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2011年1月12日 (水)

「美しい隣人」 第1回 勝手な先読み、という恐怖増幅の方法

 檀れいサンの隣に引っ越してきた仲間由紀恵サンが復讐をする、みたいな前知識だけで見た、「美しい隣人」。

 見る側に最初に提示されたのは、檀れいサンの幼稚園に通う息子が行方不明になり、同時刻に近所の池から子供の溺死体が上がった。 でもそれは別の子供で、息子のほうは木に登って降りられなくなったところを発見された、という経緯です。 子供がいなくなる、という日常いつでもありうる不安を、まず見る側は目の当たりにするのです。

 その1年後に、檀れいサンの隣に仲間由紀恵サンが引っ越してくるのですが、最初の登場からなんとも複雑な雰囲気。
 ここで見る側は勝手に、仲間サンは1年前に溺死体で上がった子どもの母親で、同時に無事で発見された子供の家庭に嫉妬を持ち、その家の隣に越してきて家庭をめちゃくちゃにさせるのだろう、という推測をしてしまいます。

 もうひとつ、見る側が勝手に推測してしまうことがある。
 それは木に登った息子を助けた青年が、ヤケに無愛想で目つきが悪いことから、もしかするとこの青年が池で子供を溺死させたのではないか、ということ。

 そんなふたつの勝手な憶測でドラマを見進めると、仲間由紀恵サンのあまりのフツーぶり(いや、いいヒトぶりか)が、ヤケに不気味に思えてくるのです。

 檀れいサンの夫は渡辺篤郎サンで、大阪に単身赴任中。 檀れいサンの孤独感を、ドラマはさりげなく描写しています。
 しかも渡辺篤郎サンですからね(なんだソレ)。
 彼が何か起こさないはずがない、みたいな先入観が、どぉ~もする(笑)。
 ドラマの作り手は、そんな見る側の勝手な憶測を最大限に利用している感じがするのです。

 さらに話の舞台はいかにも新興住宅街で人間関係もにわか作りみたいな感覚がするし、さらに子供が溺死した池でホタルの放流をするという、なんとも気になる舞台設定にも、怠りがない印象があります。
 そして檀れいサンと仲間由紀恵サンの家は、その新興住宅街から少し離れた高台っぽいところにある、野中の二軒家、という感じ。 不思議な孤独感をあおります。

 引っ越してきた仲間サン、最初にこの街で、あの目つきの悪い青年と出会うのですが、そのときに全身から漂わせていた複雑なオーラは、檀れいサンの前に初めて現れたときはすっかりなくなっている。

 ふつう誰かが相手に悪意のある場合、相手と話し終わったあとに、相手に気付かれないところで真顔に戻ったりして、いかにも分かりやすい悪意を視聴者に提供してくれるのですが、それが一切ない。 フツーに見ていれば、仲間サンの行動には、はじめ全く何も不審なところがないのです。

 それをことさら、効果音とかBGMで不安をあおりたてるようなドラマの作り方をしている。
 なんとなくワザトラシイよな、なんて感じていたのですが。

 ある夜この辺一帯が停電になる。
 停電、などということ自体が非日常的なのですが、そこに訪ねてきた仲間サンが檀れいサンに語った、若いころに旅行した、ミャンマーでのホタルの話。 その話に素直に感動して涙する檀れいサン、至って優しいフツーの女性なのです。
 その檀れいサンの涙をそっと拭う、仲間サン。
 なんとなく微妙な違和感が、見る側に生じます。
 見る側はこうして、自分勝手にミステリーの中に入り込んでいく。

 そんな小さなボディブローのあと、仲間サンはいきなり、何の脈絡もなく、大阪に単身赴任している渡辺篤郎サンの前に姿を現す。
 なんだよソレ、と見る側の心はざわめきます。

 さらに母親(草笛光子サン)の病気で檀れいサンから息子を預けられた仲間サン、息子は1年前の木のぼり事件以来両親からかたく止められていたんですけど、その息子を木のぼりに半ば強引気味に誘うのです。
 その前に、なつかないその息子に 「おばさんの手をぎゅーっと握って」 などとけしかけて、あまりの力の強さに痛がったりして、仲間サンの中に生じる何者かの感情の助走をつけることも忘れない。
 結局息子を木に登らせてしまった仲間サン、「これはお母さんには内緒だよ」 と口止めをします。

 その晩檀れいサンは息子を引き取りに来るのですが、秘密をもってしまったせいか、息子は母親の檀れいサンにこれまでになく心を閉ざしてしまう。 何かが微妙に変わり始めたことを、見る側は敏感に感じ取ることになるのです。

 そして息子を預かってもらったお礼に仲間サンが檀れいサンから頂いたバウムクーヘン。
 息子が落としてしまってちょっとベチャッとなったそれを、仲間サンは 「構いませんよ」 とばかりニコニコ顔でもらってきたのですが、自分の家に帰って来た途端豹変、仲間サンは思い切り、ゴミ箱の中に投げ捨てる。
 そして同時にゴミ箱に投げ捨てたのは、息子がいつも遊んでいた、飛行機のオモチャ。 いつのまにか仲間サンは、それを盗んでいたのです。

 ここでようやく、見る側は仲間サンの明らかな悪意を見せつけられるのですが、今後どのような形で仲間サンが檀れいサンの家庭を壊していくのか。
 なんとなくパターンは限られている気もしますが、今までに見たこともないような展開も、ちょっと期待したい気持ちがあります。

 見る側の勝手な想像力を浮揚力にして恐怖を増幅させていくグライダーのような、このドラマに、ちょっと付き合ってみようかな。

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コメント

見ちゃいました。想像どおりです。
仲間さんが亡くなった子供の母親なんだろう…と。
予想を裏切ってくれたら嬉しいんですけどね

今回の渡部さん、爽やかですよね
女子社員にネットリ見られても跳ね返してますが、
バーカウンターで会う、仲間さんのナゾのありそうなイイ女ぶりには屈しちゃうのかな。

お正月の「さんまのまんま」で、美しいお二人がゲストとして出て
「もう撮り終わってます」とおっしゃってたので、(たしかに季節が夏ですよね)
これから脚本が変わることはないのです。
びっくりするような仕掛けが用意されてることを期待します。

マイティ様
コメント、ありがとうございます。

そう言えば、季節が夏でしたよね。 檀れいサンはノースリーブだし。 冬に夏のドラマ、というのも、ひょっとして非現実感をあおる演出なのかも?

いずれにしても、細かいディティールに力を入れている印象を受けました。 こういうミステリーものは、細部まで注文が行き届いてないと出来ない気がします。 その丁寧な状況設定で、今後に期待してもいいかな、という気になるのです。

それにしても話は違いますけど松下奈緒サンの 「CONTROL」、開始10分でリタイア(爆)。

「分室」、という紙で張られた部署を見た途端、「コリャダメダ」。 ウザったさを強調する松下サンもアウト。

「美しい隣人」 も、そんなに吸引力が強い、というわけではないように思えます。 家庭をメチャクチャ、というパターンって、なんか想像できてしまうんだよなー。

マイティサンのおっしゃる通り、ビックリを期待、です。

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  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

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  • ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白

    ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白
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  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

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    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

  • デイヴ・グルーシン&リー・リトナー -

    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

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    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

  • The Beatles -

    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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