を書くのも気が引けます。

 で、後藤サンが見解を述べていた 「英語交じりの歌詞」 なのですが、その代表的な作り手が、桑っちょなわけじゃないですか。 そしてその範疇内には、やはり元春サンがいることも忘れてはならないのですが(桑田サンがいなければ、元春サンもあんな詞を書かなかったと思うんですよ、個人的に)。

 要するに日本の音楽界における 「英語交じりの歌詞」 というのは、それまでにだってあったことはあったのですが、この流れを本当に決定的なものにしたのは、私は桑っちょだと確信しているんですよ。

 桑っちょのそうした歌詞は、つまるところ彼への洋楽の大きな影響があったからこそのものなんですが、「日本語とロック」、という実に融合が困難なカテゴリーを、これで一緒くたにしてしまったという、ものすごい功績があるんですよ。

 もうひとつ桑っちょの、日本の音楽シーンにとっての大きな功績、とも呼べるのが、彼の 「日本語を英語のようにして歌う」、という歌いかた。

 それについて考えると必ず私が思い出すのは、「ザ・ベストテン」 でデビュー当時の桑田サンが自分の歌いかたについて久米サンと黒柳サンに講義した時の模様です。 おそらく1978年ごろ。

 桑田サンはたまたま思いついた 「こんなふうに」 というフレーズを分解し、「corn(トウモロコシ)」「nut(豆)」「food(食べ物)」「knit(編み物)」 とホワイトボードに書き出して、「コーンナッフーニット」(笑)と発音し、英語風に解釈し直したのです。 ビデオが当時あったわけでもないのに、一回限りのこの放送を、ヤケに鮮明に覚えています。

 これはガイジンが日本語をしゃべる時のパロディのようでもあるのですが、桑っちょの歌詞にはそれに着想を得た 「日本語と英語」 の境界線を完全に崩壊させる、というものがとても多い。 「姉ちゃん」 を 「nation」 みたいにするのはその最たる例で、「夕方」 も 「You gatta」 になってしまうし(「夕方クインテット」 の元ネタですな…笑)、こういうハチャメチャ英語の発想というものは、のちのヒップポップに至るまで大きな影響を及ぼしていると思うんですよ。 「韻を踏む」、という方法もそうですよね。 それらの実験がすべて、日本語をポップ音楽に上手に乗せる、という最高の功績を、J-POPにもたらしている。

 私もこの潮流にはちょっと乗ってしまった時期があって、自分の書く詩に英語、しかもヤケに韻を踏んだのを挿入していました(笑)。

 これについては早々から、「自分は日本人なのだから英語などで気持ちをごまかすべきではない」 という考えに至りまして、結局反動的に自分の書く詩の中に一切英語を入れまい、とした時期もありました(笑)。 今は不自然でなければ別に英語でもいーや、という感じですが。

 アジアン・カンフー・ジェネレーションの後藤サンはまさに私が遠い昔にたどった道を歩いていたわけで、その点については彼に大いに共感をしたわけです。

 しかしですね。
 まあ後藤サンみたいな人が大勢、というわけではないのでしょうが、少なくとも日本のミュージック・シーンにおいてこのような考えをする人が台頭してきたのには、一種の感慨も禁じ得ないのです。

 つまりこれって、桑っちょが開拓した日本語とポップ音楽の融合の、先にある感覚ですからね。 桑っちょの音楽、ひいてはサザンの音楽が、もはや過去の方向に流されつつあるのか、という気も、ちょっとするわけですよ。

 でもやっぱり、この季節にラジオから 「真夏の果実」 が流れてくると、わけもなく号泣したくなりますし、彼らの音楽が色褪せるなんてことは私に限っては全くない。
 「真夏の果実」 なんて、歌詞をちゃんと読むと、ワケの分からないところがいっぱいありますよ、確かに(笑)。 「四六時中も好きと言って」 って、変な日本語ですよね(笑)。

 大切なのは、ビートルズと同じように、サザンや桑っちょの音楽を次の世代に語り継いでいく人たち、なんじゃないのかなあ。
 こんな、桑っちょの功績をたたえる文章なんて書いていると、なんだかエンギでもないんですが(笑)、桑っちょはもっともっと評価されねばならん、彼の音楽はもっともっと聴き継がれていかねばならん、と私は考えとります。

 それでもやっぱり、「桑っちょ」 などと馴れ馴れしく呼んでしまうのですが。

 いずれにしても、全快を心より願っております。

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コメント

題名、今頃気付きました。

鈍くてすみません。

1964様
コメント、ありがとうございます。

あっ、別にいいと思います(笑)。

桑田サンの言葉遊びを、ただ単に真似しただけですので。

かえって分かりにくい題名で、申し訳ございません(笑)。

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BOOKS

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

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     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ記事より抜粋)。 この上巻ではビートルズの祖先から遡ってリバプールで人気に火が付き始めたところまでが書いてあります。

  • ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白

    ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白
    まず驚かされるのが、表紙のポールの写真です。 よくこんなのが採用されたな、というくらい、刻まれた年輪が顕著に分かる 「年老いたポール」。 飾り気のないその写真に、「素のポール」 をあぶり出そう、という心意気が見える。 そして実際、著者のその目論見は、成功しているように思えます。 何より大きいのは、「NME」「Q」「MOJO」 など音楽メディアで長年記者を務めてきた著者がポールと同じリバプールの出身者である、ということ。 さらにポールと同じファースト・ネームであること。 だからポールはまるで自分の分身に話しかけるかのように、時折同郷人にしか分からない言葉で気さくに著者に話しかける。 この本を読む者は、まずその 「不思議なリラックス感」 に包まれるはずです。  本の構成は大きく二つに分かれます。 前半ではビートルズからウィングス、ソロに至るポールのたどってきた長い長い歴史、後半ではポールの人格に迫る試みがなされていく。 そのインタビューは、一気に行なわれたものではありません。 著者がNMEの記者だった1979年のものから、明示はされていないがおそらく2013年、「NEW」 の発売前後が最新のものではないか、と思われます。 実際読んだ感覚では 「キス・オン・ザ・ボトム」 あたりが最新のような気もする。 その30年以上にわたる膨大なポールへのインタビューを、項目によって構成し直しているようです。 ですから、今年(2016年)亡くなったジョージ・マーティンについてのポールの見解であるとか、最新の情報が提示されているわけではない。 ポールの情報というのはこの歳になってもなお日々更新型ですから、その点については物足りなさが確実にあります。 さらに、30年以上というとポールのものの考え方にも変化変遷があってしかるべきだと思うのですが、30年以上をリミックスにかけているからその変化というものがつかめてこないもどかしさがある。 表紙を飾ったポールの 「老い」 という問題にも、この本はきちんと答えてくれているわけではない。 さらに言えば、ジョン・レノンの死について多くが割かれているのとは対照的に、2001年に亡くなったジョージ・ハリソンの死についての記述はない。 正直なところ、このような本を読み漁ってきた身としては、衝撃に値するような情報が書かれているわけではありません。 しかし前述したような、リラックスしたムードのなかでポールと語らっているような疑似体験を共有できる強みが、この本にはある。 この本全体に貫かれているのが、この心地よさなのだ、と思うのです。 その心地よさが乱れるパートがあります。 自身の失敗作、どうでもいい作品について語るときのポールは多分に感情的になりがちであり、イライラした様子を隠しません。 特に 「シークレット・フレンド」 を語るポールのくだりはポールファンなら一読に値する部分でしょう。 しかしそのイライラも、ポールの人間性が垣間見える瞬間としてこの本にとっては必要なパートなのです。 3000円以上と、この本は決して安くはない部類の本です。 ただその値段に見合うパフォーマンスは兼ね備えています。 この本と付き合った1か月足らずの間、心地よい体験をすることができました(アマゾンの自身のカスタマーレビューより)。

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MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

  • 山口 百恵 -

    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

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    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

  • 桜田淳子 -

    桜田淳子: ゴールデン☆ベスト 桜田淳子~シングル・コレクション
    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

  • The Beatles -

    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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