« 「龍馬伝」 第30回 薩長同盟の発想 | トップページ | 「うぬぼれ刑事」 第3回 思考することを拒絶するドラマ? »

2010年7月26日 (月)

「しげると布枝~漫画家夫婦の旅路~」 リアル 「ゲゲゲの女房」

 NHK総合で25日、「しげると布枝」 という、マンガ家水木しげるサンとその妻布枝サンのインタビュー番組をやっていました。 再放送なのかな。
 このところ 「ゲゲゲの女房」 のスピンオフみたいな番組がヤタラメッタラ放送されている気がするんですけど、おかげで気が抜けない、というか。 「いちごとせんべい」 の続編も、なんかやってたらしいんですが、見逃してしまいました。 この日の 「しげると布枝」 も、たまたまテレビをつけたらやっていて、途中からだったんですが見ました。

 今年88歳の水木サンと、78歳の布枝サン。 さすがに後期高齢者、という感じなのですが(失礼)、布枝サンはお歳の割には垢ぬけていて、若々しいですなあ。 さすがにおふたりともちゃんとした標準語をしゃべっていて 「そげです」 とか 「ちょっこし」 とか 「だら」 とか言わなかったんですが(当然か)、悦子サンという、ドラマでは帝王切開で生まれてくる次女の方らしいのですが(「藍子チャン」 役の娘サンとカンチガイいたしました、失礼しました) が結構巨漢でびっくり。 どうも高齢の水木サンの付き人をやってらっしゃるようですね。

 布枝サンのお話から強く感じることができるのは、やはり水木サンが並大抵の努力をしていなかった、ということ。
 だからこそ布枝サンは水木サンのマンガがいくら受け入れられなくても、自分の夫を信じきることができた。
 「ゲゲゲの女房」 を見ていても、私が強く感じてきたことはそのことです。
 フィクションも混じっているこのドラマのなかで、そのことを見る側が如実に感じとることができるだけで、このドラマの真の目的は早くも達成しているな、そう強く感じます。

 「あれだけ、描いても描いても否定されて、しかも食べていけないときを、まあここで描かないとと思って描いていることは分かりますけど。
 ある種の意気込みというか、自信があっても…否定されれば自信がなかったでしょうけれどもね、…自分自身に恥じない、というか、その意気込みというのは、私に大見得を切ってそういうことを語るわけじゃないですけれども、私が感じたことですけどもね。 その迫力たるやなかったです」

 ドラマでは木下ほうかサン演じる貸本出版社社長に冷たくあしらわれ、布美枝(松下奈緒サン)が大きくショックを受けたシーンの証言でも。

 「悔しいですよ。 悔し涙、ひとりで。 こんーなことってあるだろうかと思いましたね、否定されて。
 (水木サンのマンガを)見た途端、『こんなグロテスクな』 とか、いろんなこと好きなことを言うんですよ、出版社の人」

 プラモデルで連合艦隊を作った、というエピソードについても、ドラマ内では布美枝が 「そげな軍事予算は、わが家にはありません!」 と茂を一喝していましたが(笑)。

 「私それは微塵も思わなかったです。 ふたりして軍艦作ること。 私も裁縫や刺繍が好きでしたしね。 楽しかったです。 ふたりで同じことをね、やっているということを」

 ドラマでは可愛らしさをふりまいている藍子チャン。

 「あの子も行儀のいい子でねえ。 おむつもきれいで。 泣くことを知らない子で。 ちょっと心配はしましたよ。 ところがちゃんとした子に育って(笑)」

 当ブログ 「ゲゲゲの女房」 に関する記事でも言及したのですが、茂が来る注文をすべて断らなかった、ということの真相も、水木サンが話しておいででした。

 「間に合わせなければならんからねえ、必死ですよ。 あまり生きた心地しない。
 貧乏に戻るってよりも、マンガ描きとして、自分の名を維持するためにはそういうふうにある程度の量を描かざるを得ないのです」

 「金持ちになったからぼたもちが4つ食えるかって、3つしか食えないし。 変なものでねえ。 やっぱり、幸せには限度があってちゃんと神様が決めているようですねえ」

 ドラマ 「ゲゲゲの女房」 のタイトル字のバックに映っている、色とりどりの絵具壷。
 今回の番組では実際の、60年も使っているモノが出てきて、ドラマと一緒だとミョーに感動。 もともとはヨーグルトの瓶だったということが分かりました。 そうそう、こういうんですよね、牛乳ビンか短くなったような形状。 今もあるのかな。 私が小学校時代は、給食に出てくるヨーグルトは、こんな瓶に入っていました。

 「(自分は)エライ人なんだけどもうちょっと褒めてもらいたい」 と、とぼけた味を出しまくりの水木サン、布枝サンがおっしゃっていたように、とんでもない大人物のような気がします。

 ホント、おふたりとも、末永くお幸せでいただきたいとの思いをますます強くした、今回の番組でした。

« 「龍馬伝」 第30回 薩長同盟の発想 | トップページ | 「うぬぼれ刑事」 第3回 思考することを拒絶するドラマ? »

テレビ」カテゴリの記事

コメント

ドラマの藍子ちゃんは長女の尚子さんですね。
悦子さんは次女の方で、ドラマでは今週中に帝王切開で生まれる予定です。

もうちょっと、言葉を選ばないと、
水木サンに失礼です

>どうも高齢の水木サンの付き添い役をやってらっしゃるようですね。

「付き添い」ではなく「介添え」でしょう。


>やはり水木サンが並大抵の努力をしていなかった、ということ。

努力が並大抵ではなかった

通りすがり様
ご指摘、ありがとうございます、さっそく直させていただきました。 穴にでも入りたい!(笑)

??様
あなたの気分を害してしまって、誠に申し訳ないです。
「付き添い役」 という表現に御不快な思いをされるかたがいらっしゃることに思いが至らず、誠に失礼いたしました。 「付き人」 と直させていただましたが、これでもまずいでしょうか?

また、「並大抵の努力をしていなかった」 というのは、強調の表現のつもりであります。 なにとぞご理解ください。 もしかして、私の日本語、ちょっとおかしいのかな?

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« 「龍馬伝」 第30回 薩長同盟の発想 | トップページ | 「うぬぼれ刑事」 第3回 思考することを拒絶するドラマ? »

2019年8月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

BOOKS

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 上

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 上
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ記事より抜粋)。 この上巻ではビートルズの祖先から遡ってリバプールで人気に火が付き始めたところまでが書いてあります。

  • ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白

    ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白
    まず驚かされるのが、表紙のポールの写真です。 よくこんなのが採用されたな、というくらい、刻まれた年輪が顕著に分かる 「年老いたポール」。 飾り気のないその写真に、「素のポール」 をあぶり出そう、という心意気が見える。 そして実際、著者のその目論見は、成功しているように思えます。 何より大きいのは、「NME」「Q」「MOJO」 など音楽メディアで長年記者を務めてきた著者がポールと同じリバプールの出身者である、ということ。 さらにポールと同じファースト・ネームであること。 だからポールはまるで自分の分身に話しかけるかのように、時折同郷人にしか分からない言葉で気さくに著者に話しかける。 この本を読む者は、まずその 「不思議なリラックス感」 に包まれるはずです。  本の構成は大きく二つに分かれます。 前半ではビートルズからウィングス、ソロに至るポールのたどってきた長い長い歴史、後半ではポールの人格に迫る試みがなされていく。 そのインタビューは、一気に行なわれたものではありません。 著者がNMEの記者だった1979年のものから、明示はされていないがおそらく2013年、「NEW」 の発売前後が最新のものではないか、と思われます。 実際読んだ感覚では 「キス・オン・ザ・ボトム」 あたりが最新のような気もする。 その30年以上にわたる膨大なポールへのインタビューを、項目によって構成し直しているようです。 ですから、今年(2016年)亡くなったジョージ・マーティンについてのポールの見解であるとか、最新の情報が提示されているわけではない。 ポールの情報というのはこの歳になってもなお日々更新型ですから、その点については物足りなさが確実にあります。 さらに、30年以上というとポールのものの考え方にも変化変遷があってしかるべきだと思うのですが、30年以上をリミックスにかけているからその変化というものがつかめてこないもどかしさがある。 表紙を飾ったポールの 「老い」 という問題にも、この本はきちんと答えてくれているわけではない。 さらに言えば、ジョン・レノンの死について多くが割かれているのとは対照的に、2001年に亡くなったジョージ・ハリソンの死についての記述はない。 正直なところ、このような本を読み漁ってきた身としては、衝撃に値するような情報が書かれているわけではありません。 しかし前述したような、リラックスしたムードのなかでポールと語らっているような疑似体験を共有できる強みが、この本にはある。 この本全体に貫かれているのが、この心地よさなのだ、と思うのです。 その心地よさが乱れるパートがあります。 自身の失敗作、どうでもいい作品について語るときのポールは多分に感情的になりがちであり、イライラした様子を隠しません。 特に 「シークレット・フレンド」 を語るポールのくだりはポールファンなら一読に値する部分でしょう。 しかしそのイライラも、ポールの人間性が垣間見える瞬間としてこの本にとっては必要なパートなのです。 3000円以上と、この本は決して安くはない部類の本です。 ただその値段に見合うパフォーマンスは兼ね備えています。 この本と付き合った1か月足らずの間、心地よい体験をすることができました(アマゾンの自身のカスタマーレビューより)。

  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

  • 山口 百恵 -

    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

  • デイヴ・グルーシン&リー・リトナー -

    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

  • 桜田淳子 -

    桜田淳子: ゴールデン☆ベスト 桜田淳子~シングル・コレクション
    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

  • The Beatles -

    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

無料ブログはココログ