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2011年1月26日 (水)

「美しい隣人」 第3回 隔離された 「傷つく構造」

 ウィキによればサッカーアジアカップ対韓国戦に5%も視聴率をもっていかれた格好の 「美しい隣人」 第3回。 でも内容的にはまたまたオセロゲームの如く見事にこちらの思惑がひっくり返されたような格好(前回コメント欄でいろいろ予測しましたけど)。 ますます冴えを見せます。

 つまりですよ(あ~のっけからバレバレで行きますが)、仲間由紀恵サンはやっぱり、死んだ男の子の父親(高知東生サン)と婚姻関係にあった、ということなんですよ。 予測の選択肢のひとつにはあったけど、いずれにせよその事実を見せるまでの演出の方法が緻密すぎます。

 まず前回、夜中に隣の家の窓の奥から手招きをしていた仲間サン。
 それがとても不気味だったのですが、檀れいサンも同様に感じながら、恐る恐る隣の家へとやってくる。
 するといきなりドアが開いて、「ばあ~」(笑)。
 「なんかビビってたでしょ?」
 驚かそうと思ったみたいなのです。
 いたずらっぽい笑みを満面に浮かべる仲間サン、お茶目ごころ全開、と言いますか。
 ここで見る側の心理は、「なあんだ」 と感じると同時に、そんな仲間サンの 「屈託のない笑顔」 に、一気に安心感を覚えてしまうのです。

 ところが仲間サンは、半ば強引に檀れいサンにワインを勧め、「自分も浮気している」 と打ち明け出します。 もちろんそれが檀れいサンの夫(渡部篤郎サン)だとは打ち明けずに。
 檀れいサンは 「それで、…、あの…、会って何回目くらいで、…、なんて言うのかな、…そういうふうになっちゃったの?」 と、まことに言いにくいことを仲間サンに訊くのですが(笑)、もうその時点で、ちょっとばかり彼女が酩酊しているようにも感じさせるのです。 見ている側は檀れいサンの酩酊と同じ感覚で、仲間サンの陰謀ワールドに突入していく。 この構造が、うまい。

 「まだだけど…」
 「えっ、…な、なあんだ、好きになっちゃっただけなの?」

 檀れいサンは、ほんの少し酔っぱらった状態で、「好きになるだけなら構わないんじゃない?」 と軽口を叩いてしまうのですが、これは普段の状態ならばちょっと慎重にならざるを得ない対応の仕方です。

 ここで、相手が誰だか知らないということもありますが、檀れいサンは仲間サンと自分の夫との関係を認めてしまったことになる。 この構造もなんとなく怖い。

 つまり、もしその浮気の相手を檀れいサンが分かって檀れいサンからなじられた場合に、その相手が檀れいサンのダンナとは知らなかった、と仲間サンが言い張れば、この檀れいサンの 「いいんじゃない?」 という言葉が言質になる。
 それによって防波線を張ると共に、もしその事態に立ち入ったときに、仲間サンはそれで檀れいサンをさらに精神的に追い詰めることが出来るのです。
 うまいなあ。 布石を巡らせるのが。

 酔って寝てしまった檀れいサン。

 ここから、仲間サンの異様な行動が展開されていきます。

 仲間サンはテーブルに置かれたままの檀れいサンの自宅の鍵を持ち出し、檀れいサン宅に無断侵入。 部屋を物色し始めます。 オイオイ…。
 そしてアルバムを見つけ、檀れいサンの結婚生活を、現在から徐々にさかのぼって見ていく。 最近の様子から駿クンが生まれる場面、そしてふたりの結婚式…。 仲間サンの目は、赤ん坊の駿クンの写真にくぎ付けになるのです。
 それにしても結婚式の写真とか、んまー小道具にずいぶん細かい仕事してるなー、という気はしました。

 そして眠っている駿クンをいとおしそうにさわり、心臓の鼓動を聴き、その首に手をかけていく。
 けれども、寝ぼけて 「ママ…」 と寝言を言う駿クンを、仲間サンは抱きしめてしまう。

 三浦理恵子サンのお店にやってきた仲間サン、三浦サンがいないと見計らってリオ(南圭介クン)にあからさまに精神的嫌がらせ(笑)。 「テレパシーでオーダー頼みました」 みたいな(笑)。 そこにやってきた三浦サンに何食わぬ顔で、今度は三浦サンがバツイチであることを檀れいサンから聞いた、ということを、すごくなにげなく洩らしてしまうのです。

 三浦サンはこの一件で完全に憤慨。 以降、檀れいサンをそれとな~く避けるようになります。
 しかしまあ、そんなに自分が傷ついてしまう秘密なら、自分がバツイチであることを吹聴しまくらなくてもいいでしょ~に、と私などは思ってしまうのですが、そこがそれ(?)、主婦の世界、…なのかな~。

 いっぽう渡部篤郎サンは、仲間サンのことが気になって仕方のない様子。 同僚の女の子(藤井美菜サン)のアタックには目もくれない癖に(笑)。 仲間サンから貰ったケータイの番号に電話をかけてしまおうとするのですが、待ち受け画面の息子の写真に待ったをかけられる。 浮気の防止になりますな、待ち受けの子供の写真、とゆーのは(爆)。

 しかしのちにそのバリケードも突き破って(笑)渡部サンは、仲間サンに電話してしまうのです。 仲間サンは知ってて、それに出ない。 いったんはぐらかして渡部サンをあきらめさせといて、東京にいったん帰ってきていた渡部サンを隣の家から観察しながら、渡部サンのケータイに電話をかけるのです。 オタオタして家の外で電話を取る渡部サン。 それを笑って見ている仲間サン。 悪趣味(笑)。

 話はさかのぼります。
 檀れいサンが出会った高知東生サンですが、檀れいサンが自分の息子に花を手向けに来てくれた、という経緯もあってか、檀れいサンが義理の母親(草笛光子サン)の見舞いにやってきた病院ですれ違った時、「妻が新しい命を授かりました」 と思わず報告してしまう。 「見知らぬ人にどうかとは思うんですが」 と断りを入れながら、やはり高知サンのその報告は自然な流れだと感じます。
 そして、買い物帰りに三浦サンの冷たい態度になんとなく傷つきながら、檀れいサンは一緒に車に乗せた仲間サンに、その事実(死んだ子の夫婦に子供が出来たこと)をありのままに話すのです。
 顔がこわばる仲間サン。

 「早すぎない?

 …たった一年で」

 たった一年で死んだ子の代わりみたいに子供を作っちゃうなんて、死んだ子のことをどう思ってるの?

 だいたい仲間サンの心情はそんなところだろうと簡単に考えてしまうのですが、となるとですよ、仲間サンはやはり、死んだ子の母親、少なくとも母親であったことがある、そして産みの母親である可能性が高い、というように思えてくる。

 ドラマではこうした核心の部分に、全く明確な説明をしていません。

 第1回目から個人的に感じていたように、やはり見る側の勝手な想像を最大限に促しながら、このドラマは展開をしていく。
 仲間サンは家に戻るなり、片づけたばかりの家の中のものを片っ端から破壊していく。
 そのカミナリみたいな音に驚いた檀れいサンが心配して仲間サンの家の様子を見に行くのですが、仲間サンは次々にモノがおっこっちゃって、みたいに取り繕ってすぐ扉を閉めてしまう。
 穏やかな仲間サンの裏に隠された、計り知れない破壊衝動。 見る側の気持ちは、一気に凍りつくのです。

 そして壊されまくったがれきの間に置き去りにされたデジカメのスライドショー。
 そこには、仲間サンと、おそらく溺れ死んだであろう息子(これも、勝手な憶測なんですが)の仲睦まじい写真。
 それは、リオが撮った写真だったのです。

 この子の年齢を推測すると、5歳前後かと。
 もしこの男の子が溺れ死んでしまった子だとすれば、どうも溺れ死んでしまう直近のように思えます。
 つまり仲間サンは、大きくなるまでこの子の母親だった。

 さて面白がりながら渡部サンがあたふたしているところを見ていた仲間サンのもとに、法律事務所から手紙が届きます。
 つまり離婚調停。
 仲間サンは夫に会う条件を相手の弁護士に突き付けます。
 後日、仲間サンが会いに来たその相手の夫は、
 …なんと高知サン(毎度ですがバラしまくってます…笑)。

 それにしても 「Mayer」(マイヤー)という表札は、フェイクなんでしょうかね。 別の名前を自宅の表札に出していても、問題ないのかな~。 引っ越しとかいって、やはり偽名じゃ引っ越せないと思うし。 仲間サンの本名は、マイヤーじゃない、んでしょうね(確かなことは申せませんが)。
 法律事務所から書留が来たときも、仲間サン、自分の名前の部分をしっかり手で隠してました(笑)。

 話が意外な方向に急展開する繰り返しでとても面白いのですが、私が感じたのは、「人を傷つけるって、思わぬ瞬間にしてしまうもんだな」、ということ。

 それは檀れいサンを見ていて感じるのですが、このドラマにおいて檀サンは、とても普通の判断が出来る人物であります。
 つまり、その場その場で、最良に近い判断が出来る。

 ドラマを見ている視聴者は、そこで展開する登場人物たちの行動について 「あり得ない」 とか簡単に言いすぎる傾向があります。
 でも振り返ってみれば、当の自分は、とてもじゃないけど人生において最良の判断をし続けている、とは思えないのです(自虐的ですが…笑)。
 さらにパニックになってしまえば、「なんだソレ?」 みたいな行動をしてしまったりする。

 でも檀れいサンは、仲間サンから浮気を打ち明けられた時も、酔っ払いながらもそう言うしかないだろう、という言葉ばかりを選んでますし、草笛光子サンにもきちんとした対応をして気持ちのすれ違いを最小限に抑えているし、高知サンから突然の報告を受けても、ちゃんと素直にうれしい気持ちを伝え、奥さんお大事にの言葉も忘れない。

 それでも、それがあまりにもスムーズすぎると、それが却って反感を持たれてしまったりする。 上っ面、みたいに見えてしまうんでしょうか。 出来過ぎてもイカン、というのはつらいもんがありますが。 人間って、どこかでかなりの本音を、その人に求めてしまうもんなんでしょうかね。

 三浦理恵子サンが、先ほども言いましたが自分も悪いと思われることで檀サンを逆恨みしてしまう、という構造には、檀サンがそんな上品で完璧な対応しかしないことへの不満が裏返しで存在している気がする。 檀れいサンは気付かず、普段から三浦サンの心を傷つけているのかもしれない。

 つまり、人が傷ついてしまう、という構造は、思わぬところで発生してしまう、ということです。

 それをひとり意図的に行なっているのが、仲間由紀恵サン。

 彼女はそんなひとりひとりの心にそれぞれ巣食う 「傷つく構造」 を、最大限にいじくりまわしているのです。

 しかしですねー。

 ラストで駿クンのあたらしいスイミングのお友達、「シロウ」(シロ?)クン。
 なんかスライドショーに映っていた仲間サンの子供に、似てたよーな気がする…。
 でも死んだ男の子は、隼人クンだったし…。
 勘違いかもしれないですがね。
 ひょっとして仲間サンの子供は、生きている…?とか?

「美しい隣人」 に関する当ブログほかの記事

第1回 勝手な先読み、という恐怖増幅の方法
http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2011/01/1-f59a.html
第2回 鏡の中と現実の浮遊感http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2011/01/2-50e1.html

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コメント

日韓戦に視聴率もってかれましたか。
私はこの番組見てからサッカーを見ました。延長戦からPKになってどきどきしまくりでした。サッカーも大好きで〜す。

このドラマは話の展開もさることながら、音楽が効果的?に使用されてるなあと思ってます。

最後に出てきた男の子は「ヒロ」くん?
よくわからないのですが、確かに隼人くんに似ていましたよね。

ただ、気になったのは仲間さんと息子が一緒にいてリオに写真とってもらってる場面で、息子の右手を映してた画がありましたね(右手の中指の付け根あたりに黒子がありました)。この画を挿入した意図はなんだろう?と思いました。

隼人くんだけでなく兄弟がいるとか?
なんかいろいろ推測させられるというか、謎解きの要素たっぷりのドラマですよね。

人間って与えられた情報だけで処理しがちですよね。(思い込み)
 与えられていない情報がいつの段階で提示されるのかがドラマの展開上、重要な意味を持ってくるのでしょうね。

>人が傷ついてしまう、という構造は、思わぬところで発生してしまう、ということです。

たしかに日常生活で、自分のなにげない一言で誰かが傷ついているかもしれないですよね。でも、相手が傷ついたかどうかまでは計り知れないですから・・・
気をつけなくちゃ・・です
(特に私は・・瀑!)


rabi様
コメント、ありがとうございます。

昔はよく見たんですけど、スポーツ中継全般。
なんかちっとも見なくなりました、ここ数年。
年齢とは関係ないかな~。
う~ん、どうして見なくなったんだろう? たぶん応援してるほうが負けるパターンが多すぎるせいです!(爆)

確かにこのドラマ、BGMの使い方が効果的ですよね。 いたずらに恐怖をあおっている気もいたしますがcoldsweats01

最後に出てきた男の子の名前、「シロ」 って聞こえたんですけど、それじゃイヌだ(笑)。 なんかもしかして、亡くなった男の子と双子だった、とか? そんな憶測を、またしております(笑)。

確かに隼人クン、手にホクロがありました! 私もそれって、これからひょっとして隼人クンを識別するための鍵となるのではないか?なんて考えたりしました。 いったい池で死んだのは、誰なんでしょうか? 檀れいサンの息子駿クンも、何かを知っている様子。 結構それって、重要なカギなような気がします。

rabi様、私も結構知らない間に人を傷つけております。 相手が不機嫌になってしまって、そのことに気付いたり。
なにがきっかけで他人の気持ちを害してしまうのか、そのことを学習しながら生きている気がいたします。

ドラマは録画してサッカー見て絶叫しておりました。
あんなにくたびれる試合はやめてくれ…

>このドラマにおいて檀サンは、とても普通の判断が出来る人物であります。

そう、ソツないですよね

しかし他のブログでは
「なぜかイラっとさせる人物」とされてました(コメント欄も)。
それも理解できる。
ドラマスタート時はダンナの単身赴任や息子の失踪など、情緒不安定な描写が多かったからかもしれませんけど。
この人自身に悪意は全然無いのですけどね。

生きるって(気をつかわなくちゃいけなくて)大変。

マイヤーさんの策略の理由が、「自分の子が亡くなった逆恨み」というだけでは最終話までもちませんので
やはり、もうひとひねり欲しいところです。
急に登場してきたヒロくんに期待!

マイティ様
コメント、ありがとうございます。

やはりスポーツ中継は、リアルタイムがいちばんですよネ! 「美しい隣人」 の録画率は、今回とても高かったのではないでしょうか。 決勝の相手はオーストラリアとか。 オーストラリアって、アジアだったのか!

「イラッとさせられる」、それ分かります。
「八日目の蝉」 とか合わせて檀れいサンの演技を見ていますけど、彼女、どことなくかわいすぎて反感をもたれやすい人なんだろうなあ、というのは感じています。 「金麦」 のCMでも、彼女の可愛さぶりに癒される人もいれば、何かわいこぶっちゃって、と感じる人もいる。 そんな両極端の評価を受けるからこそ、作り手は恨みを買う側の人間として、檀サンを配置したんだと感じるのです。

しかしそもそも、仲間サンが子供が死んだ逆恨みで檀れいサンに復讐しとるのか? その前提ですらも危うげになってきた気がします。

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    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
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MUSIC

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    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

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    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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