« 「ギルティ 悪魔と契約した女」 第4回 真島の気持ちをちょっと考えてみた | トップページ | 「99年の愛~JAPANESE AMERICANS~」 第5夜 まれに見る壮大な遺言状 »

2010年11月 7日 (日)

「てっぱん」 第6週 真夏にナベとか…(笑)でも、いいドラマです

 この状況に持って行くのに相当な無理を重ねた 「てっぱん」 ですが、話的に辻褄の合わない部分は散見されるものの、あかり(瀧本美織チャン)の笑顔に引っ張られながら見続けています。

 確かに今週の話でも、欽にいが勤め先の信金の課長とトラブルを起こしてしまったのが 「あかりがもらわれっこ」 だったと言われたことが原因だったり(どこでその課長サンはそのことを知ったんだ?という感じ)、盆休みからあかりが帰ってきた時点、ということは真夏のはずなのに、ストーブ出して濡れた体を温めたりナベをやったり(「真夏にナベかよ!」 みたいなツッコミは、ドラマ内でしてましたけど…笑)、なんか妙に抜けてるところはあるんですが、全体の話がいいから、まあ、しょうがないかな…と思ってしまうんですよ。

 このドラマには、「ゲゲゲ」 に至るまで途中リタイアだらけだった朝ドラとは一線を画す、「見続けたい何か」 がある…そんな気がいたします。

 その 「何か」…というのは、あかりの大家でおばあちゃんの初音(富司純子サン)の解凍ということなんですけど(スミマセン…ポール・マッカートニーの 「バンド・オン・ザ・ラン」 のデータ解凍に、いま興味の大部分が移っているためこんな表現をしてしまいました…笑)。

 あかりがお盆休みに勤め先のかつおぶし屋の電話番をしなけばならなくなり、それが社長のスケジュールの都合で撤回されたことによる、初音の反応の推移がまず面白い。
 お盆に自分の本当の孫と一緒にいることを、初音は心の底で楽しみにしていたんですが、その話の立ち消えと共に、自分には家族なんかいらない、という気持ちを、また立ち上げようとする。

 加奈(朝倉あきチャン)が、自分の音大受験をあきらめさせるために、親がまたもやお見合いを勧めとるという相談をあかりにしていたところに、「音楽のことは分からんでもなあ、自分の子に才能があるかどうかぐらいは分かるもんや」 と、結構図星のことをはっきり言ってしまう初音。 図星だからこそ、かなりのショックを受けてしまう加奈。

 「子供が憎うて立ちはだかる親はおらん…子供を傷つけるもんから守ろうとして立ちはだかるもんや」 と言いながら、「あんたは自分の家族を大事にせい…あんたの家族は、そっちや」 と、自分とあかりの関係を、フラットなものに戻そうとするのです。
 納得のいかない表情のあかり。

 そして里帰りしたあかりは、前述した欽にいのトラブルに、やはり首を突っ込もうとする。 欽にいに誘われてあかりのうちに泊らせてもらっていたアスリートクンに、「家族だからほっとけん」 と言い切ります。 「それでか…お前があの大家に要らんことするのは」 というアスリートクンに 「うちには、家族じゃけえね」 と、屈託なく話すのです。
 同じころ、あかりがいないことに、どこか穴がぽっかり空いた気持ちになっている初音。
 「そばらおったら煩わしい…離れてたら、なんや寂しい。 つくづく、面倒なもんですわ」 という中村玉緒サンのナレーションが、笑えます。
 なんかこれと同じ内容の文句を、どっこっかで聞いたような気がしてならなかったのですが、「あしたのジョー」 でしたわ!(笑) ジョーが刑期を終えて少年院を去ったあと、刑務官たちが同じようなことを言っとりました。

 加奈チャンのお見合い問題でも、父親の柳沢信吾サンは自分の会社が傾いているから政略結婚しようとさせたわけではなく、会社が厳しいからこそ、音大に行かせることに経済的な不安がある、それよりも音楽を続けさせてやるには、こうしたほうがいいのではないか、という親の情愛が絡んでおりました。
 だいたい加奈チャンが一浪したということは、天性的な才能がないこと、の裏付けなのかもしれません。 そりゃ続けることでその才能を開花させる人も、いくらでもいますけどね。
 そこのところまで考え抜いて、親というものは判断をしている。
 でも、娘の人生は、娘が決めるものなのです。 あかりの母親の安田成美サンは柳沢サンに向かって 「子供たちはみんな自分からしんどい道を選んでいるように見える」 と言うのですが、自分のことを考えてちょっとそーでもないけど…とは思いましたけど(よーするに生きいいほうを選んでるんですよ、私は…笑)見守らなきゃならない、という考えには納得します。

 加奈に向かって謝る、柳沢サン。 加奈がいたからこそ、自分は会社をがんばることが出来た、娘を泣かせて、会社を守れるわけなかろうが!と男泣きするのですが、父親の気持ちが痛いほど伝わってきて、こちらも泣かせていただきました。

 また同時に、欽にいが上司とのトラブルで会社を辞める、と言い出した時、父親の遠藤憲一サンはそのことについて何の口出しもしない。 息子の人生は、息子が決めるものなのだ、というスタンスです。 鉄平兄貴も、父親の鉄工所を継ぐことについて、自分なりに考えている。 結局欽にいも辞表を出すことを撤回するのですが、息子たちが自分の頭で考え、自分なりに何かを決断しながら生きていることに、遠藤サンは何の口出しもしないのです。 そして 「自分の鉄工所は、自分が好きでやっとる、お前らは自分の道を行け」、と言い切るのです。

 「ただし…道に迷うた時には、ひとりで悩むな。
 誰かひとりの問題は、家族みんなの問題じゃ。

 ひとりだけ、幸せにはなれん。

 ひとりだけ、不幸にもできん!

 それが家族じゃと、お父ちゃんは思う」

 この物語が、穴があきながらもきちんとしているように感じるのは、このメッセージ性がストレートであることが原因のようです。

 大阪に帰ってきたあかりを待ち受けていたのは、台風と、伝さん(竜雷太サン)の初音へのプロポーズシーン。
 「家族みたいなややこしいもん、もうこりごりじゃ」 と伝さんの気持ちをシャット・アウトした初音に、あかりは早速首突っ込むのです。

 「『ほっとけ』 いわれても、ほっとけんのが家族じゃ。
 おばあちゃんがさみしいと、…うちもさみしい!
 おんなじ1日じゃったら、いっぱい笑えたほうがええじゃん…!
 …いままで笑えんかった分も、笑えばええじゃん!」

 その気持ちに動かされながらも、初音は 「ほんま、おめでたい子ぉや」 と憎まれ口をたたく。

 この初音の心の動かされ方、初音の心を揺り動かすあかりのキャラの前向きさが、私がこのドラマを見る大きな動機となっているのです。
 ただ、それだけではないんでけど。
 それはのちに書くこととしまして。

 さてその台風ですが、その強風がお好み焼き屋の開かずの扉を、強引にこじ開けてしまうのです。
 なんで長年びくともしなかった開かずの扉が今年になって壊れたんだろう?と伝さんはいぶかっていましたが、とーぜんですよ、ジェシカちゃん(ともさかりえサン)が半分こじ開けてしまってましたから(笑)。
 その扉を、半狂乱になって元に戻そうとする、初音。
 けれども結局は初音の下宿人たちが総出で、初音に代わって扉を修理するのです。
 かつてはみんなバラバラだった下宿人たち。
 それが初音の、家族のような存在になってきている。

 「あかりちゃん、ようけ家族連れてきてくれたがな…」

 伝さんの言葉に、表情がやらかくなっていく、初音。

 以前にこのドラマに関する当ブログの記事でも書いたのですが、このドラマは、天国にいるあかりの実の母親、千春サンが仕組んでいる話のように思えて、仕方がない。 オカルトチックで申し訳ないですけど。
 ただそれこそが、このドラマを貫く大きな柱となっていると同時に、最大の魅力になっていると私は考えるのです。

 夏にナベを食べながら(笑)民男クンの初音のモノマネに笑ったりしている下宿人たち。 そんななかで、笑いながらも、涙がぽろぽろとこぼれていく、あかりなのです。

 「『ちはる』、いうんです、お店の名前。

 うちを生んだ人の名前。

 千春さんが家を飛び出して、おばあちゃん、店を閉めたんです。

 ほいじゃけえうち、あの開かずの間は、おばあちゃんの傷みたいなもんじゃ思ってました。

 人に触れられとうない辛い思い出がいっぱい詰まっているけえ、鍵、掛けとるんじゃって。

 今日…さっき、分かったんです。

 フタするために鍵かけとったんと違う。

 大切に、守るためじゃったって…。

 必死で戸を抑えつけとるおばあちゃんを見て、思ったんです。

 きっと、あんな風に、なりふり構わんと、千春さんのこと守っとったんじゃろうなって。

 毎日毎日、油まみれになって、お好み焼きやいて。

 あの部屋には、…あの部屋には、おばあちゃんが、お母さんじゃった時間が閉じ込められとったんです」

 「それを、開けにきたんやな、おのみっちゃんは」

 ジェシカはん、ええこと言わはる(どーしていきなり京都弁?…笑)。

 この、家族同然という下宿の構造は、「ちゅらさん」 を想起させるような部分もありますが、どうしてこの設定でなければならなかったのか、ということが、今週の話で明確に分かったような気がするのです。

 ええ話ですよ~、みなさん。 話がありえないとか、見ないのはもったいない気がいたします。

「てっぱん」 に関する当ブログのほかの記事
第1回 名作の後番組は、ハードルきついですよね
http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/09/1-8eb5.html
第1週 どこまで、ついていけますかね?http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/10/1-c996.html
第2週 相変わらず、ゴーインな脚本ですがhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/10/2-69b4.html
第3週 物語が、駆け出したhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/10/3-ed2e.html
第4週 ちょっとキツイかもhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/10/4-0d8a.html
第5週 居心地が、作られつつあるhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2010/10/5-a598.html

|

« 「ギルティ 悪魔と契約した女」 第4回 真島の気持ちをちょっと考えてみた | トップページ | 「99年の愛~JAPANESE AMERICANS~」 第5夜 まれに見る壮大な遺言状 »

テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/521783/49961432

この記事へのトラックバック一覧です: 「てっぱん」 第6週 真夏にナベとか…(笑)でも、いいドラマです:

« 「ギルティ 悪魔と契約した女」 第4回 真島の気持ちをちょっと考えてみた | トップページ | 「99年の愛~JAPANESE AMERICANS~」 第5夜 まれに見る壮大な遺言状 »