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2010年8月 9日 (月)

「龍馬伝」 第32回 「覚悟を決めろ、西郷」

 長州との和合の地である下関を素通りして京に行ってしまった西郷吉之助(高橋克実サン)。 西郷を追って、龍馬(福山雅治サン)と中岡慎太郎(上川隆也サン)も京入りします。

 ただし脱藩浪人であるふたりとも、京に入るのは相当な危険を伴っている。 その危険の象徴的存在が新選組、そしてその頭目、近藤勇(原田泰造サン)なのです。
 龍馬が狙われるのは、彼が薩長同盟に奔走しているからではなく(世間に知られとりませんからね)、この 「脱藩浪士」「もと土佐勤王党」 というファクターでしかない。 そこに作り手は、もうひとつの要因を絡ませてくる。
 それは近藤をお龍(真木よう子サン)目当てで寺田屋にやって来させ、寺田屋にやってきた龍馬とひと悶着を起こす、という展開です。

 これもあり得ないと言えばあり得ない話なのですが、このエピソードは見ている側から言わせていただければ、実に緊迫感があって面白かったです。
 龍馬はいったん、お登勢(草刈民代サン)に諭されて寺田屋をあとにしようとするのですが、お龍が近藤につかまっていると知り、お登勢の止めるのも聞かず、近藤の部屋を急襲、お龍との三角関係勃発、…と思いきや(笑)、西郷の遠縁である薩摩人を騙って近藤に接近。 お龍を巧みにその場から排除して、最初のうちはおべっかを使いながら、だんだんと近藤のトサカを刺激する本題に入っていく。

 「新選組は、幕府に盾突く者を片っ端から捕えちょっそうでごわんどなあ。
 ただ命じられたまんまに動っとは、イノシシを追う犬と、同じでごわんど。
 そん剣の腕は、日本のために役立てるべきじゃごわはんか?」

 おだてられ、調子に乗っていた近藤の顔に、殺気が漂ってくる。
 刀を抜こうとする近藤に龍馬は刀の柄でみぞおちに一発、近藤を気絶させるのです。

 その場に飛び込んできたお龍に、龍馬はこう吐き捨てます。

 「もし亀弥太が斬られちょった直後じゃったら、わしはこの男を斬っちょったかもしれん。
 けんど、それをやったら…
 わしも同じじゃゆうことになる!」

 その後起きてきた近藤は、「あの男はどこへ行った?」 と当然ながらお登勢に詰め寄るのですが、お登勢の嘘を瞬時で見破り、龍馬が岡田以蔵を逃がしてやった男だと、驚異の記憶力で思い出すのです。
 この一連の近藤の描写は、近藤の切れる男ぶりを見る側に強烈に印象付ける気がしてなりません。 凄みがじゅうぶん、伝わってくる。

 ところで今回、龍馬を狙う本命の男が登場します(笑)。
 その男は龍馬が風呂に入っているところを急襲(笑)、裸の龍馬にいきなり抱きつき、風呂の外でまきを燃やすお龍との三角関係勃発、…と思いきや(笑)、その男はなんと、千葉重太郎(渡辺いっけいサン)。

 「佐那と夫婦になってほしい」 と頼みにわざわざ京までやってきた、…とよく考えてみればどーやって龍馬が京にいると分かるのだ?という話なのですが(笑)、ここでの重太郎サンの登場は、お龍に自分の龍馬へ対する恋心を自覚させる契機となり、さらに近藤に、龍馬が北辰一刀流の使い手であることを知らしめる、という意義を、作り手は持たせているのです。 そしてとどめに、重太郎に龍馬が抱えている志を思い知らせることで、見る側にも龍馬がいかに大変なことを成し遂げようとしているのかを強く印象付ける意図もある。
 佐那との結婚依頼を龍馬が断るところを、ふすま越しに耳をダンボにして聞いているお龍(笑)。 キャワイイです(笑)。
 龍馬と並んで寝ていたところを近藤に急襲(今日は、急襲が多いなあ…笑)され、バッと起きてそれと対峙する、重太郎。 カッチョイイです(笑)。
 相手がすごい剣の達人だと知って、喜悦の表情を見せる近藤。 うーん、病的です(笑)。

 「ひとりのおなごを幸せにするために生まれてきやはったんやないのよ。
 あのお人が幸せにしたいのは、世の中すべてのお人なのよ」

 お登勢にこう語らせることで、重太郎は龍馬が佐奈だけのものにはなりえない人物だということを痛感する。
 でも、結局お龍とは、いっしょになっちゃうんですけどね(笑)。

 この一連のエピソードも実に面白かったですが、西郷との面談のシーンも、シビレましたねー。

 最初、京の薩摩藩邸に来た龍馬と中岡は門前払い。
 憤る中岡に、龍馬は 「会わないのにはわけがある」 と、すごすご引き返す。
 この龍馬の押したり引いたりの感覚が、素晴らしいんですよ。
 ここは引くべきだ、そう思ったら、深入りはしない。

 案の定後日西郷に呼ばれた龍馬と中岡は、のっけから西郷に土下座の謝罪を受ける。
 船に幕府の間者が侵入していたため、ここ数日様子を見ていた、とのことですが、登場早々に土下座する西郷の潔さは、あっぱれですね。 それはけっして卑屈なものではなく、かえって人物の大きさを実感させるのです。

 ただここまでの西郷の行動には、どうも気遅れというものが、見え隠れする。

 もし幕府の間者が下関を素通りした原因だったとすれば、中岡に言質を持たせてもよかったし、薩長同盟に動いている龍馬たちとの接触を拒むとか、神経質にならなくてもいい気がする。

 龍馬は恐らく、その西郷の弱気を察知したと思うんですよ。
 言葉だけの説得によって西郷を動かそうとする中岡に対して、龍馬は 「軍艦と銃の手土産を長州に持っていったらどうか」、と提案するのです。 ここで今回冒頭、高杉(伊勢谷友介サン)が、その調達ができなかったと桂(谷原章介サン)に謝る場面が生きてくる。

 「もう言葉だけじゃ、長州は信用してくれんがじゃ。
 薩摩の覚悟を示さんといかんぜよ!」

 龍馬はまたもや、西郷を強く叩きにかかっている。

 西郷はここで強く響くかと思いきや、「じゃっどん、そいをやってしもたら、幕府に戦を仕掛くっくと、同じこつごわんどな…」 と、また弱気を見せる。

 それに対して龍馬はきっぱりとこう言い切るのです。

 「そうじゃ。
 もう、後戻りは、出来ん」

 西郷はようやく、龍馬の提案をのむのですが、中岡と喜ぶ龍馬を見ながら、ようやく龍馬が歴史を動かし始めた、という興奮を感じましたです。
 ますます面白くなってまいりました。 ただその感想文を書くのは、ますます骨が折れます…。

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コメント

リウ様 
書中お見舞い申し上げます。

私、このお龍さん最初「なんだかなぁ…」とイマイチ感がありましたが、今回ホント可愛くてhappy01これこそ史上最大のツンデレぶり。

「感想文を書くのに骨が折れます」との事。
どういて?私のように頭が悪い者はリウ様の解説及び感想に助けられておりますので今後もよろしくお願いします。

投稿: エツ | 2010年8月11日 (水) 19時11分

リウ様
先ほどのコメント暑中お見舞いの漢字が間違っておりました。あー恥ずかしいsweat01ゴメンナサイ。

投稿: エツ | 2010年8月11日 (水) 19時14分

エツ様
コメント、ありがとうございます。

真木よう子サンは、去年か一昨年かの資生堂のマキアージュだったかな?そのCMのゴージャスなイメージがあったせいか、お龍のほとんどノーメイクみたいな登場の仕方には、正直面喰らいました。

ところがこれがいいんですよ(笑)。 素顔で勝負できるなんて、すごいもんです。

ところで、私もあんまり頭がいいほうではないので、たかが感想文なのですが、やっぱり書くのはしんどいです。 ポイントを絞り込むのが、結構大変なんですよ。

ただ面白がりながら書いてますので、苦痛ではありません。 エツ様のように私のつたない感想文を重宝していただけると、ますますやりがいもわくのです。 感謝申し上げます!

投稿: リウ | 2010年8月12日 (木) 05時39分

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