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2010年12月11日 (土)

「ギルティ 悪魔と契約した女」 第9回 惜しい人を亡くしました…

 この超シリアスドラマの中にあって、ただひとりブッ飛びオチャラケ男を貫いていた堂島(唐沢寿明サン)。 彼らしい最期でした。 エンディングタイトルではいつもと違い、十字架ポーズで腰ふりダンスのおまけつき(笑)。 ここで笑わせるかい!つー感じ、と言いますか。 せっかくのシリアスな死にざまが台無し、と言いますか。 これこそ堂島らしい幕引き、と言いますか。

 なにしろ野上芽衣子(菅野美穂チャン)の復讐劇の矛先が宇喜田(吉田鋼太郎サン)どまりで、その先が見えなかったところに、この堂島は命がけで斬り込んでいったんですからね。 堂島の働きは重要かつ不可欠。
 ここで堂島が事態を打開してくれなければ、永遠にこのドラマも完結に向かわなかったでしょう。

 逆に言えばこの堂島の命がけの取材は、ストーリーを進めるための安易な展開感、と言いますか、無理やり感が、ほんのちょっとですけど漂う。 どちらかと言うと相手の巨大さに気後れして逃げ回るポーズをとる堂島のほうが、リアリティがある気がするんですよ。
 でもここでは、堂島のジャーナリストとしての使命感を浮き彫りにすることで、その無理やり感を払しょくすることに成功しているのです。
 ただまあ、芽衣子に対してやさしく手を振ったり、死亡フラグ立ちすぎですがな…みたいな展開も、気にならないわけでもなかったです。

 ですからどうやって堂島が黒幕をおびき寄せ、「かなりレベルが違う」 その強敵に対して、どのような安心できる布石を事前に打っておけたのか、という興味がメインで見ていたのですが、これがなかなか見ごたえがありました。
 そしてそこに至る堂島の覚悟も、オチャラケつつもきちんと描かれていた。

 この覚悟。

 堂島は度重なる衝撃的な展開にすっかり自分を見失って刑事を辞める辞めると駄々をこねている真島(玉木宏サン)に、「拓ちゃん来ちゃった」 じゃなかった(笑)、「ター坊キー坊の仲なんだから」 じゃなかった(私もしつこい…笑)、かなり珍しくまじめな表情でこう言い放つのです。

 「焦りすぎなんだよ。

 答えなんかそう簡単に出るか?

 苦しくてもしがみついて、悩んでもやり続けて、がむしゃらに、自分のやりかたを貫き通すしかない。
 投げたらそこで終わりだ。

 …せめて自分が守るって決めたものは守り通せ。
 …男だったら」

 「…あんたに説教されるとはな」

 「だって説教してくれって顔してんだもん、自分で言っててカンドーしちゃったよ!」

 …会話の後半部分引用は要らなかったか(笑)。

 しかしですよ、この堂島の 「最後まで自分のやり方を貫け、投げたら終わりだ」 というセリフは、実に身につまされるセリフなのであります。
 特にこういうブログをやってて、ときどき無力感に襲われる時もあるのですが、「自分の感じたことをすぐさま世間に向かって発表できて、しかもその反応がすぐに来る」 ということの喜びを感じるからこそ、苦しくても悩んでもやり続けたいと思うのです。
 人生だって同じ。
 逃げてしまったら、何もかもがそこでおしまいなのです。
 それはもう、あっけないほどに。

 そしてこの、覚悟を持った堂島というひとりの男の行動。
 これがドラマとして、見る側が納得できる感動へ導いてくれるのです。

 しかし敵もさる者。
 民自党の代議士の息子、という黒幕は、視聴者に向けてはようやく、やっとのことで提示されるのですが、堂島の誘いには簡単に乗ってこない。
 堂島の前に現れたのは、名目上休暇中の宇喜田。
 しかも指定された面会場所が、堂島のひとり息子がアルバイトをしている駐車場の見えるビルの屋上。 脅迫材料をお膳立てしている、というわけです。

 堂島は宇喜田から、「息子の命と引き換えに、このビルの屋上から飛び降りて死ね」、と脅迫されます。

 堂島は苦渋の表情を浮かべるのですが、ミジンコ名義(笑)で万里(吉瀬美智子サン)に通報しておいたことで現場に駆けつけた警察の車両を見て、「グッドタイミング万里リン…」 とつぶやきます(笑)。

 「息子が生きようが死のうがあいつの人生だ俺には関係ない。
 俺にはジャーナリストとしての生き方しか残っていない。

 …宇喜田サン…力のない人間でも、話を聞かせる方法ってあるんだよ。

 事件に仕立て上げればいい」

 「ごちゃごちゃ言ってないで飛べぇぇっ!」

 堂島は周囲に分かるように大声で叫ぶのです。

 「助けてぇぇ~~!

 撃たないでぇぇ~っ!

 宇喜田さぁぁ~~~ん!」

 堂島は完ぺきなオチャラケモード(笑)。 笑わせるか、ここで?

 「お願いだ、助けてくれ!

 息子は、息子にだけは手を出さないでくれぇ~~ッ!

 わ、分かった、宇喜田サンの言う通り、ここから飛び降りるよォォ~~ッ!」

 柵を乗り越える堂島。
 にやりと笑う、宇喜田。

 しかし。

 「やっぱり俺の勝ちだね」

 と笑いながら、両手を広げ、後ろ向きに落ちていく、堂島。

 「ザマアミロ」

 その一部始終を堂島からのケータイで聞いていた芽衣子。
 そこにホームレスの男から、堂島から託されたUSBが届けられるのです。
 そこには真犯人の名だけが抜かれた堂島の記事が。
 メモには、「俺への復讐、ひと手間はぶけたろ?」 と。
 堂島は自殺することで、同時に芽衣子への贖罪も完遂したのです。
 おちゃらけながらも、カッコよすぎだろ、堂島!

 さて、今回の話は堂島がメインでしたが、主役の芽衣子と真島に動きがなかったか、と言うとそうではありません。

 刑事を辞める、溝口の死亡にも自分が責任を持つ、と言う真島に芽衣子は、自分が連続不審死の先導を行なった、と告白をします。
 ここで芽衣子が展開する理論は、悪い奴らは自分だけでなくまわりも不幸に巻き込んでいく、その連鎖を断ち切らねばならない、という、およそ悪魔には似つかわしくない言動であります。 ちょっといい子ぶっているようにすら聞こえます。

 「ほんとに悪い奴らは、…誰かが罰を与えないと…。

 警察や法律なんか信用できない…!
 それは私がいちばんよく知ってる。

 …だから、私が、…直接罰を与えた」

 だったらオレも同罪だ!と反駁する真島に、芽衣子はこう言います。

 「いいえ、あなたに罪はない!
 …あなたは私のような人間に、罪を償わせるために必要な人なんです!」

 芽衣子はほかならぬ真島にのみ、自分を断罪してもらいたい。
 彼女があくまで求めているのは、真実なのです。
 だからこそ裏に何かあったり杓子定規にしか物事をとらえてくれない警察や裁判所に、真実が存在しているとは全く考えていない。
 彼女は自分が断罪されることを恐れていないのですが、それは真実によってのみ、可能なことなのだと信じているのです。
 そしてその真実を追い求める象徴的な人物こそが、真島なのです。

 しかし当の真島、自分は警察を辞めるとか言ってますけど、気持ち的には全く刑事のまんまだと思うんですよ。
 そんな真島が、真犯人の告白まで聞いて、このまま芽衣子を放っておくのでしょうか?

 堂島からのUSBを閲覧する芽衣子の部屋に真島は乱入、壁に張り出された復讐の相手の写真を引きちぎりまくります。
 止めに入る芽衣子。

 「もう復讐なんかやめろ!」

 「お願いだから、もう私に関わらないで!」

 激しくもみ合うふたり。

 「俺が君を受け止める…!

 …愛してる…!」

 動きが止まる芽衣子。
 抱きしめる真島。

 「…愛してる…」

 「愛してるーっていうあーな~た~の~ことーばーをー」…ってテーマソングがかかって、「あっ歌詞通りだ…」(笑)と思う間もなく、エンディングタイトル。 前述の通り堂島チャンが腰ふりダンスをしていて、ぐっと来る抱擁シーンも台無し、とゆーか(冒頭でも同じようなこと書いたか…笑)。

 それにしても 「流れ星」 に引き続いて、抱擁シーンでしたけど、その質は表面上全く違っててとても印象的でした。 だのに実は、こんなに異質な抱擁シーンが、「互いにいけないと思いながら相手を求めてしまう気持ち」「倍加していく切なさに駆られてしまう感情」 という点で共通しているのは、かなり興味深い。

 いずれにせよ、柏原収史サン演じる代議士の息子、三沢準ですが、芽衣子と同じ桜葉館高校に在籍していたのに海外留学していたと学歴詐称をしていた、という事実が判明してしまって、どうして桜葉館なのかもなんとなく分かったし、どことなく事件の全体像がいきなりつかめてしまったみたいな感じで(まあツマラン推理ですけどね)、もうちょっとひとひねりを期待したいところです。

 ドラマの中でかなり異質で、それゆえにドラマに独特の立体感を与えていた堂島の死。
 彼亡きあと、ドラマは私の想像していた範囲以上の展開を示してくれるのでしょうか?

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コメント

私もエンディングをボ〜っとみていたら
唐沢氏の腰グラインドに衝撃をうけましたw
唐沢さんが脇役でドラマ出演すること自体が珍しいことですし、しかもあのキャラ。
最後、死に際まで余裕コいてたのが堂島らしく、かっこよかったですね。

堂島の力であそこまで真相に近づいたのだし、
芽衣子にやりたいようにやらせてあげて欲しい気もしますが
警察がそうはさせないでしょうね〜。

投稿: マイティ | 2010年12月12日 (日) 15時51分

堂島の死。
唐沢さんの巧さというか、唐沢さんが楽しく演じているのが伝わってきました。きっとエンディングの腰振りも彼のアイデアじゃないかと思ってます。不毛地帯の役では、とても真面目、今回の役は180度違いますが、ホームレスチックなジャーナリストの風体にも彼のこだわりが感じられるような気がしました。
本当に「惜しい人」をなくしましたね。

ドラマの今後の展開が見えそうで見えない・・・
横山めぐみさん演じる小山内琴美がキーパーソンのような気もしますが、どうなっていくんでしょう。

> それにしても 「流れ星」 に引き続いて、抱擁シーンでしたけど、その質は表面上全く違っててとても印象的でした。 だのに実は、こんなに異質な抱擁シーンが、「互いにいけないと思いながら相手を求めてしまう気持ち」「倍加していく切なさに駆られてしまう感情」 という点で共通しているのは、かなり興味深い。

リウさまの考察、いつもながら興味深く拝見しました。両方のドラマを視聴しつつ、こういう観点で自分は見ていなかったなと・・・

あらためてリウ様のテレビ雑記?のレベルの高さに感服です。

投稿: rabi | 2010年12月13日 (月) 10時31分

マイティ様
コメント、ありがとうございます。

この手のサスペンス的ドラマを見ていてどうしても感じてしまうのは、人がいとも簡単に死んでしまうところです。

唐沢サンが私と同じようなことを考えているのかどうかは分かりませんが、堂島の最期はそのことを逆手に取ったように思える、表向き 「軽い」 自殺シーンだった気がするのです。 まあ私の考えすぎかもしれませんが。 あくまで人の死を小道具のようにして、オチャラケながら死んでいく。 そのことで最後の言葉 「ザマアミロ」 がとても効果的に、見る側に印象づけられる。 そんな気がするのです。

考えすぎかぁ~(笑)。

投稿: リウ | 2010年12月13日 (月) 11時41分

rabi様
コメント、ありがとうございます。

鬼太郎もしくは宅八郎(笑)の唐沢サン、ある時は竹野内豊、またあるときはミジンコ(なんじゃソリャ?…笑)の、「七つの顔を持つ男」(古い、古すぎる…笑)。 最後の腰ふりでは、「マリリンちゃ~ん」 と言っているかのようでした(今は亡き本田美奈子サンの 「マリリン」 へのリスペクトかな?)。

いや、「抱擁シーン」 の解説は、自分で書いててかなり無理やりかな?と感じていましたcoldsweats01
なにしろ 「セカンドバージン」 でも鈴木京香サンと長谷川博己サンが抱き合ってるし、「坂の上の雲」 でも広瀬とアリアズナが抱き合ってるし。 毎日のようにテレビでは誰かと誰かが抱き合っておりますからね(爆)。

ほんとに、横山めぐみサンが怪しくて仕方なくなってきましたね(ハハ…)。 なにしろ昼ドラの女王がここまでおとなしすぎる(笑)。

いずれにせよ、真島と芽衣子の感情は、ジェットコースターのように乱高下している印象です。

投稿: リウ | 2010年12月13日 (月) 13時23分

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