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2010年10月31日 (日)

「てっぱん」 第5週 居心地が、作られつつある

 「ゲゲゲの女房」 の余波にさらされ続けているようなこのドラマですが、結構 「居心地の良さ」 が、形成されつつあるように思われます。

 今週の 「てっぱん」 を見ていて、今後の興味を引っ張ってくれそうに思えるのは、初音(富司純子サン)がいつ、伝さん(竜雷太サン)に 「操を立てた」 と言わしめるほどのお好み焼きをふたたび作ってくれるのか、という点に尽きる。

 その期待は早くも今週後半、あかり(瀧本美織チャン)が働くかつおぶし屋のトラブル解決のために開いた川中美幸サンの 「仮」 送別会の場で実現するか、に見えたのですが、トロンボーンに夢中な 「ボン」 社長(趙珉和サン)の 「焼いてる途中でかつおぶし大量投入」 攻撃の憂き目に遭い(笑)、見るも無残なお好み焼きとなり果てたのでした(笑)。

 ただしそのお好み焼き。

 川中美幸サンがこのかつおぶし屋 「浜勝」 に来るきっかけとなった、ボンの作った昔そのままの味だったのです。
 見る間に目に涙がたまっていく川中サン。
 そしてその場にいた初音の下宿人たちに非難されながら焼き上がっていくお好み焼きが巻き起こす笑い。
 この 「泣き笑い」 を強要してくる展開には、うなるものがあります。
 この秋の新ドラマをいろいろ見ている者にとってみれば、このドラマの物語構築の仕方は、決して劣っていないし、逆に上位にランクするくらいのものを持ち合わせている、そう感じるのです。

 結局その無残なお好み焼きが取り持って、社長も川中サンも会社を辞めずに済んだのです。

 あかりは初月給で初音に 「笑い袋」 をプレゼントするのですが、これが今週のキーアイテム。
 「笑ってほしい」 というあかりの願望が、そのまま今週のドラマを貫くテーマとなっている。
 結局、社長も川中サンに笑ってほしかったのですし、初音は笑わないけれども、伝さんに 「表情が柔和になった」 と指摘される。

 かつおぶし見学の小学生たちのためにあかりが作った 「だし巻き玉子」 をめぐる話も、なかなかよかったです。

 あかりは初音にその作り方を伝授してもらおうとするのですが、初音はうるさがって取り合おうとしない。
 その代わり初音は、暇を見てそのレシピをせっせと書き、それをあかりに渡そうとするのですが、その時すでにあかりは母親(安田成美サン)にその作り方を教えてもらっている。
 自分が書いたレシピを隠しながら、それを折り紙にして物入れにしてしまう初音。

 そしてあかりが作った 「母親の」 だし巻き卵を試食してみて 「これを子供らに出すんかいな?」 と訊く初音。
 案の定そのだし巻き卵、社会科見学に来た子供には不評だったのですが、冷めたらちょっとしょっぱく感じるだろうと思った、と話す初音に、「どうして教えてくれなかったの?」 と詰め寄るあかり。

 初音はこう答えるのです。

 「尾道のお母さんの味なんやろ?

 あんたが子供の時からの、大好きな味や。

 そういうもんに、誰が文句言えますのん?

 あの時、『もうちょっと薄味にしたほうがええんちゃうか』 言うたとしてもあんた聞いたか?

 『うちのお母さんの味に文句言うな』 って怒ったん違うか?

 …それでええ。

 意地でも変えられん。
 それが味やし…想い出や」

 ここらへん、食べ物屋を出していた初音の一家言が隠されている。 自分が曲げることのできない味がある…それは自分の生きてきた記憶、人生そのものなのだ、という視点です。

 そしてこのドラマでは、「トランペット」 と 「お好み焼き」 というふたつの要素が、あかりの実の母親、千春の思いと密接に結びついているように感じるのです。

 あかりは今週前半に作った広島風のお好み焼きを、自分の記憶のなかに存在している、自分の人生の味としているわけですよね。

 でもそれは、千春が生まれ育った大阪のお好み焼きの味ではない。

 千春は天国でそんなあかりの姿を見ながら、母親の記憶も娘に分けてあげたくて、初音とあかりを引き合わせているのかもしれない。
 エライ深読みでスミマセンが、どうも私には 「天国の千春の思い」 まで先回りして涙してしまうような早とちりな部分もあるようです(笑)。

「てっぱん」 に関する当ブログのほかの記事
第1回 名作の後番組は、ハードルきついですよね
http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/09/1-8eb5.html
第1週 どこまで、ついていけますかね?http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/10/1-c996.html
第2週 相変わらず、ゴーインな脚本ですがhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/10/2-69b4.html
第3週 物語が、駆け出したhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/10/3-ed2e.html
第4週 ちょっとキツイかもhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/10/4-0d8a.html

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BOOKS

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 上

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     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ記事より抜粋)。 この上巻ではビートルズの祖先から遡ってリバプールで人気に火が付き始めたところまでが書いてあります。

  • ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白

    ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白
    まず驚かされるのが、表紙のポールの写真です。 よくこんなのが採用されたな、というくらい、刻まれた年輪が顕著に分かる 「年老いたポール」。 飾り気のないその写真に、「素のポール」 をあぶり出そう、という心意気が見える。 そして実際、著者のその目論見は、成功しているように思えます。 何より大きいのは、「NME」「Q」「MOJO」 など音楽メディアで長年記者を務めてきた著者がポールと同じリバプールの出身者である、ということ。 さらにポールと同じファースト・ネームであること。 だからポールはまるで自分の分身に話しかけるかのように、時折同郷人にしか分からない言葉で気さくに著者に話しかける。 この本を読む者は、まずその 「不思議なリラックス感」 に包まれるはずです。  本の構成は大きく二つに分かれます。 前半ではビートルズからウィングス、ソロに至るポールのたどってきた長い長い歴史、後半ではポールの人格に迫る試みがなされていく。 そのインタビューは、一気に行なわれたものではありません。 著者がNMEの記者だった1979年のものから、明示はされていないがおそらく2013年、「NEW」 の発売前後が最新のものではないか、と思われます。 実際読んだ感覚では 「キス・オン・ザ・ボトム」 あたりが最新のような気もする。 その30年以上にわたる膨大なポールへのインタビューを、項目によって構成し直しているようです。 ですから、今年(2016年)亡くなったジョージ・マーティンについてのポールの見解であるとか、最新の情報が提示されているわけではない。 ポールの情報というのはこの歳になってもなお日々更新型ですから、その点については物足りなさが確実にあります。 さらに、30年以上というとポールのものの考え方にも変化変遷があってしかるべきだと思うのですが、30年以上をリミックスにかけているからその変化というものがつかめてこないもどかしさがある。 表紙を飾ったポールの 「老い」 という問題にも、この本はきちんと答えてくれているわけではない。 さらに言えば、ジョン・レノンの死について多くが割かれているのとは対照的に、2001年に亡くなったジョージ・ハリソンの死についての記述はない。 正直なところ、このような本を読み漁ってきた身としては、衝撃に値するような情報が書かれているわけではありません。 しかし前述したような、リラックスしたムードのなかでポールと語らっているような疑似体験を共有できる強みが、この本にはある。 この本全体に貫かれているのが、この心地よさなのだ、と思うのです。 その心地よさが乱れるパートがあります。 自身の失敗作、どうでもいい作品について語るときのポールは多分に感情的になりがちであり、イライラした様子を隠しません。 特に 「シークレット・フレンド」 を語るポールのくだりはポールファンなら一読に値する部分でしょう。 しかしそのイライラも、ポールの人間性が垣間見える瞬間としてこの本にとっては必要なパートなのです。 3000円以上と、この本は決して安くはない部類の本です。 ただその値段に見合うパフォーマンスは兼ね備えています。 この本と付き合った1か月足らずの間、心地よい体験をすることができました(アマゾンの自身のカスタマーレビューより)。

  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

  • 山口 百恵 -

    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

  • デイヴ・グルーシン&リー・リトナー -

    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

  • 桜田淳子 -

    桜田淳子: ゴールデン☆ベスト 桜田淳子~シングル・コレクション
    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

  • The Beatles -

    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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