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2010年12月19日 (日)

「さよなら、アルマ~赤紙をもらった犬」 生き物との共存を考える

 NHKスペシャル ドラマ 「さよなら、アルマ」 を見ました。
 約1時間20分のドラマであるため幾分、かなり駆け足の展開でしたが(映画並みに2時間程度にすればもっとよかったと思うのですが)、かなり泣かせていただきました。

 ただこれをご紹介くださった方へのコメントでも書かせていただいたのですが、私の場合ノンフィクションに近いこの手の戦争ものに関して、実際にこんな目に遭われた方々への厳粛な気持ちから、結構流す涙の量にリミッターがかかってしまうところがあるのです。 それを考慮に入れても、かなり泣いた部類に入りました。

 まず素直に驚くのは、こんなダイジェスト版のような印象すら受ける短いドラマに、結構濃密な出演者のかたがたが大量投入されている、という点。

 主演は勝地涼クン、テキサス刑事の息子さんであります(って勘違いでした、大変スミマセン!)。 その壮年期役で大滝秀治サン。 この人、なんか今年よく私の見るドラマでよく見かけたなあ。 老いてますますご活躍です。
 ヒロインは仲里依紗チャン。 この人を見ると 「ゼブラーマン」 の過激なメイクとファッションを思い出してしまう今日この頃(笑)。 まったく360度違う(一緒やがな…笑)清純な役をやっています。
 近所の子供にこども店長クン(「わしはこんなところに来とうはなかった」…加藤清史郎クン)、「ゲゲゲの女房」 で布美枝の次女をやってた松本春姫チャン(わわっ、♪会いたかった~会いたかった~会いたかった~…笑)。 この子役ふたり、子役同士でかなり演技力の激突をしていたように感じます(笑)。 末恐ろしい。
 そして 「ゲゲゲ」 つながりでは東てる美サン。 なんかセリフがひとっ言もなかったよーな…(それってかなりすごい気がします)。
 「チェイス」 で金持ちのボンボンをやっていた斎藤工サン。
 石原良純サンは負傷したため兵隊になれなかった近所のオッサン、「金八先生」 のおまわりさんも出てたなあ。
 軍人さんたちのメンツもすごい。
 大尉役の玉山鉄二サンは、去年の 「天地人」 などよりも数倍、いや数百倍、戦の悲惨さを表現しつくしていました。 髪の毛長いのは気になりましたけど。
 そしてナニゲニ 「天地人」 つながりで小泉孝太郎クン。 最初ひどい鬼軍曹でしたけど、最後は実に大和魂を見せつけました。
 池内博之サンの演技も、またよかったなあ。 この人がつぶやいた、「この犬(アルマ)がいるおかげで、俺たちは人間としての気持ちを思い出すことが出来るんだ」 という内容のセリフ。 この気持ちが最後に全滅しゆく兵隊たちの心情にかぶさって、かなり物語の奥行きを深くしてくれた気がします。
 中村獅童サンもエライ軍人さん役で出てたぞ。 なんか、キリがないなあ、まだまだいるんですよ。
 萬田久子サン(この人も 「天地人」 つながりか…このドラマの演出が 「天地人」 をやってた一木正恵サンだから、かもしれないですね)(一木サン、「ゲゲゲ」 もやってましたね)、草笛光子サン(「セカンドバージン」 秀月センセイ役が直近ではかなり印象的)、劇団ひとりクン(どこにいた?…笑)、角田信朗サン、川野太郎サン…。

 …あのー、キャストを書いているだけでこの記事終わってしまいそうなんですけど(笑)。

 で、私が個人的に注目したのは、やっぱり軍人役で出てきた、小栗旬クン。

 この人、「獣医ドリトル」 でいま、おんなじようなテーマのドラマに取り組んでますよね。

 このドラマは、大東亜戦争中に大量に投入された軍犬の悲劇をテーマにしていましたが、「獣医ドリトル」 でもまさに、人とペット、人と動物との関係に焦点を当てたテーマを扱っている。
 これらふたつのドラマは、彼にとってどのような意味をもたらしたんでしょうか。

 「獣医ドリトル」、ここ数回は書くことが重複してしまうために当ブログでは記事にしておりませんが、確か野生のイノシシを捕獲した回に、人間と動物との適正な関係についてドリトルはこんな内容のことを言っていた気がします。

 「どうすればいいのか、俺にも分からない。 みんなが真剣に考えることがいちばん重要なんだ」(極めて不正確で申し訳ありません)

 現代に比べると、戦時中の動物たちに対して人間が行なってきたことは、比較にならないほどひどいレベルです。 「かわいそうな ぞう」 というお話にもなっているくらい。
 ドラマ中で不可侵条約を一方的に破棄して満州に攻め込んできたソ連軍を、兵士のひとりが 「露助」(ろすけ) と表現していました。 ロシアの連中だから、露助。 要するに蔑称です。
 そして同じドラマ中で、誰かがアルマたち軍犬を、「犬ころ」 と表現していました。
 つまり、敵も犬も、当時の日本人にとっては同程度のレベルでしかなかった、ということです。
 私も年配の人が犬のことを 「犬ころ」 というのを、聞いたことがある。

 当時の日本人は自分たち大和民族以外のものを、限りなく下に見ていた。
 これは日本人だけでなく、世界中がそうだった、とも言えます。
 ゲルマン民族がユダヤ人を下に見て、ヤンキーがイエロージャップを下に見る。
 差別というものは人類がつい最近になるまで呪縛されてきた、忌まわしき悪癖なのです。
 それに、その呪縛はいまだに続いていたりする。

 人間が動物たちに対して持つ感情、というものも、実はレベルこそ違え、構造的には全く同じと言っていい。
 人間たちが動物たちを殺すことに躊躇しないのは、彼らが自分たちより下等な頭脳しか持っていない、人間並みの気持ちを持ち合わせていない、という意識からくるものが大きい。
 だから牛や豚はよくて、クジラやイルカはダメだ、みたいな倒錯が生まれたりするのではないでしょうか。

 そのいっぽうで、もし人が動物たちに対して同等の立場で考え始めてしまったら、人は動物たちを殺して食べることすらできなくなってしまいます。 動物との距離を考えることは、ことほどさように難しい。 ドリトルのように、答えは自分の中で真剣に考えることによってのみしか、出てこないのだと思うのです。

 このドラマの中で先ほど私が引用した、池内博正サンのセリフ、「犬がいるから人間らしい気持を保っていられる」(こっちも不正確で申し訳ないです)は、最初犬を犬ころ、単なる道具として見ていなかった連隊の空気が、犬によって癒されている、と気付いた時からの、大きな思想の転換を象徴したセリフなのであります。

 人間らしい心が失われていく戦場の中にあって、たった一匹の犬が、自分を人間に戻してくれる。
 そしてその犬は、もって生まれたその忠誠心によって、人間に限りなく尽くそうとしている。
 「こいつはどうしてこんなことをしているのか、分からないんだろうなあ」、と兵士のひとりが漏らしていました。
 それはいま分析したように犬の本能だから、なのですが、人に尽くせばよい結果がある、というように太古の昔から犬を調教してきたのは、まさしく人間でしょう。
 犬はそんな人間の期待にこたえるべくして、砲弾が飛び交う中を、駆けぬけて行くのです。
 その気持ちを考えると、自然と涙が出てきます。
 このドラマを見ていて涙を禁じえなかったのは、まさしくその部分でした。
 だからあまりにも駆け足気味だったこのドラマに、最後まで入り込んでしまったのでしょう。

 犬の一生は人間よりもずっと短いです。 そんな犬を一匹、日本へ戻すことが出来なかったとしても、それは大したことじゃなかったのかもしれません。
 でもなにがなんでもそうしたかった、それもまた、人間の本心なのだと信じたい。
 盲目的に動物保護をするよりも、人間はもっと深く、動物との関係を考えるべきだ、と 「アルマ」「ドリトル」 の両ドラマは見る側に突きつけている気がしてなりません。

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コメント

ホントにあわただしい展開でしたね。
素早い流れの中に豪華俳優陣が次々と。
劇団ひとりは、萬田さんに「早く逃げた方がいい」的なことを言いに来る役でした(一瞬だけ?)

アルマが健気じゃありませんか。
救援を頼みに走って、一生懸命帰ってきた姿に号泣っス。
犬種がシェパードってことで、見る前はイマイチ気乗りがしなかったのですが(推薦しておいて本当にすみません。シェパードの飼い主の方、本当〜〜にすみません)
なんてカワイイのー!耳がピョンと立った顔、たまらんです。
シェパードに目覚めましたw


あの子役のコ、ゲゲゲの次女だったか。
気づきませんでしたw

犬一(って書くのでしょうか?)
柴犬もかわいかったですねえ。

小泉孝太郎のマッチョな人格、珍しいですよね!
そして玉鉄、死に際までキレイだったです。

キレイだのかわいいだの、そんな感想ばかりで…
犬の、掛け値なしの愛情が素敵です。

戦場には馬も連れて行かれますが、人間の都合でかわいそうですね…

投稿: マイティ | 2010年12月19日 (日) 01時19分

マイティ様
コメント、ありがとうございます。 ドラマを紹介くださり、ここであらためてお礼申し上げます。

劇団ひとりクンって、結構一般人チックな顔をしてるので(笑)、チョイ役で出てくるとホントに分かんないですね(爆)。

松本春姫チャンって、確か結構ドキュンな読み方したと思うんですよ、このコの名前(るな、だったっけな~)。 しかしこの子も末恐ろしい。 天才子役が最近は多すぎる気がしますcoldsweats02

それにしても役者をこんなにてんこ盛りにしなきゃ、もうちょっと落ち着いて見ることが出来た気がしますよね。

シェパードについては、私苦く悲しい思い出がありまして。

小学生の頃、初めてわが家で飼った犬がシェパードだったのですが、このドラマ中でもあったように、かなりの食欲の持ち主。 飼い切れなくなって、確か警察犬の訓練所だかに親が預けたのです。 その後の詳細は不明。 実は私は無責任な飼い主の、先駆けだったわけです。 この記事で私がアルマについてあまり深い言及をしていないのは、そこに原因があります。 つまり、アルマを見ているだけで悲しかった。

いやな打ち明け話をしてしまって申し訳ありません。

あ、記事中 「ジーパン刑事」 などと書いてしまったのですが、テキサス刑事でしたよネ(大汗)。 ジーパンは松田優作サンでした。 あわてて直しました(笑)。

追記 …と思ったら、それ自体が間違っておりました! 恥の上塗りだ…(笑)。

投稿: リウ | 2010年12月19日 (日) 09時17分

こんにちは。いつも楽しみに拝見しています。
ところで、最後30分以外は見逃してしまったのでリウ様が「勝地涼くん、テキサス刑事の息子さんですね」と書かれた意味がよく理解できなかったのですが、リアルワールドの話として提示されていますか?

ちょっと気になって検索したところ、テキサス刑事は「勝野洋」で、勝地涼くんは実家の花屋での撮影見学の際にスカウトされたとありました。私が粗忽にもリウ様の意図を読み取り間違いしていたらすみません・・。

投稿: こぎ子 | 2010年12月19日 (日) 14時01分

こぎ子様
ご指摘、大変ありがとうございます。 私の勘違いでした! 勝野洋サンの息子さんはやはり俳優さんらしいですが、どこでどう間違ったか、私ずいぶん長いあいだ勝地涼クンがその人だとばかり認識し続けておりました(大汗)。 「勝野サンの息子が勝地かぁ…名字微妙に変えてるじゃん」、なんて、どこでどう勘違いすればそこまで確信的に間違ってしまったのか、自分でも謎です(??)。

さっそく直させていただきました! 誤認のないように気をつけてはおりますが、今後ともこのような間違いがありましたら、遠慮なくコメントいただきたいです!

投稿: リウ | 2010年12月19日 (日) 15時29分

さようでございましたか。シェパードを。
大型犬を飼うのは大変なことですよね。
きっと訓練されて活躍されたことでしょう。
警察などの職業犬として向いている犬種なんですね?
盲導犬は圧倒的にラブラドールが多いように。

このドラマ、豪華な俳優がほんの5〜6分のシーンのためにたくさん出演。
もったいないですよね。
2時間半くらいのバージョンも作ればいいのに。

衣装のほうは、仲リイサちゃんの着物も承ったらしいのですが
なんと…あの玉鉄との2ショット写真だけかい!ハァアア。。shock

時代衣装は、衣装会社のかたが
その時代の着物を探してこられて
女優さんのサイズに合わせて直すのです。
草笛さんもたくさん着られましたが、1シーンが短くてもったいな〜い。

投稿: マイティ | 2010年12月19日 (日) 15時40分

追伸

教育テレビでダイジェストで放送したのは、
犬(小型犬ばかり)を飼ってる子供たちをスタジオに招き
ドラマを少しずつ見せ、感想を聞くような構成でして
最後のアルマが飼い主を船に乗せるために乱暴を働いたシーン、子供たちも涙を流しておりました。
意味がわかるんだねえ。(普通わかる?)

番組終盤に子役ちゃん二人がゲストで登場。
ゲゲゲのコのほうは無邪気なものでしたが
子ども店長はマジメな顔で「ボクは自分の犬が戦争へ行ったら悲しい。戦争はいけない」などと、しっかり語っておりましたよ。

このコはNHKのサイトにあがってる宣伝ムービーでも重要な配役としてドラマについて語り、破綻してないし尺も丁度いいです。
清史郎、恐ろしいコ。(ガラスの仮面ふうに)

投稿: マイティ | 2010年12月19日 (日) 15時50分

マイティ様
再コメント、ありがとうございます。 返信遅れまして申し訳ありません。

我が家ではこれを教訓に、そのあとトイプードルばかりを飼っております。 家族の知り合いにブリーダーみたいな人がおりまして、タダ同然で譲ってもらっているみたいです(私は全く関与していないので、あまり事情は分かりませんが、まともにペットショップで買ったら法外な値段ですよね…coldsweats01)。

テレビ番組って、やたらかたらと撮りまくって、結局放送されるのはほんの一部、という、実に効率の悪いことをやっているような気がしてなりません。 それだけ湯水のように経費が使えるんでしょうし、要するに世間一般の感覚とはかなり違うお大名商売なんでしょうね。 このことについて語り出すと長くなりそうなのでやめます(実際今かなりずらずら書いたのですが、過激なので削除いたしました…coldsweats01)。

勘違いついでに申しますと(笑)仲里依紗チャン、私はずっと 「なかざと・いさ」 チャンだとばかり思っていました(汗)。 玉山鉄二サンも、かなり前の話になりますが、玉木宏サンと顔も名前も似通っていて区別がついてませんでした(爆)。 いまにして思えばどうして混同していたのか不明です(ハハ…)。

こども店長クンはかなりしっかりしておりますね~。 なんか石川遼クンに似た空気を感じますネ。 なんか私も、小さいころからもうちょっとまともに育っていたらこのくらいの人物になれたかもしれない…ワケないか(爆)。 なにしろ根がかなりズボラですので(あ~あ)。

投稿: リウ | 2010年12月20日 (月) 06時40分

昨日H23.2.20NHKで夕方見ました!途中からスイッチを入れて、見たんですが釘づけで、見入ってしまいました!こんなに泣いたのは、、フランダースの犬以来です(泣)戦争って残酷で酷いです(泣)アルマが最後にわざと噛みつき、船に乗らない考え(号泣)切なくて、寂しすぎます(泣)今日も思い出すと涙が出ます(泣)

投稿: チビ代 | 2011年2月21日 (月) 20時37分

チビ代様
コメント、ありがとうございます。 再放送をご覧になったんですね!
「フランダースの犬」 以来って、まさかリアルタイムじゃないですよねcoldsweats01。 リアルタイムで見ていたら、もう40年くらいになってしまいますもんねsmile

今よりずっと動物蔑視が当たり前だった時代に、こんなふうにして自分はたちの悪い犬なんだ、とアピールしてしまうアルマ、いったいどんな思いで噛みついていったんでしょうね。 私はドラマを見てからもうふた月ほど経ちますが、やはりそれを考えると泣けてきます。 いいドラマでした~。

投稿: リウ | 2011年2月22日 (火) 10時57分

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