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2010年10月 2日 (土)

「てっぱん」 第1週 どこまで、ついていけますかね…?

 第1回目の感想で、「ゲゲゲの女房」 とのチェンジオブペースがもたらす戸惑いについて指摘したんですが、第1週目を固めて見た時点で、作り手の目指しているものが、ほんの少しですが感じられた気がします。

 「ゲゲゲの女房」 では、「いまの日本人にとって忘れ去られている大切なもの」 を、実在するマンガ家夫婦の生き方を通して一緒に探して行こう、という番組自体の姿勢があった。
 それは妖怪のように、「目には見えないもの」。
 このつかみどころのないものを、ドラマ全体で表現しようという手法をとっていました。

 対して 「てっぱん」 は、「架空である」 というドラマの特性を生かして、「形あるものを作り出そう」 という、全く逆のスタンスをとっています。 ドラマ本来の定義からいくとこちらのほうが王道なのですが、最初のきっかけをどう創作していくのか、この難しさを今回は特に感じます。 「ゲゲゲ」 のあととあっちゃあ、ねえ…。 危惧したとおり、ずいぶん乱暴な物語の始め方でした(笑)。 でも1週をとおして見ると、ゴーインな始め方で何を表現したかったのかが分かる気がするんですよ。

 第1週でクローズアップされていた 「形あるもの」 は、主人公あかり(瀧本美織チャン)の吹く、トランペット。

 彼女は養子だったのですが、彼女の亡くなった母親(木南晴夏サン、「10年先も君に恋して」 の、亜美チャン役ですよね)も、やはりトランペット吹きだった。
 物語はあかりの祖母、田中初音(富司純子サン)が、その母親の吹いていたトランペットを海に投げ捨てるところから始まります(厳密に言うと違いますけど)。
 それを目撃したあかりが海に飛び込んで2度のサルベージ(笑)。
 「そんなものはもう要らん」
 「なんでじゃ!」
 の押し問答の末、結局そのトランペットをあかりは家に持って帰る。
 その晩現れたのが、その 「べっちゃあ」、田中初音。
 「娘はどこや?」 と言いながらずかずかとあかりの家に入って行き、あかりの母親(安田成美サン)から、娘が死んだことを知らされる。
 初音は自分の娘が死んだとその時点で知り、あかりは自分がその死んだ女性が実の母親だったことを同時に知ることになる。

 これが物語の立ち上げ方です。
 先に指摘したように、ずいぶん乱暴な始め方です。
 トランペットを海に投げ捨てるおばあちゃんもゴーイン、たまたま通りかかって、それを飛びこんで2度も拾うヒロインもゴーイン、さらにそのふたりが実のおばあちゃんと孫だった、という話も、「超」 の付くゴーインさです(笑)。

 しかも、「自分が実の家族ではなかった」 と分かってしまった娘を、母親(安田サン)は 「自分の娘だから大丈夫」 という、とてつもなく巨大な自信から放置する(笑)。 この巨大な自信は、どこから来るのか?(笑)

 これを毎日ブツ切りで見せられる視聴者は、正直気の毒であります(笑)。
 第1回目を見ただけで、あとは土曜日に固めて見た私が、正解でした(笑)。

 なぜならこれらの違和感を解消する手立てが、きちんと用意されていたからです。

 結局祖母のいる大阪まで、母親のトランペットを返しに行ったあかりは、そこでお祭りの出し物になし崩しに出てトランペットを吹く羽目になるのです(これもかなりゴーインっちゃあゴーインなんですが…笑)。
 「娘の吹くトランペットなど、聴いたこともない」 という初音が、その娘のトランペットを孫が吹いているところを、そこで目撃する。
 かたやその孫のあかりのほうは、このトランペットを自らのアイデンティティを崩壊させる道具だととらえていて、「これを吹いたら自分がいままで育ててくれた家族と縁が切れる気がする」 という思い込みによって最初、かなり拒絶するのですが、結局なし崩しに(笑)吹いてしまう。

 この場面こそが、第1週目で作り手が受け手に見せたかった場面だったんだ、と思うのです。

 自分の娘が死んでいた、という悲しみを、娘をクサすことで紛らわせる、初音。
 そんな強情っ張りのおばあちゃんが、娘の目指したトランペットの道を認めずに一度も聴いたことのなかったその音色を、実の孫が吹いているのを見て、なにものかを感じている。
 そしてあかりは、母親が吹いていたトランペットを吹くことで、自分の母親の残留思念(「幻魔大戦」 か?…笑)要するに思いやぬくもりを、肌で感じることになるのです。
 トランペットということは、要するにまあ、マウスピースをちゃんと拭いていても、間接キッス、ちゅーことですよね(表現が下品で申し訳ありません)。
 他人の楽器を弾いてみて感じる感覚、というものは、とても奇妙なものです。 それがその人の愛器であったなら、その感覚はさらに強い。 しかも直接唇をつけて吹くトランペットなら、なおさら、という感じがします。

 ここらへんの情念を祖母と孫の間で結実させたこのシーン、なんか、泣けました。

 そして(時系列的には逆ですが)あかりの実の母親の墓参りに行った安田成美サン、つけてきたあかりに、肝心なことは一切話さないのですが、

 「謝ったりとかせんよ!

 お母ちゃん、これっぽっちもあんたに悪いことしたなんて思うとらんし。

 ほじゃけど、びっくりじゃったのう!」

 そう言って、あかりの頭を強くなでまわすのです。

 あかりもマウスピースを吹きながら  「ホント、びっくりじゃ! べっちゃあが、うちのばあちゃんなんてな!」 と、思い切り明るくふるまう。

 このシーンで、安田サンも美織チャンも、このドラマではどういう役どころなのか、なんとなく分かった気がするんですよ。
 安田サンは芯のとても強い女性。 けれども強すぎて、ちょっとポキッと折れそうな脆いようなところがある。 実はその芯の強さは、「母親としてそうあらねばならない」 という、意思の表れなんですよ。 だから 「自分の娘だから大丈夫」 という、かなり不確定な要素にすがろうとするようなところがある。

 美織チャンは、その母親のDHAならぬ(このギャグ、かなり可笑しかったです)DNAを、まあ血はつながっとりませんが受け継いで、かなり芯が強く、そして自らをいつも鼓舞していよう、という意志の見える女の子です。 そしてその性格は、おばあちゃんの初音にも共通しているようなところがある。

 ただまあ。

 物語のつかみどころはとらえた気がするのですが、結構話のゴーインさに、オイオイ…と思う部分があるので、これを半年間見続けるのか、と問われると、かなり微妙であります。
 ただ第1週目で、泣かせるべき部分はちゃんとあった。 この感触に今後期待することにして、しばらくまた、付き合ってみようかと思うのです。

「てっぱん」 に関する当ブログのほかの記事
第1回 名作の後番組は、ハードルきついですよねhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/09/1-8eb5.html

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  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

  • 山口 百恵 -

    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

  • デイヴ・グルーシン&リー・リトナー -

    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

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    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

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  • The Beatles -

    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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