« 「ゲゲゲの女房」 第22週 失って初めて気づく家族の愛情 | トップページ | 「今夜も生でさだまさし」 浪花さだしぐれ・「てっぱん」 ヒロインも登場 »

2010年8月28日 (土)

「SONGS」 さだまさし 「精霊流し」 に込めた思い

 今週のNHK 「SONGS」 は、お父上を亡くしたばかりのさだまさしサンが、故郷長崎で今年夏行われた精霊流しに参加、父親を送り出したことを中心に進行しました。
 番組では 「精霊流し」 も歌われたのですが、もともと 「椎の実のママ」 の息子さんの死がきっかけで書かれたこの曲、今回ばかりはいやがおうでも、父親に向けて歌われたものになった気がします。
 けれども、この曲の歌詞にあるように、「涙は見せずに」 という態度を貫いたさだサンなのであります。
 反して見ているこちらは、「精霊流し」 を聴いてかつてないほど泣きました。 この曲を弾き語りして泣いたことは数度あるんですけどね。

 それにしてもこの曲によって長崎の夏の風物詩である 「精霊流し」 については知ったつもりでおったのですが、この曲のSEバージョンでも聴かれる爆竹の音とか、その程度の知識しか結局ありませんでした。
 何しろさだサンのお父様の精霊船は、屋形船遊びでもできてしまいそうなほどの大型。 全長にして26メートル。 しかも、2両編成だったかな?
 まあ、そのほかに流される精霊船も見たところでは、せいぜい1メートル程度の長さのものが多い気がしたのですが、それにしても1メートルにしたって、デカイ。
 さだサンはもともとそんなに大きくするつもりはなかったらしいのですが、地元の有志が 「さだまさしの父親を送り出すのにそんなにしみったれてちゃイカン」 ということで結局これほどまでに大きくなってしまった、とのこと。 その志もありがたいものですが、この巨大な精霊船が街を練り歩く模様は、まさに壮観。 提灯がずらりとわきに配置された、巨大な霊柩車、という感覚なのです。 というより、斎場が移動している感覚?

 「ぼくの今があるのはあの、赤貧洗うがごとき生活の中での、クラシック音楽を続けさせたっていうその、親の…投資。 あるいは期待。 ぼくに対するね。
 よく頑張ったよね何の根拠もなしにね。
 よくオレのことあそこまで応援できたなあって思う。
 自分が逆だったらそこまで自分の息子に、何もかも、投げ捨てて、まあいわば投資できるかって言われるとね」

 小さなバイオリンを与えられて長崎の神童とまで言われ、東京に単身音楽のために上京し、結局ドロップ・アウトしたさだサン。
 結局お父様のその投資は無駄にはならなかったのですが、今回の巨大な精霊船はそんな父親の恩にさだサンが応えたような心意気も感じるのです。

 8月15日の精霊流し当日、あまりに壮観な精霊船にさだサンのお母様?と目される年老いた女性も、感極まった様子で映し出されていました。
 そして大量の爆竹や銅鑼が打ち鳴らされ、喪主を務めるさだサンが、精霊船の先頭を歩く。
 その様は最近 「龍馬伝」 で見たような、異国情緒が感じられる一種独特の風景なのです。
 異国情緒、などと簡単に言いますが、なんというか、長崎というと連想される、オランダとかポルトガルとかの異国ではない。 中国の上海とか華僑の影響が色濃い、と言ったほうが適切な気がするのです。
 精霊船の最後尾には、さだサンが書いたと思われる、墨書きの 「ありがとう」 の文字。
 ここで、「精霊流し」 の物悲しいイントロが、流れてくるのです。

 もうこの時点で、こちらはちょっとウルウルしています。
 この曲のイントロは、「神田川」 の二番煎じと当時陰口を叩かれた、さだサンが鳴らすバイオリンなのですが、先ほどのバイオリニストに賭けたお父様の話を聞いた今回は、この曲でバイオリンが使われていることの意義を、限りなくしみじみと思い知るのです。

 そしてこの曲の持つ思いは、時代が移り変わっても、決して色褪せないことを思い知るのです。
 たとえば、歌詞に出てくる 「テープレコーダー」「レコード」 というメディアは、もう現在ではメインの音楽媒体ではありません。
 それでも、「ふたりで作った浴衣を、今夜はひとりで着る」「空の上から、線香花火が見えますか」「あなたの愛した母親は、ちょっとの間にすっかり年老いました」 という内容は、すべての人の琴線を大きく揺さぶる、さりげなさに満ちている。 私は、「詩人としてのさだまさし」 はすごい、と昔から考えていました。
 それが今回は、お父上の死が重なって聞こえるのですから、もうこちらはボロボロ泣きました。

 今日は、土曜ドラマ 「チャンス」 で泣いて、「ゲゲゲの女房」 で泣いて、「SONGS」 で泣いて、一日泣きっぱなしだったです(笑)。

« 「ゲゲゲの女房」 第22週 失って初めて気づく家族の愛情 | トップページ | 「今夜も生でさだまさし」 浪花さだしぐれ・「てっぱん」 ヒロインも登場 »

テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「SONGS」 さだまさし 「精霊流し」 に込めた思い:

« 「ゲゲゲの女房」 第22週 失って初めて気づく家族の愛情 | トップページ | 「今夜も生でさだまさし」 浪花さだしぐれ・「てっぱん」 ヒロインも登場 »

2019年8月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

BOOKS

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 上

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 上
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ記事より抜粋)。 この上巻ではビートルズの祖先から遡ってリバプールで人気に火が付き始めたところまでが書いてあります。

  • ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白

    ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白
    まず驚かされるのが、表紙のポールの写真です。 よくこんなのが採用されたな、というくらい、刻まれた年輪が顕著に分かる 「年老いたポール」。 飾り気のないその写真に、「素のポール」 をあぶり出そう、という心意気が見える。 そして実際、著者のその目論見は、成功しているように思えます。 何より大きいのは、「NME」「Q」「MOJO」 など音楽メディアで長年記者を務めてきた著者がポールと同じリバプールの出身者である、ということ。 さらにポールと同じファースト・ネームであること。 だからポールはまるで自分の分身に話しかけるかのように、時折同郷人にしか分からない言葉で気さくに著者に話しかける。 この本を読む者は、まずその 「不思議なリラックス感」 に包まれるはずです。  本の構成は大きく二つに分かれます。 前半ではビートルズからウィングス、ソロに至るポールのたどってきた長い長い歴史、後半ではポールの人格に迫る試みがなされていく。 そのインタビューは、一気に行なわれたものではありません。 著者がNMEの記者だった1979年のものから、明示はされていないがおそらく2013年、「NEW」 の発売前後が最新のものではないか、と思われます。 実際読んだ感覚では 「キス・オン・ザ・ボトム」 あたりが最新のような気もする。 その30年以上にわたる膨大なポールへのインタビューを、項目によって構成し直しているようです。 ですから、今年(2016年)亡くなったジョージ・マーティンについてのポールの見解であるとか、最新の情報が提示されているわけではない。 ポールの情報というのはこの歳になってもなお日々更新型ですから、その点については物足りなさが確実にあります。 さらに、30年以上というとポールのものの考え方にも変化変遷があってしかるべきだと思うのですが、30年以上をリミックスにかけているからその変化というものがつかめてこないもどかしさがある。 表紙を飾ったポールの 「老い」 という問題にも、この本はきちんと答えてくれているわけではない。 さらに言えば、ジョン・レノンの死について多くが割かれているのとは対照的に、2001年に亡くなったジョージ・ハリソンの死についての記述はない。 正直なところ、このような本を読み漁ってきた身としては、衝撃に値するような情報が書かれているわけではありません。 しかし前述したような、リラックスしたムードのなかでポールと語らっているような疑似体験を共有できる強みが、この本にはある。 この本全体に貫かれているのが、この心地よさなのだ、と思うのです。 その心地よさが乱れるパートがあります。 自身の失敗作、どうでもいい作品について語るときのポールは多分に感情的になりがちであり、イライラした様子を隠しません。 特に 「シークレット・フレンド」 を語るポールのくだりはポールファンなら一読に値する部分でしょう。 しかしそのイライラも、ポールの人間性が垣間見える瞬間としてこの本にとっては必要なパートなのです。 3000円以上と、この本は決して安くはない部類の本です。 ただその値段に見合うパフォーマンスは兼ね備えています。 この本と付き合った1か月足らずの間、心地よい体験をすることができました(アマゾンの自身のカスタマーレビューより)。

  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

  • 山口 百恵 -

    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

  • デイヴ・グルーシン&リー・リトナー -

    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

  • 桜田淳子 -

    桜田淳子: ゴールデン☆ベスト 桜田淳子~シングル・コレクション
    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

  • The Beatles -

    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

無料ブログはココログ